納税者に寄り添う税の専門家 税理士法人 元(GEN)のブログ

会計・税金・経営情報について「わかりやすい」を合言葉に現場の声を発信しています。

本人確認

2011-11-01 10:01:19 | Weblog
2-(3)本人確認(大綱14・35頁)
個人が「番号」を利用する際、利用者が本人であることを証明するための
本人確認(公的個人認証サービス等)の仕組みをいいます。
現行の住民基本台帳カードを改良し、ICカードの券面とICチップに番号と基本4情報及び顔写真を記載したICカードを交付します。正確な付番や情報連携、また、成りすまし犯罪等を防止する観点から不可欠な仕組みとします。

○「大綱」で結論が得られていない論点
住民がICカードに「番号」の記載を希望しない場合の対応等について引き続き検討されます。

<イラスト>挿入 本人確認
(みんなで考えたい社会保障・税に関わる番号制度より)


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情報連携

2011-11-01 09:58:45 | Weblog
2-(2)情報連携(大綱13・42頁)
情報連携とは複数の情報保有機関※において、
それぞれの情報保有機関ごとに
「番号」やそれ以外の番号を付して管理している同一人の情報を紐付けし、
相互に活用する仕組みをいいます。
連携される個人情報の種別やその利用事務を法令上明確化し
情報連携に当たっては、情報連携基盤※を利用することを義務付けます。
(ただし、情報保有機関が源泉徴収義務者として所轄の税務署に源泉徴収を提出する場合などは除く)
情報保有機関が情報連携基盤を用いて情報連携できる事務の種類は
情報連携で提供される個人情報の種類、情報の提供元・提供先等を番号法又は番号法の政省令に規定します。
ただし、著しく異常かつ激甚な非常災害への対応等、
特別の理由がある場合に、第三者機関の許可により、
例外的な情報連携が可能とされます。
医療・介護分野での情報連携については、
法制上の特段の措置と併せて、
負担や費用の面で効率的なシステムとなるよう、
特段の技術設計を行う方向で検討しています。
情報連携基盤及び情報保有機関は、
番号に係る個人情報のやり取りに関するアクセス記録を保存し、
個人自らがマイ・ポータルで確認できるようにします。
※情報保有機関は「番号」に関わる個人情報を保有する行政機関、
地方公共団体および関係機関とされています。

※住民基本台帳ネットワークシステム最高裁判決との関係(大綱17頁)
住基ネットに係る最高裁合憲判決(最判平成20年3月6日)の趣旨を十分踏まえ
・情報保有機関における個人情報は分散管理とする
・情報連携基盤で情報連携する場合は「番号」を直接用いず符号を用いる
・符号から「番号」を推測できないような措置を講じる

○「大綱」で結論が得られていない論点
情報連携基盤の運営機関の具体的な組織の在り方については、
引き続き検討するとされています。
情報連携の範囲として事務の種類、提供される個人情報の種類及び提供元・提供先等を法案策定までに明らかにします。
医療、介護等の分野での情報連携については、
法制上の特段の措置と併せて、特段の技術設計を行う方向で検討されます。

<イラスト>挿入 番号制度における符号連携のイメージ
(みんなで考えたい社会保障・税に関わる番号制度より)


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番号制度に必要な3つの仕組み・付番

2011-11-01 09:50:36 | Weblog
2-(1)付番(大綱12・26・41・53頁)
①個人への付番
・悉皆性(国民全員に一つの番号を交付する)
・唯一無二性(国民全員が重複の無いよう番号を持っている)
・見える「番号」(「民-民-官」の関係で流通させて利用可能な視認性がある)
・最新の基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)と関連付けられている
・個人に交付する「番号」の対象者は
住民票コードが住民票に記載されている日本の国籍を有する者
、中長期在留者、特別永住者等の外国人です。
・市町村長は出生等により新たに住民票に住民票コードを記載した場合は、
「番号」を書面にて個人に通知します。
・所管は総務省です。「番号」は悪用により不利益を受けた場合には変更可能とされています。変更により新しい「番号」を付番された場合は従前の「番号」は失効します。不正の手段により「番号」が取り扱われた場合等は失効させることが可能です。
・番号生成機関は住民基本台帳法に規定する指定情報処理機関(LASDEC)を基礎とした地方共同法人※で、住民票コードと一対一で対応する番号を指定し、市町村長に通知
します。
②法人等への付番
・法務省が有する会社法人等番号を基礎として付番し、所管は国税庁です。
・法人への付番対象は国の機関及び地方公共団体、登記所の登記簿に記載された法人等、
法令等の規定に基づき設置されている登記のない法人、国税・地方税の申告・納税義務・源泉徴収義務・特別徴収義務、法定調書の提出義務を有する又は法定調書の提出対象となる取引を行う法人です。
・「法人番号」は変更不可とし国税庁長官は、付番した「法人番号」を当該法人等に書面により通知します。「法人番号」は官民を問わず様々な用途で利活用するとしています。
・法人等の基本3情報(商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地、会社法人等番号)の検索・閲覧可能なサービスをホームページ等で提供します。

※地方公共団体の共通の利益となる事業等、
その性格上地方公共団体が主体的に担うべき事業であって、
民商法及び特別法によって設立される法人で
出資主体は地方公共団体である。

