A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

セクションワークのリーダーたちが思う存分ソロをとると・・・・

2007-11-12 | CONCORD
SNOOKY & MARSHAL ALBUM / SNOOKY YOUNG & MARSHAL ROYAL

何の世界にも「裏方」という役割がある。
女房役であれば、目立たないにしても時には表に立つこともあるが。裏方となると・・・・。

第一線で活躍し続けても、リーダーアルバムには恵まれない名プレーヤーは多い。
クインシーやサド・メルのオーケストラで活躍したJerome Richardsonなどもその筆頭であろう。彼のリーダーアルバムは数えるほどだ。
ところが録音に加わったセッションの数は星の数ほどある。

似たような境遇のミュージシャンは多い。リチャードソンとはサド・メルのオーケストラで一緒にプレーをしたスヌーキーヤングもその一人だ。サドメルの創設時のメンバーであるが、カウントベイシーのトランペットセクションに長年(何度か出入りはあるが)在籍した。特にベイシーの全盛期の57年から62年にかけては、サド・ジョーンズとトランペットセクションに一緒に座っていた。
サドメルへの参加も、きっとサドジョーンズから声をかけられたのだろう。

スヌーキーはビッグバンドやスタジオの仕事が長く、リードトランペットとしてのセッションワークは申し分ない。フルバンドではこのリードトランペットが重要だ。優秀なリードトランペットが加わっただけでバンド全体が締まり、音が際立ち出す。
ベイシー、サド・メルのトランペットセクションを引っ張っていたのが実はこのスヌーキーだ。

いつもはセッションリダーだが、ソロもまんざら捨てたものではない。バッククレイトンやハリーエディソンばりのよく歌うプレーが得意だ。今回は、このソロが主役になる。ミュート使いも上手いものだ。

同じような境遇にあったのがアルトのマーシャルロイヤル。
彼もカウントベーシーオーケストラの在団期間が長かったが、70年代には退団して西海岸に居を構える。マーシャルもセッションワークは得意だが、ソロもジョニーホッジスやベニーカーターに通じる光輝くようなアルトプレーが得意だ。

スイング派の流れを汲んだ彼ら2人がリーダーになったのがこのアルバム。
いつもは陽の当たらない2人が今回は思いきり表に立つ。
応援に駆け付けたのは、まずはギターのフレディーグリーン。これで全体のスタイルは決まったようなものだ。
ベイシーの得意とする「カンサスシティースタイルのジャズ」の再現だ。
ベースのレイブラウン、そしてドラムのルイベルソンは、すでにコンコルドではおなじみのメンバー。
いつのも常連たちがまたゲストを迎えてのセッションになる。彼らの演奏は相手に合わせて何でもOKであるが、今回はロスのピアノも何となくベイシー風に。ベルソンのドラムもオーケストラの時とは趣を変えて。レイブラウンのベースだけはいつどこで聴いても安心だ。

これまで、コンコルドの仕掛けた復活劇も現役から半分引退したようなプレーヤーが多かったが、今回はバリバリの現役の二人。当時の西海岸のビッグバンドに登場することが多かった。
ただし、いつもはソロをとることが少ない彼らに、メインゲストとして思う存分ソロをとらせるのが今回の企画。ジェファーソンの企画にまたまた拍手だ。

1. I Let a Song Go Out of My Heart 
2. Mean Dog Blues           
3. Cederay           
4. Limehouse Blues          
5, Cherry              
6, Medley:
   You've Changed         
   I'm Confessin'   
   Come Sunday           
7. Catch a Star              
8. Should I?                 

<Personnel>

Marshall Royal (as)
Snooky Young (tp.flh)
Ross Tompkins (p)
Freddie Green (g)  
Ray Brown (b)  
Louie Bellson (ds)
Scat man Crothers (vol)

Engineer : Phil Edwards
Producer : Carl Jefferson

Originally released on Concord CJ-55

Snooky & Marshall's Album
Snooky Young with Marshal Royal
Concord Records

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レッスンプロがツアーに出場してひと暴れすると・・・

2007-11-06 | CONCORD
The Real / Howard Roberts

ゴルフの世界は、最近女子プロの世界の話題が豊富だ。
藍ちゃん、さくらが話題を賑わしていたら思ったら最近は上田桃子が圧倒的な強さを見せる。昨日も欧米の強敵を相手に見事に捻じ伏せてアメリカツアーの切符を手に入れた。
アルバトロスなどという、男子プロといえどもなかなか出来ない離れ業も見せるとは恐れ入ったものだ。

プロを目指すゴルファーは山ほどいるが、ここまで到達できるのは僅か数人。ツアーにレギュラーで出場でき、賞金で生活できるのもほんの一部のツアープロだ。
他の大部分はプロになったといっても、ゴルフだけで生活できる訳ではない。
ゴルフのプロがもう一つゴルフで生活できるのはレッスンプロの道。プロは大なり小なりレッスンで生計を立てているとは思うが、このレッスンプロとしても一流になるには人一倍の努力が必要である。
基本となるメソッドを身に付け、いいスイングも悪いスイングもすべて身をもって体験して人に教えられるようにならなければならない。優秀なレッスンプロになると、他のプロの物まねも上手いものだ。理論だけでなく、どんな技でも実践できる技術を身に付けている。

