母音考

2014年07月12日 | 日記
昨日、女性4人組のヴォイトレをしたのですが、中のお一人が「「オ」の母音だと発声がうまくいく」と言われました。うまくいくというのは、体が自然に使え、口の奥がよく開いて息が上へ抜けやすいという意味です。別の一人は「私は「イ」の方がやりやすい」と言われました。他の2人は「ア」が良いそうです。
どの母音が発声しやすいかは各人の骨格によると思いますが、一般的には発声練習には「ア」を使うことが多いと思います。「オ」は上あごが上がりますが少しこもり気味になりやすく、「イ」は口の奥行きが深くなりますが上あごが下がるので平べったい声になりやすい。その点「ア」は、特段のメリットはないけれどデメリットも少ない、ということでしょうか。因みに、「エ」は口角から息が外に漏れやすいので、「エ」で発声する時は口をあまり横に開かないようにして、舌の両側も少し上げ気味にします。
「イ」は側頭骨に響かせやすい母音なので、耳の後ろのゴリゴリした骨を触りながら、ちょっとあくびが出かかっているようなフォームで声を出し、骨に響いているのを確かめます。声楽的な声と言うよりは腹話術あるいはミッキーマウスのような声になりますが(笑)、息がちゃんと後ろに回っていれば、そのままかなり高音域まで行けます。イでうまくいったらイからアにスライドさせますが、アにすると口から息が洩れやすいので、息を後ろへ引っ張るようなイメージで軟口蓋を引き上げながらアに変換します。すると下腹部にぐっと圧力がかかり、足腰をたくさん使っている感じになります。
「オ」が出しやすいという方は、ウォ~~~ンとオオカミの遠吠えのような声を出して頂くと、やはり腹圧が強くなります。
どの母音を使って練習すると体がうまく使えるか、いろいろ試してみるのも面白いと思います。発声には標準的なメソッドと個別的なメソッドがありますから、両方を組み合わせてオーダーメイドの発声練習を構築してみてはいかがでしょう。

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