○「大綱」で結論が得られていない論点
・個人の「番号」変更の具体的な要件等は引き続き検討する。
・国税庁に必要な体制の整備を検討する。


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「大綱」での番号制度導入の趣旨

2011-11-01 09:48:04 | Weblog
1-(3)「大綱」での番号制度導入の趣旨(大綱2~6頁)
番号制度は、複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であると
いうことの確認を行うための基盤であり、
社会保障・税制度の効率性・透明性を高め、
公平・公正な社会を実現するための社会基盤(インフラ)です。
社会保障・税・防災の各分野で番号制度の導入効果は、
より正確な所得把握が可能となり、
社会保障や税の給付と負担の公平化が図られこととなり、
真に手を差し伸べるべき者を見つけることが可能となります。
大災害時における真に手を差し伸べるべき者に対する積極的な支援への活用、
社会保障や税に係る各種行政事務の効率化が図られます。
ITを活用することにより添付書類が不要となる等、国民の利便性が向上し、
行政機関から国民にプッシュ型の行政サービスを
行うことが可能となります。

実現すべき社会
①より公平・公正な社会
②社会保障がきめ細やかかつ的確に行われる社会
③行政に過誤や無駄のない社会
④国民にとって利便性の高い社会
⑤国民の権利を守り、国民が自己情報をコントロールできる社会

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民主党の政権公約マニフェスト

2011-11-01 09:45:13 | Weblog
1-(2)民主党の政権公約マニフェスト
平成21年8月民主党政権公約マニフェストのなかに
政策各論の年金・医療の項目(18頁)として
「歳入庁を創設する」と記載があります。

政策目的として
・年金保険料のムダづかい体質を一掃する。
・年金保険料の未納を減らす。
具体策として
・社会保険庁は国税庁と統合して「歳入庁」とし、税と保険料を一体的に徴収する。
・所得の把握を確実に行うために、税と社会保障制度共通の番号制度を導入する。
と書き込まれています。

しかし、歳入庁構想は
平成23年8月のマニフェストの中間検証(民主党マニフェスト検証委員会)によると
平成22年度の税制改正で検討の方向を記載するも
未設置と報告されています。

○「大綱」で結論が得られていない論点
制度の所管官庁が未定である。


「大綱」公表後の、平成23年8月、
民主党税制改正プロジェクトチーム社会保障・税番号検討小委員会は、
関係団体からのヒアリングを実施し、次の申し送りをしました。
「民主党は、付番の所管について、将来的な歳入庁設置を念頭にいれつつ、
「当面は国税庁を中心としながら地方自治体等との連携を進めていくべき」
(平成22年12月6日「平成23年度税制改正主要事項にかかる提言」)としたが、
「大綱」では、総務省の所管とされている。
また、番号の利用範囲については、
「国民にとっての利便性、情報管理のリスク・コストを勘案し、」
「税務分野、社会保障の現金給付での利用を推奨する」という民主党の方針に対し、
現物サービスにまで踏み込んだ案を採用している。

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社会保障・税番号大綱を読む

2011-11-01 09:35:47 | Weblog
1-(1)社会保障と税の一体改革と「社会保障・税番号」制度
社会保障と税の一体改革と「社会保障・税番号」制度は
表裏一体の関係にあり、
我が国は少子高齢化により高齢者の増加と労働力人口の減少、
格差拡大への不安の高まり、日本経済の成長の鈍化、
財政状態の悪化と大きな課題に直面しています。
特に財政状態の悪化は深刻で
歳入総額に占める公債金収入(国の借金)の割合が47.9%※、
歳出総額に占める社会保障関連費の割合が31.1%※、
また社会保険料収入と社会保障給付費の差額は拡大傾向※が続いています。
さらに社会保障給付費は
団塊の世代が75歳以上になる14年後(2025年)には151兆円※と試算されています。

「社会保障・税番号」制度は
①真に支援の必要な人を把握し社会保障を充実させる
②所得を把握することなどにより公平性を確保する
③行政を効率化するという観点から検討が始まりました。
社会保障と税の一体改革が重点政策の目的であるならば
「社会保障・税番号」制度は政策実現を支える手段なのかもしれません。
制度導入には大規模なシステム開発を伴い、
巨額の国費が投入されるわけですが
同時に厳格な個人情報保護の方策がなされなければなりません。

平成23年6月30日には社会保障・税一体改革成案(政府・与党社会保障改革検討本部決定、閣議報告は翌日)と
社会保障・税番号大綱(以下「大綱」という)が公表されました。
「大綱」は本文だけでも55頁あり、かつ「大綱」で結論が得られていない重要な論点があるため
具体的な「社会保障・税番号」制度が掴みづらくなっています。
この連載は「大綱」をできるだけわかりやすく伝えるという思いで始めます。
「番号法案(仮称)」の国会提出は平成24年の通常国会とされています。
この連載が「社会保障・税番号」制度を考え、議論をする際に役立てれば幸いです。






   
<※図表> ・国の一般会計歳入額 内訳(平成23年度当初予算)http://www.nta.go.jpより
     ・国の一般会計歳出額 内訳(平成23年度当初予算)http://www.nta.go.jpより    
  ・年金や医療関係の給付と財政の関係      http://www.mof.go.jpより
     ・少子高齢化と社会保障給付費の関係      http://www.mof.go.jpより


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