ジャズの世界も同じかもしれない。
コンサートツアーやレコーディングだけで生計を立てられるのは一握りだけ。
多くはプロといっても、スタジオワークを生活の糧にしている。
あらゆるジャンルの、どんな演奏でも初見で演奏できる技術を持ち合わせているプレーヤーが重宝がられる。いつも最初にお呼びがかかるファーストコールがスタジオワークの一流どころだろう。
そして、もてあます技術を後継者の教育に費やする者もいる。後継者の育成はある種の社会貢献であり社会還元だ。特にアメリカではその意識が強いようだ。

スタジオミュージシャンも、そこに至る経緯を辿れば有名バンドのメンバーとして活躍していた有名プレーヤーがスタジオ入りすることがある。ベースのレイブラウンなどはその代表格だろう。かえって、それによって自分のアルバム作りが自由にできるようになるメリットもある。
しかし、有名プレーヤーのバンドやツアーにも参加せず、スタジオのセッションワーク中心に活動を続けてきたプレーヤーもいる。もちろん、自分のアルバムを出したことはあるが、それも有名になることも無く、あるいは自分の思うようなプレーを出来ずに終わってしまうことも多い。

ギターのハワード・ロバーツもそのような一人だ。
リーダーアルバムもあったようだが、自分は知らないし持ってもいない。
ただし、レコーディングセッションへ参加した回数はジャズだけに限らず膨大な実績がある。
そして、セッションへの参加だけでなく、ギターの教育者としても活動と実績を残してきたそうだ。

そのような、彼に、突然お呼びがかかる。
コンコルド得意の、「すべて自分の好きなようにしてよいから」というレコーディングの誘いだ。
ツアーライセンスのないプロゴルファーに、突然ツアー参加の招待状が届いたようなものだ。
それも、マンデーからの参加ではなく、いきなる本戦に。
「キャディーや同伴のプレーヤーもやり易いように全部自分で選んでいいから。」という夢のような話だ。

これで実力を出し切れるかどうかは本人次第だが。何も気負うことなく、本来の彼の実力を出し切った。このアルバムのタイトルは、「The Real」。
彼は、'77年のコンコルドジャズフェスティバルにも参加している。その直後の録音になる。
普段見せたことのない、「本当の実力」を出しきった演奏となっている。

最初の曲はハンコックのドルフィンダンス。これで、彼の意気込みが感じられる。そして、スタンダードのダーンザットドリームの次にはマイケルフランクスの曲を。レイブラウンのオリジナルのブルースと続く。バックを努めるロス・トンプキンスのピアノもロバーツの演奏に実に良く調和している。彼も状況や相手に合わせて変幻自在のピアノを弾く。器用なピアニストだ。

彼のギターは、特に目立った特長がある訳ではないし、特異なサウンドを出すわけでもない。派手に立ち回るわけでもない。
「レッスンプロ」の技術を凝縮した、確実にパー狙いのゴルフのようだ。それもすべてバーディーが狙えるような確実さで。簡単そうに見えて誰もができるというわけではない演奏だ。

あまり活動の全貌が紹介されていないHowardだが、彼のすべてはこちらで詳しく分かる。

1. Dolphin Dance       (Herbie Hancock)
2. Darn That Dream      (Jimmy Van Heusen-DeLange)
3. Lady Wants To Know    (Michael Franks)
4. Parking Lot Blues     (Ray Brown)
5. Gone With The Wind    (Allie Wrubel-Magidson)
6. Serenata           (Leroy Anderson)
7. Angel Eyes          (Matt Dennis) 

<Personnel>
Howard Roberts (g)
Ross Tompkins (p)
Ray Brown (b)
Jimmie Smith (ds)

Recorded at Sunwest Recording Studio in Los Angeles, August 26, 1977

Originally released on Concord CJ-53


The Real Howard Roberts
Howard Roberts
Concord Jazz

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シンデレラボーイがフェスティバルの桧舞台にも・・・・

2007-11-01 | CONCORD
ROSS TOMPKINS AND JOE VUNUTI LIVE AT CONCORD ‘77

Concordレーベルに登場するミュージシャンのお披露目の場は夏に開かれるConcord Jazz Festival。アルバムに登場する往年の名手達がここの舞台にも立つ。
ROSSとJOEは前の年にも、ギターのジョージバーンズを加えたクインテットで出演していた
1977年はすでに数を重ね9回目の開催になる。このフェスティバルのために新設されたパビリオンでの開催も3回目を迎え、ますます活気を呈してきた年である。

6日間開催されたフェスティバルの5日目の夜の舞台に立ったのは、ピアノのロストンプキンが率いるトリオに、ゲストを迎えた演奏だ。
ロストンプキンスにレイブラウンとジェイクハナを加えたトリオはすでにコンコルドでは常連だ。
ハウストリオと言ってもいいかもしれない。

