税界展望トピックスの依頼により
書きました。
日本税理士会連合会
はじめに
税理士法(以下-法)は「全国の税理士会は、日本税理士会連合会(以下-日税連)を設立しなければならない。税理士会は、当然、日本税理士会連合会の会員となる。(法 49条の13)」と規定しています。従って日税連の会員は全国15の税理士会で構成されており、全国76,493人(平成29年3月31日現在、税理士界第1351号)の税理士は直接、日税連の構成員たる会員となっていません。周知のとおり「会」連合会となっています。
従前からの意見
代表的な意見として東京会制度部が作成し平成5年5月に東京会理事会で機関決定した税理士法改正要綱を紹介します。「日本税理士会連合会の目的は、法第49条の12第2項(現行は法第49条の13第2項)によって、『税理士の使命及び職責にかんがみ、税理士の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資するため、税理士会及びその会員に対する指導、連絡及び監督に関する事務を行い、並びに税理士の登録に関する事務を行うこと』とされている。日税連の税理士会会員に対する監督は、原則として税理士会を通じて行うものであり、例えば、税理士会会員に対し処分を行う場合、税理士会の意向を無視し、日税連が直接に行うことなどは現行法の規定ぶりからして好ましくないとされている。これは日税連の構成に由来するもので、日本弁護士連合会とは異なり日税連の会員は税理士会であり、税理士はその間接的な構成員であるとされているからである。したがって、税理士が日税連の機関決定に直接参加することもできない。現行法では、第39条(会則を守る義務)において、税理士は所属税理士会及び日税連の会則を守らなければならないと義務付けられており、日税連が決定する事項は、直接、間接に個々の税理士の権利義務に影響するところが大である。しかし、現行法の規定は、税理士が日税連の機関決定に直接的に関与する制度となっておらず望ましくない。日税連が、個々の税理士に限定的といえども影響をおよぼす決定ができるとすれば、民主主義の原則上、その機関決定に税理士が関与する組織とすべきである。税理士並びに税理士会の自治権確立の整合性からみても、日本税理士会連合会は『日本税理士連合会』とすべきである。」と「士」連合会を提案しています。
会長諮問の答申
平成29年1月30日に答申した東京会制度部の意見です。「強制入会制の職業団体には、自己責任性の観点から基本的に団体自治及び会員自治が要求されます。さらに、国家は、強制入会制の職業団体の自主性を尊重すべきことが求められ、平成26年法改正で租税教育事業が会則の絶対的記載事項に追加されたことや研修受講が会則義務とされるなど、自律性の向上の観点から会則整備が進んだことからもうかがえます。組織は民主的で開かれたものでなければならず、特に強制入会制を採用する組織においては、団体の規律及び構成員の権利保護が重要です。会則上の義務が拡大する中、自己を律し、団体規律の更なる向上に努めるとともに構成員の権利保護を自ら構築していくため、税理士が直接関与できる組織形態とするべく、現在の『日本税理士会連合会』を『日本税理士連合会』とすることを検討すべきです。」と4半世紀を経過し制度部委員が変わり続けているにも関わらず上記税理士法改正要綱と意見は同じです。
おわりに
以上みてきたとおり従前から今日に至るまで、日税連の機構について「会」連合会から「士」連合会への組織形態にすべきという意見に変わりはありません。平成26年の税理士法改正を受けて東京会の各ブロック協議会などに出向いて法改正の説明をする機会がありました。会員の皆様から直接に「生」の声として頂いた意見のなかで一番多かったのが自分も日税連の会員になりたいというものでした。日税連の制度部でも次期税理士法改正についての論点整理をすすめていますが、改正項目としてとりあげています。
書きました。
日本税理士会連合会
はじめに
税理士法(以下-法)は「全国の税理士会は、日本税理士会連合会(以下-日税連)を設立しなければならない。税理士会は、当然、日本税理士会連合会の会員となる。(法 49条の13)」と規定しています。従って日税連の会員は全国15の税理士会で構成されており、全国76,493人(平成29年3月31日現在、税理士界第1351号)の税理士は直接、日税連の構成員たる会員となっていません。周知のとおり「会」連合会となっています。
従前からの意見
代表的な意見として東京会制度部が作成し平成5年5月に東京会理事会で機関決定した税理士法改正要綱を紹介します。「日本税理士会連合会の目的は、法第49条の12第2項(現行は法第49条の13第2項)によって、『税理士の使命及び職責にかんがみ、税理士の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資するため、税理士会及びその会員に対する指導、連絡及び監督に関する事務を行い、並びに税理士の登録に関する事務を行うこと』とされている。日税連の税理士会会員に対する監督は、原則として税理士会を通じて行うものであり、例えば、税理士会会員に対し処分を行う場合、税理士会の意向を無視し、日税連が直接に行うことなどは現行法の規定ぶりからして好ましくないとされている。これは日税連の構成に由来するもので、日本弁護士連合会とは異なり日税連の会員は税理士会であり、税理士はその間接的な構成員であるとされているからである。したがって、税理士が日税連の機関決定に直接参加することもできない。現行法では、第39条(会則を守る義務)において、税理士は所属税理士会及び日税連の会則を守らなければならないと義務付けられており、日税連が決定する事項は、直接、間接に個々の税理士の権利義務に影響するところが大である。しかし、現行法の規定は、税理士が日税連の機関決定に直接的に関与する制度となっておらず望ましくない。日税連が、個々の税理士に限定的といえども影響をおよぼす決定ができるとすれば、民主主義の原則上、その機関決定に税理士が関与する組織とすべきである。税理士並びに税理士会の自治権確立の整合性からみても、日本税理士会連合会は『日本税理士連合会』とすべきである。」と「士」連合会を提案しています。
会長諮問の答申
平成29年1月30日に答申した東京会制度部の意見です。「強制入会制の職業団体には、自己責任性の観点から基本的に団体自治及び会員自治が要求されます。さらに、国家は、強制入会制の職業団体の自主性を尊重すべきことが求められ、平成26年法改正で租税教育事業が会則の絶対的記載事項に追加されたことや研修受講が会則義務とされるなど、自律性の向上の観点から会則整備が進んだことからもうかがえます。組織は民主的で開かれたものでなければならず、特に強制入会制を採用する組織においては、団体の規律及び構成員の権利保護が重要です。会則上の義務が拡大する中、自己を律し、団体規律の更なる向上に努めるとともに構成員の権利保護を自ら構築していくため、税理士が直接関与できる組織形態とするべく、現在の『日本税理士会連合会』を『日本税理士連合会』とすることを検討すべきです。」と4半世紀を経過し制度部委員が変わり続けているにも関わらず上記税理士法改正要綱と意見は同じです。
おわりに
以上みてきたとおり従前から今日に至るまで、日税連の機構について「会」連合会から「士」連合会への組織形態にすべきという意見に変わりはありません。平成26年の税理士法改正を受けて東京会の各ブロック協議会などに出向いて法改正の説明をする機会がありました。会員の皆様から直接に「生」の声として頂いた意見のなかで一番多かったのが自分も日税連の会員になりたいというものでした。日税連の制度部でも次期税理士法改正についての論点整理をすすめていますが、改正項目としてとりあげています。