長尾たかしの・・・未来へのメッセージ

自民党衆議院議員長尾たかしのブログ。平成11年からネット上で情報発信を継続。サラリーマン生活を経て政界へ。

増税税収が何処に流れていくのか?今こそ正念場。

2013-10-04 22:55:14 | 社会保障・税
さてさて、ここからが正念場です。国民が国会議員以上に目を光らせなければならないところです。

各省庁は虎視眈々とドサクサまぎれの予算要求の準備をしています。

増税分の税収は、社会保障費のマイナス補填に過ぎず、補填してもまだマイナスなのです。だから、ドサクサに紛れて、他に流用されてはならないのです。これは国土強靭化に対しても同様です。強靭化計画はあくまでも、財政の機動的対応を根拠とする景気回復の起爆剤なのです。

税率引き上げに注目するエネルギーは、新たな税収が何処に流れ込むのかに注目するエネルギーに使うべきです。


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消費増税 「小判」目当てに…霞が関で激化する「社会保障費」争奪戦産経新聞 10月4日(金)16時0分配信


 今、霞が関の一部は「打ち出の小づちから小判が降って湧く」と色めき立っている。

 安倍晋三首相が1日、来年4月から消費税率を8%に引き上げる方針を表明。「消費税収は社会保障にしか使いません」と断言した。税率は平成27年10月には10%となることが法律で定められており、そうなると毎年度約14兆円が新たに社会保障費に充てられる。

 「小判」を直接手にする可能性が高いのが厚生労働省だ。首相の「消費税引き上げ表明」の数週間前、同省は財務省や内閣官房と連携し、消費税10%時の14兆円増収分の予算配分を内々に決めた。子育てや介護・医療、年金など「社会保障の充実」に増税1%分の2・8兆円▽現行制度の維持に必要な赤字解消など「社会保障の安定化」に増税4%分の11・2兆円…。本来なら与党との事前調整が必要な重要事項だが、のどから手が出るほどに「小判」が欲しかった官僚たちの明らかなフライングだった。

 他省庁もぬかりない。文部科学省は、待機児童解消などを図る「子ども・子育て支援の充実」予算に目をつけ、26年度予算の概算要求に幼稚園保育料の一部無償化(約340億円)を盛り込んだ。同省は「消費税増税分で充当する予算とは無関係」というが、将来的には増税分にあやかろうとする意図が透けてみえる。

 各省庁が消費税増税を見越した結果、26年度一般会計予算の概算要求額は99兆2千億円と過去最大に膨らんだ。政府が防災分野などに優先的に予算を配分する「特別枠」を設けたことも後押しし、国土交通省の要求額は前年度当初比で16・3%も増加。年末の予算編成を控え、増税でゆとりが生まれた予算の争奪戦が激化するのは必至だ。

 一方、争奪戦の余波を受けることになる診療報酬の改定では、国民負担が増加する皮肉な結果が生まれようとしている。自民党厚労族、日本医師会が消費税増税を追い風に、医師が患者を診察・手術する際の技術料に当たる診療報酬の「本体部分」のプラス改定をもくろんでいるからだ。本体部分は患者負担、保険料、国費の比例配分で成り立っているため、プラス改定になればおのずと病院と薬局の収入が増える。一方で患者が病院や医療保険に支払う料金は増す。

 例えば、25年度予算では国費から捻出する診療報酬を含む医療費は約11兆円。26年度の改定で、わずか1%でも上がれば国費は約1千億円も別に必要となり、保険料約2千億円、患者負担約500億円が新たな国民負担となってしまう。


 ◆綱渡り続く皆保険
 負担増だけを強いられることになりそうなのが大企業の健康保険組合(健保組合)だ。政府は国民会議による社会保障制度改革の議論を踏まえ、高齢者医療を支えるため、健保組合の負担が大きくなる「総報酬割」を27年度にも全面導入する方針を決めている。このため、健保組合は実に年1400億円もの負担増を強いられる。導入でサラリーマンの3人に2人の保険料が上昇するとみられる。

 消費増税と社会保障費の負担増を国民に強いてもバラ色の未来が待っているわけではない。公費の毎年度の支出は年金が10兆円、医療費が15兆円、介護費が5兆円規模。今後も高齢化の進展で社会保障費に投入する公費は増え続け、仮に消費税率10%が達成できても、とうてい賄えない。

 現在、医療費の公費負担率は約40%。政府高官は「負担率が50%を超えてしまえば、相互扶助を前提とする皆保険とはいえない。単なる施しになる」と危機感を募らせる。必ずしも身の丈に合っているとはいえない皆保険維持に向け、今後も綱渡りの状態が続くことに変わりはない。

 首相は1日に行った増税表明会見の冒頭、「半世紀ほど前、国民皆保険が実現した。世界に冠たる社会保障制度の礎が築かれた」と胸を張った。

 皆保険創設の関連法が制定されたのは昭和33年。首相の祖父にあたる岸信介政権の時代のことだ。首相にとって医療を通じ国民生活を向上させた皆保険制度は、祖父から受け継いだ宝物でもある。

 首相はこの遺産を未来に残すため、消費税増税という「断」を下した。これが後世、「英断」だったといわれるためには、社会保障制度の抜本的な改革が不可欠だが、当面は綱渡りの状態が続きそうだ。
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コメント (1)
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