ピアノトリオでの「朝日の如く・・・」で始まる演奏を終え、ロスが最初のゲストを迎える。
テナーのスコットハミルトンだ。東海岸から呼ばれすでにあっという間に自分のリーダーアルバムを含む3枚のアルバムを吹き込んだと思ったら、フェスティバルの桧舞台にもお呼びがかかったのだ。

このトリオのメインゲストはバイオリンのジョーベヌーティー。
一方、こちらは大ベテラン。この組み合わせは前年のフェスティバルでも、ギターのジョージバーンズを加えたクインテットで出演していたが、今回はハミルトンが相方に大抜擢された。

各自のソロをフィーチャーした曲が続く。
”Almost like being in love”のバースからのべヌーティーのバイオリンがなんともいえない。

そして、最後のDark Eyes。圧巻である。
ベヌーティーとブラウンのデュエットで始まり、5人がそれぞれの個性と技を出し切った演奏で盛り上がってフィーナーレを飾る。
このようなフェスティバル特有のジャムセッション風のエンディングとは異なり、5人のコラボレーションも見事だ。

彼の今に続く活躍の礎となった初舞台。この年のトントン拍子の大出世。
ハミルトンが23歳のこの年は、彼にとっての一生忘れられない一年だろう。

このアルバムもハミルトンにとっては門出を祝うアルバムだが、翌年亡くなったべヌーティーにとってはこれが最後のアルバムになる。
結果的に新旧の名手の架け橋にもなった一枚のアルバムだ。

SOFTLEY AS IN A MORNING SUNRISE
I GOT IT BAD AND THAT AIN'T GOOD
I WANT TO BE HAPPY
DO NOTHING TILL YOU HEAR FROM ME
ALMOST LIKE BEING IN LOVE
WITCHCRAFT
DARK EYES

<Personnel>

Ross Tompkis(p)
Joe Venuti(vio)
Scott Hamilton (ts)
Ray Brown (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded live at Concord Jazz Festival , August 5 , 1977
Originally released on Concord CJ-51
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ジャズピアノを嗜む誰もがソロにチャレンジするが、モダンジャズの師も・・・・・・

2007-10-23 | MY FAVORITE ALBUM
THE GENIUS OF BUD POWELL

ピアノソロ。
ジャズでもクラシックでも、そしてポピュラーの世界でもピアニストが実力が一番試されるのがソロだろう。
メロディー、リズム、そしてアドリブ。すべて自分の10本の指で作り出さなくてはならない。
Concordに遅咲きのレコーディングデビューしたROSS TOMPKINSはいきなりソロでのデビューであった。

いきなりソロでデビューするピアニストも少ないが、何枚かのアルバムを作る中では必ずといってもいいほどソロアルバムを作る。ピアニストであれば一度はチャレンジしてみたい世界なのだろう。

モダンジャズピアノの父、バドパウエルもソロの演奏を残している。
そして、この演奏ほど「ピアノに向かってこれでもか!」といった雰囲気を感じ、プレーヤーの挑戦する姿を思い浮かぶことができるソロ演奏もめったにない。

元々、パウエルはリズムセクションの影が薄くなるほどグイグイと自分の世界で引っ張っていくタイプだ。テクニックがありながらレイブラウンという相棒とのコンビネーションを極めたピーターソン、ベースとドラムのコラボレーションを追い求めたビルエバンスと比較すると、パウエル世界はまたひとつ違う。

このアルバムの10曲中8曲がソロピアノである。
リズムセクション無しで自分の世界を思う存分に披露している。時期も絶頂期ともいえる50年代の初めの録音だ。
ライナーノーツの言葉を拾ってみる、躍動感、荘厳、美、幻想、特異・・・・という言葉が並ぶ。
それは曲に対する賛辞もあれば演奏もある。最初の5曲はオリジナル、後の5曲はスタンダード。持ちうるあらゆるテクニックを披露するが、珍しくストライド奏法を披露するのもソロならでは。

自分の曲であろうと、歌物であろうと、このパウエルのピアノが多くのピアニストにとってお手本になっていったのが覗える。
“TEA FOR TWO”, “HALLELUJAH”の2曲はレイブラウンとベースとバディーリッチが加わる。このリズム感と躍動感は圧巻だ。ソロの対極にあるようなベースとドラムのコンビネーションが聴ける。
ソロ中心のアルバムに、この2曲の圧倒する迫力がパウエルの真髄を語る。

Parisian Thoroughfare
Oblivion
Dusky 'n' Sandy
Hallucinations
The Fruit
The Last Time I Saw Paris
Just One Of Those Things
A Nightingale Sang In Berkeley Square

 Bud Powell (p)
  Recorded in NYC, February, 1951

Tea For Two
Hallelujah!

