のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

泣くな、はらちゃん

2013年03月25日 23時46分37秒 | テレビ鑑賞
□泣くな、はらちゃん
□土曜夜21時日本テレビ放送
□出演
 長瀬智也、麻生久美子、丸山隆平、忽那汐里、薬師丸ひろ子
 奥貫薫、賀来賢人、清水優、甲本雅裕、光石研、白石加代子
□脚本:岡田恵和
□お気に入り度 1位/4作品
□ストーリ
かまぼこ工場ふなまる水産に勤務する独身女性・越前さんは、地味かつ薄幸で損してばかりの生活を送っている。そんな彼女は、自身の心の叫びを自作の漫画にぶつけることで日頃の鬱憤を紛らわしていた。主人公のはらちゃんを始め、漫画の世界の登場人物は彼女の恨み辛みを反映した暗い話をさせられることにうんざりするとともに、次第に暗く重くなりつつあるこの世界の行く末を危惧していた。
そんなある日、その漫画が描かれたノートに衝撃が加わったことで漫画の世界に影響が生じ、漫画の世界を抜け出したはらちゃんは実体化して現実の世界へ足を踏み出す。自分たちを生み出した神様(作者である越前さん)と出会ったはらちゃんは、越前さんが幸せになれば自分たちの世界が明るくなると考え、現実の世界で訴え、働きかけるうちに彼女に片思いする。

□感想
 あらすじを読み、おもしろそう!と思っていましたが、脚本家が岡田さんと知り、その思いは確信となりました。
 大好きな脚本家さんのひとりです。「ちゅらさん」も「イグアナの娘」もどれだけ楽しみに見ていたことか。
 なのに、いきなり第一話を録画し忘れました。友人たち数名から「おもしろかったよね!!」
 「長瀬君はこういう役やらせたら天下一品だよね!」とテンション高いメールが届いて
 「おーのー!!」と叫ぶとともに、やっぱり面白かったんだ・・・。私の見る目に狂いなし!と嬉しくなりました。
 ふふふん。だてにテレビっ子を続けていませんよー。っと。

 そんなこんなで第一話見逃しましたが、それ以降は楽しみに見続けました。面白かった!
 そして、とてつもなく切ない作品でした。くすくす笑いながら見ていた前半では、
 ドラマ終盤でここまで切ない思いをさせられるなんて想像だにしていませんでした。

 漫画の世界しか知らないはらちゃんが現実世界に出てきて「世界」を知っていくときの
 素直な反応がかわいくて面白くて、なおかつ、とても幸せな気持ちにさせてくれるものでした。
 長瀬君がオーバーリアクションで「美味しいです!」「嬉しいです!」「大好きです!」と
 世界を楽しむ姿を見て、この世界に溢れている素敵なものに改めて気付かされた気がします。
 嘘くさいぐらいのオーバーリアクションでもまったく「うそ臭くない」「不自然じゃない」のは
 長瀬さんの人柄なんだろうなぁ、とそれだけで幸せな気持ちになりました。
 30過ぎてこんなにもピュアなちびっこみたいな役柄が似合う長瀬さんに感嘆。

 「好き」という気持ちを知って、「両思い」を知って、「自分を好きになること」
 「一生懸命生きること」「人を好きになって切なくなること」を体験していくはらちゃん。
 シンプルな言葉で「生きること」を掴んでいくはらちゃん。

 生きていくことは楽しいことばかりだと信じて疑わないはらちゃんが終盤に来て、一転、
 世界の悲惨な現実も知っていく部分で、このドラマが決してファンタジーではないこと
 きれいごとだけではなく、「にんげん」を「この世界」をきちんと見据えているドラマだったんだと
 いうことに気付きました。第8話のラストではらちゃんたちは、戦争、震災、貧困、動物虐待、
 原発などを伝えるニュース番組を見ます。そのときの衝撃と涙とこの世界に対する恐怖、
 そしてシンプルな疑問が心に響きました。
 そして、この問いに対して静かに答える越前さんのお母さんの答えも。
 「これもこの世界ですか?」
 「そうね。悲しいけど、これもこの世界の出来事なのよ。全部。嫌な世の中よね。」
 いつもは明るいお母さんの静かな口調が心を揺さぶりました。

 世界は楽しいことだけではない。
 いやなこと、つらいこともたくさんある。
 そして、それは遠い世界の出来事ではなく、私たちのすぐ身近にも起こりうる出来事で
 私たちは「こわいこと」「つらいこと」「いやなこと」と隣りあわせで生きている、
 ということをしっかりと描いてくれていたドラマでした。
 そして、そのことを踏まえて、それでもなお「この世界は素敵だ」「生きるって楽しい」
 ということを真剣にまじめに伝えてくれているドラマでした。
 最終回ではらちゃんが切々と訴える「自分と両思いになってください。
 世界と両思いになってください。」という言葉に胸が熱くなりました。

 コメディとシリアスを行ったり来たりしながら、肩に力を入れずに大事なことを教えてくれた
 素敵なドラマだったなぁ、と思います。
 登場人物全員が愛しいドラマでもありました。

 うん。やっぱりドラマって脚本がとっても大事!と改めて思いましたが
 このドラマの長瀬さんの異常なはまり具合を見ると、脚本だけじゃないなぁ。
 役者さんも大切。すごーーーーーーく大切!と思いました。
 はらちゃんだけじゃなく、その他の登場人物も見事に役者さんの魅力とマッチしていたし。
 特に越前さんのお母さんを演じた白石加代子さん、越前さんの同僚を演じた薬師丸さん!
 素敵だった!こんなふうに年を重ねたいなぁ、と心から思いました。