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「星の巡礼」を読み終える

(読了した「星の巡礼」)

四国のお遍路が自分の気持の中で少し遠のいて行く。諸般の事情から現時点では一年先に伸ばすことになるだろうと思う。

日本に四国遍路という巡礼道があるように、ヨーロッパのフランスからスペインにかけて、聖地サンチャゴへ向けた巡礼道がある。今でも多数の巡礼が巡礼道をサンチャゴに向かう。

9世紀の初頭、キリスト教12使徒の一人、聖ヤコブ(スペイン語名サンチャゴ)の墓が発見され、それ以降、ローマ、エルサレムと並んで、このサンチャゴがヨーロッパ三大巡礼地の一つになった。

そのことを知ったのはNHKのテレビであったか。興味を引かれて何か関連図書を探していて、どこで知ったのだったか。ブラジルの作家、パウロ・コエーリョのベストセラー小説「星の巡礼」という本にたどり着いた。紀行文なのだろうと思って、半年ほど前に文庫本をネットで手に入れた。

奇跡の剣を探して旅するという、ロールプレイングゲームのような話であった。指導者一人とサンチャゴの巡礼道で、精神的、肉体的修行をする中、超自然的な不思議な体験をするという、少なからずオカルティックな話になった。読み始めて、これは違うと思い、読みかけのまま長い間、置いてあった。

年明けに再度読み始め、今度は最後まで読み終わった。本に書かれているすべてが著者の実体験で、キリスト教のある教団では実際に現代でも行われている修行だという。その深い精神性に共感して、多くの人に読まれている本だそうだが、日本人の理解を越えたものがある。日本で言えば、山伏の修行のようなものであろうか。明治の廃仏毀釈までは日本の山岳仏教は大変盛んで、山伏の世界では超能力とか一種不思議な修行が行われていた。

「星の巡礼」の話は少し置いて、サンチャゴ巡礼の話に戻ると、フランスからピレネー山脈を越えて、聖地サンチャゴまで道程は約800kmというから、旧東海道の1.5倍、四国お遍路の3分の2位の距離である。歩けば約1ヶ月かかるようだ。中世には年間50万人もの人々が徒歩や馬車で聖地サンチャゴを目指したという。巡礼者は巡礼のシンボルの帆立貝の貝殻を付け、杖を突いて歩いたという。四国遍路の白衣や「同行二人」の笠と杖を連想する。

これら街道沿いには巡礼者の宿泊施設とされた教会や修道院なども多く点在し、歴史街道となって、世界遺産にも指定されている。また、日本の熊野街道とは姉妹街道になっている。

現代は徒歩以外に自転車による巡礼者も多く、指定の宿泊所でスタンプを押してもらいながら進む点も、お遍路の納経帳を思わせる。無事にサンチャゴの大聖堂に着くと、「巡礼証明」がもらえる。また大聖堂のミサにおいては、世界最大の香炉を振り子のように往復させる。巡礼者たちが汗臭く、その匂いを消すためのものだという話もあって生々しい。

もう少し若ければ四国お遍路のあとぐらいに歩いてみたいところである。
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