 Bud Powell (p)
 Ray Brown (b)
 Buddy Rich (d)
  Recorded in NYC, July 1, 1950


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満天に輝く星空の中で見失われないように・・・・・

2007-10-15 | CONCORD
Lost in the Stars / ROSS TOMPKINS

「星の数ほど」という物の例えがある。
満天の空の無数の星の中から特徴あるものが名前を得、そして誰もが知るところとなる。
同じように見える空でも、日によってその姿が微妙に変わっていく。それは一定の周期で廻るもであるが、長い歴史の中では星自体の存在も入れ替わっている。

音楽を好み、自ら演奏もし、それを仕事としていく人はそれこそ「星の数ほど」いる。
しかし、その中から人からお金をとって演奏を聴かせ、さらにレコードやCDを通じて世に広めていくことの出来る人はほんの一握りだ。
さらに、メジャーレーベルでタレントして育っていくのはごく一部の例外だ。コマーシャリズムに乗せられ、そこに生まれるものは脚色の中で音楽家が本来持っているものをすべて出し切れないこともあるし、反対に実力以上の評判を生んでしまうこともある。
これ自体は悪いことでもなく、時代時代の表面的な文化を作り出すためのひとつの側面である。一方で、その時代の本当の文化を支えているのは、いつの世でもパトロンや一部のファンであり、彼らによって作り出されている。

ジャズはそもそもその発生の経緯自体が人々それも一般市民の生活に根ざした文化であり、宮廷文化でもなければ、富裕層の道楽でもない。したがってその発展の中、記録として残されたレコードの世界では、マイナーレーベルの果たした役割が大きい。
ミルト・ゲイブラーのコモドア、ハーマン・ルビンスキーのSAVOY、アルフレッドライオンのブルーノート、オリンキープニュースのリバーサイド、ノーマングランツのクレフ・Verve・・・・・・などなど。
名盤といえるものの多くがこれらマイナーレーベルから生まれている。ビジネスとして成功した人もいれば失敗した人もいるが、いずれも設立の時期は商業主義とは無縁であった。オーナーやプロデューサーの独断と偏見でミュージシャンや曲が選ばれ、演奏の内容も作られていったのだ。

Concordレーベルも設立当初はまさにその「マイナーレベル」としての役割と使命を果たした。
コンコルドはサンフランシスの郊外にある小さな町。ジャズの本場のNew Yorkでも、L.Aでもない。
そのコンコルドの町で車のディーラーをしていた、カールジェファーソンが、趣味が嵩じて自分の町でジャズフェスティバルを始めたそもそものきっかけだ。
最初は、その記録ともいえるライブアルバムの発売からスタートしたが、徐々にそこに出演する日頃録音する機会のないミュージシャンに、自分のやりたいジャズを自由に演奏する場を徐々に与えていった。
過去に名声のあるプレーヤーだけでなく、新人の発掘にも積極的に行っていった。新人といっても、若手だけでなく、実力があり、レコーディングに機会が無かったプレーヤーに対しても。

ピアニストのロストンプキンスもそのような一人だった。
先に発売された”SCRIMSHAW“が、彼にとってのデビューアルバムになる。40歳近くになってのファーストアルバムだった。エリックドルフィーやズートシムスなどとの共演暦もあったらしいが、経歴で一番有名なのはテレビのツゥナイトショーでのレギュラー出演。
その彼のデビュー作となれば、普通であれば、今風の曲を、今風のアレンジを施し、その当時の流行のフュージョン仕立てをするのがアルバム作りの常識であろう。
ところが、このアルバムは「ソロアルバム」。有名になったプレーヤーでもソロアルバムは、その内容や制作のタイミングが難しい。
ソロは、ある意味ミュージシャンの本質そのもの。何の小細工も効かない一発勝負となってしまうものである。商業ベースで考えれば、こんなリスクのあるアルバム作りはありえない。
それができたのが、Concordであったのだ。

ソロが出れば、次はトリオ演奏。ピアノであれば、常識的な展開だ。
パートナーとしては、お馴染みRay Brown とJake Hannaが選ばれた。
商業的に捉えれば、この2人はテレビの競合番組に出ていたメンバー。そのような商業主義の視点で見れば共演のいうのも難しい側面になるが、Concordではこれもお構いなし。プライベートを含めて地元のセッションで顔を合わせていた両者の仲を優先した。

とはいうものの普段レギュラーで演奏している関係ではなく、録音に際しては初顔合わせに近いもの。たまたまトンプキンスの選んだ曲2人は良く知っていたらしい。
早速演奏に入り、この録音は一日で終わる。Concordの特徴である、オーバーダビングや編集などは何もせずに。さらに3人でのトリオ演奏に加え、一作目の延長ともいえるソロも交えている。演奏家としての自信だろう。
2人に共演者を得てピアニストとしてトンプキンスがさらに一段とクローズアップされた一枚だ。

これによりトンプソンが星空の中で見失われること無く、輝く場所を確保できた一枚だ。


1. Lost in the Stars               Weill, Anderson 5:57
2. Wait Till You See Her            Rodgers, Hart 3:55
3. I've Got a Crush on You          Gershwin, Gershwin 4:55
4. Indian Summer                Herbert, Dubin 4:51
5. What Am I Here For?            Laine, Ellington 5:59
6. Lush Life                   Strayhorn 4:12
7. Liza (All the Clouds'll Roll Away)     Gershwin, Gershwin, Kahn 5:24
8. Boy Next Door                Martin, Blane 5:29

