優しさの連鎖

いじめの連鎖、って嫌な言葉ですよね。
だから私は、優しさの連鎖。

嫌いだ、見たくもない、でも…

2016-08-01 15:44:53 | 日記
4月頃だったと思うが、車庫のシャッターを開けようとしたら足元に蜘蛛の巣があり、1センチくらいの蜘蛛がいた。私が一番苦手な虫だ。
もっと小さかったら即座にそばに置いてある箒で叩き潰すとかしたと思うが、1センチは微妙に大きい。怖い。見なかったことにして出かけて、帰宅した。もちろんそいつは同じ場所にいて小虫がひっかかっていた。

次の朝も同じ場所にいた。ダンゴムシがひっかかっていた。そして次の日も。

こうなると怖いもの見たさというか、毎日出かけるとき必ずそいつを確認するようになった。
5月になってもそいつはいつも同じ場所にいて、餌食になったダンゴムシや小虫の残骸が増えていた。

6月になった時、ふと思った。もしあの蜘蛛がメスで出産なんてことになったらどうしよう。蜘蛛の子を散らすようにという言葉があるように確か蜘蛛ってものすごい数の子を産むんじゃなかったっけ?想像しただけで鳥肌が立ってきた。だとしたら早く処分しなきゃ。でもそのとき芽生えた気持ちは、怖い、気持ち悪いという他に、ちょっと愛情にも似た気持ちだった。あいつだって頑張って生きてるんだ。別に私に何か悪いことをしているわけでもなく、逆にコバエやカなどを取ってくれているじゃないか。しかも大きく網を張るでもなくこんな隅っこにひっそりと遠慮深く。
そんなふうに思ったら殺虫剤を購入するのも憚られた。

そうこうするうちに7月になった。
そいつはいつも同じ場所にいてダンゴムシの残骸もけっこうな数になった。
その頃になると私は、きっとそいつはオスで、生涯独身のままここで一生を終えるんだと勝手に決めつけていた。

7月も後半に差し掛かったある日、いつもは小虫かせいぜい大きめのダンゴムシくらいしか引っかからなかったのに、朝いつものようにシャッターを開けたら、大きなカナブン(と思う)が引っかかっていて、蜘蛛は「どうだ、すごいだろ」と言わんばかりに得意気にしていた(私にはそう見えたのだ)。

へぇ、すごい獲物を取ったね、がんばったね。もうこのころになるとこんな感じだ。

ところが、その次の日いつものようにシャッターを開けその場所を確認すると、居ない。あの蜘蛛はいつもの場所からいなくなっていた。辺りを探してみたけれどどこにもいない。昨日のカナブンがそのまま引っかかっているだけだった。

いなくなってほっとしたのもあるけれど、なんとなくちょっと寂しいような。
でもなぁ、もしかしたら伴侶を見つけて新居を構え、今頃子沢山のパパになったのかも。あぁ、想像するとやっぱり怖い…。