Ross Tompkins (p)
Ray Brown (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded in 1977
Originally released on Concord CJ-46
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大人のJAZZファンにもオーケストラの楽しみをもう一度・・・

2007-08-13 | CONCORD
150MPH / Louie Bellson And His Big Band

ConcordのオーナーのCarl Jeffersonは自らプロデュースして次々とアルバムを制作していったが、たまに以前録音されてお蔵入りしていた音源を発掘してリリースした。
前に紹介したShelly Manneのアルバムもそうであったが、このベルソンのオーケストラもその一枚。
74年の録音だが、当時は一部で限定配布されていたもの。広くは流通していなかった。
「このような演奏は広く世に出したほうが良い」とのJeffersonの英断でConcordレーベルにラインアップされて再登場したもの。

ルイベルソンは、西海岸を拠点にしてBIG BANDを編成していたが、活動のひとつはヴォーカルのバック。TONY BENNETや、ベルソン婦人でもあるPearl Bailyのバックバンドを努めていた。
ライブの活動の拠点はロスの「Donte’s」。
そして、もうひとつの活動は学生バンドのクリニック。ハイスクールやカレッジ周りをして、若者へのJAZZの教育、啓蒙・普及にも貢献したそうだ。
ロック世代の若者にBig Band Jazzの素晴らしさを伝え、スタンディングオベーションを受けるにつけ、大人のジャズファンにも今の彼の演奏を伝えたいと思って活動はしていたが。レコーディングの機会に恵まれず、しても広く世に出ることは無かったということだ。
そこに助け舟を出したのがJeffersonだ。ベルソンのコンボのアルバムはすでにConcordからリリースしていたが。今回はBIG BANDの演奏に陽の目を見させたということだ。

メンバーは西海岸のスタジオミュージシャンが中心。ベテランと新進気鋭のメンバーが集まっている。
編曲を含めてコンマス格はサックスのDON MENZA。
MENZAはBill BailyのBigbandにも参加していてこの時期西海岸では売れっ子だったのだろう。10年前にBudy Richのバンドの立ち上げに参加したBobby Shewもいる。サックスのPete Chiristliebもいて、Time Checkではメンザと2人でバトルを繰り広げている。
この時代のBIG BANDを象徴するように伝統的なベイシーサウンドを引き継ぎながらも、
ジャズロック風のプレーも取り入れ、サドメルが得意にした木管を重視したアンサンブルを取り入れたりしてコンテンポラリーサウンドもこなしている。
ベルソンのトラミングも、コンボのベルソンのドラミングの時とは異なり、アンサンブルの合間に絶妙なショットを繰り広げる。
その後ConcordやPabloでの録音も続き、ベルソンオーケストラ復活のきっかけとなった一枚だ。
そういえば、ベルソンは“pearl”ドラムを使っている。奥さんの名前にちなんでかも。

1. Louie Rides Again Bellson, Hayes 8:31
2. Spanish Gypsy Menza 6:56 *
3. Back Home Menza 5:02
4. Spacin' Home Bellson, Hayes 5:29
5. Time Check Menza 8:11 *
6. Hello, Young Lovers Rodgers, Hammerstein 5:04 *
7. Love Dreams Bellson, Hayes 3:15
8. Inferno Menza 10:36

<Personnel>
Bobby Shew , Stuart Blumberg ,Frank Szabo ,Conte Candoli ,Blue Mitchell (tp)
Charlie Loper , Frank Rosollino , Gil Falco , Dana Hughes (tb)
Dick Spencer , Larry Covelli (as)
Don Menza , Pete Christlieb (ts)
Billy Byrne (bs)
Nat Pierce (p)
Gene Cherico (b)
Jack Arnold (per)
Louie Bellson (ds)
 Recorded May 29 , 1974

(*)
Bobby Shew , Stuart Blumberg , Frank Szabo , Conte Candoli , Harry Sweets Edison (tp)
Nick DiMolo , Mayo Taina , Dona Hughes , Bob Payne (tb)
Dick Spencer , Larry Covelli (as)
Don Menza , Pete Christlieb (ts)
Billy Byrne (bs)
Ross Tompkins (p)
Mundell Lowe (g)
Gene Cherico (b)
Joe Porcaro (per)
Louie Bellson (ds)
Recorded May 25 , 1974

Concord CJ-36

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あるはずのレコードが見当たらない・・・

2007-07-27 | CONCORD
JOE VENUTI & GEORGE BARNES LIVE AT THE CONCORD SUMMER JAZZ FESTIVAL

Concordのアルバムを順番に紹介するようになって、あまり整理もしていなかった(というより聴いていなかった)レコード棚を整理し直した。Concordのアルバムはまとめて入れてあったはずだったが、結構あちこちに散在していた。もともと整理整頓は苦手。普段使っているものであれば、乱雑にしていても在り処が予測つくのだが。久々に探すとなると。

もう一度レコードナンバー順に揃えると何枚か欠番があった。少なくとも最初の頃のアルバム100枚はすべて揃えてあったはずなのだが、今回ばかりは・・・。
最初に見つからなかったのはCJ-13。これは欠番だったことが分かったので一安心。
次に無かったのがCJ-30。初期のアルバムの中でも、後にCDで買ったものも何枚かあるので、一応CDも探すが見つからない。カタログを見ると、ジャケットは見覚えがあるのだが、聴いた記憶があるような無いような・・・・。
何事でもそうだと思うが、好きで毎日眺めていると、いつのまにか自分で持っているような錯覚に陥ることがある。人の記憶は実にいい加減なものだ。

他のレコードの間も一応調べたが結局見当たらず。その内出てくるかなと思ったものの、諦めて中古を探してみることに。昔の感覚で久々に中古レコードショップに何件か行ってみた。そうそうあるものではない。普通のオークションサイトを時々覗いても見かけることはなかった。

そしてネットで検索をしたら、結構色々引っかかる。その中のひとつにアメリカの中古レコードショップが。これも、GOOGLEのお陰だ。これが無ければ、こんなサイトに来ることもなかっただろう。
よくよくこのサイトを見ると、複数のショップが加盟している中古レコードのマーケットプレース。いやいや、昔のアナログ盤がいとも簡単に見つかるようになっていたとは。
いつのまにかコレクターの人には便利な世の中になっていたということだ。

自分も、AmazonとかTower Recordとか、普通のコマースはよく利用しているが、中古マーケットははじめて。早速オーダーしてみたが、数日後には綺麗に梱包されて到着。
値段も手頃だし、送料も妥当。盤質も問題なし。
自分は、希少盤やオリジナル盤を捜し求めるようなことをするわけではないので、これで十分。

サックスを吹く友人と先日話をしたら、昔のマウスピースを紹介したり、売買するサイトもちゃんとあるそうだ。ネット時代の、コマースの本当の使われ方はこんなところにあるのかもしれない。マス商品ではない「一品」がグローバルでいとも簡単に流通する時代なのだ。流通革命は確実に起こっている。

という事情で、最近レコード棚に収まったのがこの一枚だ。
またレコードを買うようになるとは思わなかった。
前作CJ-29に引き続き、1976年6月30日のConcord Jazz Festivalのステージでのライブ。これも、引き続きスイング派の名演だ。同じ日の演奏なので、続いてステージに上ったのかもしれない。

VENUTIとBARNESの共演。Concordでは、「GEMS」というアルバムですでに2人は登場済み。
前作と較べて、最初に聴いた印象が熱っぽい。ライブという条件なのか、バックを、TOMPKINS、BROWN、HANNAと、いつものConcordの強力リズム隊がバックを努めているせいか。ライナーノーツにも、最後の締めくくりに、彼らの演奏は。「Hard bop」ならぬ、「HARD SWING」という表現があるが、そのとおりだ。
何となく、軽快なノリという印象が強いが。このSWINGの演奏のボルテージが上がると、下手なファンキーやロックに負けない、めちゃノリになる。アコースティックな響きで、このノリの状態は、大音量ハードなリズムで盛り上がるのとちがって、内面からメラメラ燃え上がるような心地よい気分になる。

演奏のスタートは、SWEET GORGEA BROWN。軽く軽快なノリでスタートするには最適な曲。続くミシェルルグランの素敵なバラードは、早々とスタンダード入り。後半(多分ステージもこの順番だと思うが)に入ると、このステージのハイライトだろう。「エリントンの名曲」が続く。
エリントンの曲は、オーケストラだけでなく、コンボにもよし、歌にもよし。そして、このようなSWINGのバンドにも、モダンなバンドにもあう。
エリントンの曲の素晴らしさを、改めて実感した。

VINUTIも、この2年後には他界してしまうが、翌年の元気なプレーぶりが聴ける

エディーラングとの初期の演奏は聴いたことがないが、ちょっと聴いてみたい気分になった。

SWEET GEORGIA BROWN
WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE?
TOO CLOSE FOR COMFORT
I CAN’T GET STARTED
SATIN DOLL
THINGS AIN’T WHAT THEY USED TO BE
TAKE THE “A” TRAIN
SOPHSTCATED LADY
“C” JAM BLUES

JOE VENUTI (violin)
GEORGE BARNES (g)
ROSS TOMPKINS (p)
RAY BROWN (b)
JAKE HANNA (ds)

Recorded live at the Concord Jazz Festival , June 30 , 1976



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ピアノはそもそもソロで聴かせる楽器であったが・・・

2007-07-18 | CONCORD
SCRIMSHAW / ROSS TOMPKINS

タイトルの“SCRIMSHAW”とは、象牙に施す彫刻のことだそうだ。
ピアノの鍵盤は、白鍵は象牙、黒鍵は黒檀で作られていたのが元々の姿。
今では、そのような物は稀だとは思うが、象牙とピアノは関係が深いということになる。

このアルバムは、まさに、ピアニスト“ROSS TOMPKINS” が、ソロで「鍵盤に彼の全知全霊」を刻み込んだということであろう。
Concordは小編成の演奏はあるが、全編全くソロだけのアルバムはこれが初めてだ。

ジャズの歴史の中で、ピアノはそもそもソロ楽器。
ラグタイムとか、ストライドとか、ブギウギなど奏法は変化していったが、ジャズの歴史の中ではピアノが前面に出てソロ楽器として活躍していた時期もある。
しかし、ジャズバンドが大規模な編成になると、その中でのピアノの役割はリズムセクションの一員に。
だんだん脇役になり管楽器の引き立て役になっていった。
あのカウントベイシーもファッツウォーラーを師と崇め、最初はテクニックを競うようなプレーをしていたが。自分のバンドを持つと、いつの間にかバンドの音の合間を埋める役割に。
いつの間にか、あの特徴ある3本指のプレーに変わっていった。

普段そんな役回りになっているピアノが、ソロになるとどうなるか。
ソロ楽器として思う存分ピアノの魅力を出し切れるかどうかは、プレーヤー次第。腕の見せ所である。

ROSS TOMPKINSという名前は日本ではあまり知られていないと思う。
60年代の後半はNew Yorkに居を構え、AL&ZOOTやClark Terry&Bob Brookmeyerのコンボでハーフノートにも出演していた。この共演盤も探すとあるのだろうが、全く記憶にはない。

そして1972年、テレビのTonight Showに出演していたTompkinsは、テレビ番組が西海岸に移るのと一緒に西海岸に拠点を移すことになる。Bill Berryと同じ境遇だ。この頃のニューヨークのスタジオミュージシャンは同じような境遇であったのだろう。
西海岸に移った後は、引き続き1992年までTonight Showをベースとしていた。コンボや、ルイベルソンのBig Bandにも加わって、地元のクラブ”Donte”などにも出演していた。
この経歴でも分かるように、あらゆる編成のバンドに加わって色々なプレーをしていた。
スタジオミュージシャンの常であるが、このようなキャリアだとそのプレーヤーの本当のプレーの姿がなかなか分からない。

このConcordレーベルにも、すでに、
RHYTHM WILLIE / Herb Ellis & Freddie Green
A PAIR TO DRAW TO / HERB ELLIS & ROSS TOMPKINS
LIVE AT THE CONCORD SUMMER FESTIVAL / LOUIE BELLSONS’S 7
の3枚に加わっているが、それぞれのアルバム(グループ)の個性は微妙に違う。
ピアニストとしてのTompkinsもそれに合わせて色々な顔を見せている。

今回は、ソロピアノ。
さすが、一人でプレーするとなると他人の影響は全く無い。
どう料理するか、相手は曲だけになるが。
今回は、すべてスタンダード曲を取り上げている。いずれも名演が数多くある曲ばかりであるが、一曲目のCheek to Cheekから本領発揮だ。
基本的に原曲を生かしながら、ゆったりとした自由なテンポで始まる。ピーターソンライクのテンポなフレーズに展開していく様は、奇抜さを狙わず、メインストリームジャズのソロピアノの見本のようだ。
素材となる曲の選び方も、特徴あるDJANGOを入れたり変化をもたせている。
自分としては、最後の3曲が特に好きな曲でもあり気に入っている。
久々に聴いたが、特に構える必要も無く、気楽にけれどもじっくり味わいながら聴くことのできるアルバムだ。

CHEEK TO CHEEK
COME RAIN OR COME SHINE
SOON
THE SONG FROM MOULIN ROUGE
LIKE SOMEONE IN LOVE
THE NIGHT HAS A THOUSAND EYES
GOODBYE
DJANGO
SKYLARK

ROSS TOMPKINS (P)

Recorded in 1976 (CJ-28)
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主役が似合うドラマーが登場・・・・・

2007-07-09 | CONCORD
LIVE AT THE CONCORD SUMMER FESTIVAL / LOUIE BELLSONS’S 7

ドラマーがリーダーのバンドは、ドラムソロのパフォーマンスを売りにすることが多い。確かにバディーリッチの名人芸は、それだけでもショーになる。
一方でリーダー格でもあまり前面にしゃしゃり出てこないドラマーもいる。
サドメルのメルルイスもそのようなタイプの一人だ。初期のConcordの主役、Jake Hannaも派手さはないが、確実なプレーが売りだ。
派手なパフォーマンスが得意なドラムの一人にルイベルソンがいる。2ベースドラムが売りでBIG BANDを中心に活躍してきた。

このルイベルソンがConcordレーベルにも登場した。

1976年のConcord Jazz Festivalに、Tony BennettのバックとしてBIG BANDを率いて登場。そして、その翌日の6月25日の夜に、自分のコンボ“Hot Band”を率いて再登場した。

ジャケットの写真を見ても分かるように、2ベースドラムだけに留まらず、タムタムやシンバルが林立している。これぞ、「ドラマーだ」というパフォーマンスが目に浮かぶ。
編成は3管にギターを加えたセプテット。ドラムに負けない分厚いサウンドと、ホットなプレーを繰り広げる。
ベルソンはドラマーとしてだけではなく、ジャズの教育にも深く関わりを持っていたそうだ。時にはバンドリーダーとして、そして作曲家としても活躍してきた。

このフェスティバルへの出演は、当時レギュラーグループとして西海岸で活動していたグループ。
トランペットのBLUE MITCHELLは、60年代の最初はBLUE NOTEで活躍したハードバッパー。この時は、西海岸に移ってBIG BANDを中心に活躍していた。プレー振りは変わっていない。
テーナーのPETE CHRISTLIEBは表立った活動をしていなかったのであまり知られていないが、テレビに出ていたDoc Severinsenのオーケストラの一員だった。
図太いテナーを聞かせてくれる。
そういえば、西海岸でのジャムセッションのアルバムにも登場していた。
これにトロンボーンを加えた3管編成のバンド全体の雰囲気は、ハードバップの香りを残しながらも、ギターのGEISSMANはワウワウペダルも使って今風のサウンドも取り入れている。

肝心のベルソンのドラムはというと、それほど派手に叩きまくるというよりは、ツボを得たドラミングを聞かせてくれる。オクターブにきちんとチューニングされたドラムは、時にメロディックな音で、管楽器との掛け合いも楽しめる。
ベルソンの初登場の顔見世興行としてはまあまあだが、やはりベルソンはBIG BANDが似合う。

1. Now and Then
2. Medley:
   Here's That Rainy Day
   My Old Flame
   It Might as Well Be Spring
3. Tru Blue
4. Roto Blues
5. Starship Concord
6. Dig

LOUIE BELLSON (ds)
PETE CHRISTLIEB (ts)
BLUE MITCHELL (tp)
DICK NASH (tb)
JOHN WILLAMS (b)
ROSS TOMPKINS (p)
GRANT GEISSMAN (g)

Recorded live at Concord Jazz Festival , June , 25 ,1976 (CJ-25)


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ギターとピアノのDUOをいうとBILL EVANSとJIM HALLを思い浮かべるが・・

2007-06-13 | CONCORD
A PAIR TO DRAW TO / HERB ELLIS & ROSS TOMPKINS

Concordのアルバムは、「2人のコンビ」を売りにするアルバムが多いような気がする。
ELLIS-PASS、BROWNとELLIS、HANNAとFONTANAとか。
でも15作目までは2人だけのDuoのアルバムはない。
今回初めて登場したのが、常連HERB ELLISとピアノのROSS TOMPKINSのDuo。
2人は、ELLISとFreddie Greenのアルバムですでに共演している。

JAZZの歴史上、息の合った名コンビがいたグループはたくさんある。
しかし、完全に2人だけのDuoとなるとレギュラーグループではなかなか思い浮かばない。
アルバムでは、サミーデイビスとマンデルロウとか、ロンカーターとジムホールのDuoを紹介した。いずれもじっくり聞かせるのがDuoの特徴であり、楽しみだ。
ピアノとギターというと、BILL EVANSとJIM HALLのUNDERCURRENTが有名だが、このアルバムもこの組み合わせ。

このアルバムは2人からの申し出があって作られたそうだ。
別に普段一緒にプレーしている訳ではないが、何かお互いしっくりきたところがあったのであろう。
リズムがいないDuoでは、お互い相手がソロをとるときは、リズムを刻みベースラインを奏でる。ピアノもギターもJAZZの世界では元々はリズム楽器。
モダンジャズの世界に入りソロが中心になって来たが、今回はソロにリズムにどちらも大活躍。Duoだとバックのリズムの大切さと美しさが改めて浮き彫りになってくる。
リズム隊がいなくとも基本的によくスイングする2人の「基本技」が随所に披露される。
アップテンポの絡みも楽しいが、スローなバラッドでのインタプレーが素晴らしい。
スタンダード曲が並ぶが、その中にTHAD JONESの名曲「A CHILD IS BORN」が演奏されている。
サドメルのアルバムで最初に発表されてまだ6年、すでに立派なスタンダード曲になっている。
大のお気に入りの曲だ。

HERB ELLIS (g)
ROSS TOMPKINS (p)

1. They Didn't Believe Me              Kern, Reynolds
2. Here's That Rainy Day             Burke, VanHeusen
3. Someday My Prince Will Come         Churchill, Morey
4. You and the Night and the Music       Dietz, Schwartz
5. Nightingale Sang in Berkeley Square       Maschwitz, Sherwin
6. You Stepped Out of a Dream            Brown, Kahn
7. A Child Is Born                  Jones
8. Spring Can Really Hang You up the Most  Wolf, Landesman
9. More I See You                  Gordon, Warren

RECORDED 1976
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もうひとつのオールアメリカンリズムセクション。

2007-05-18 | CONCORD
RHYTHM WILLIE / Herb Ellis & Freddie Green

オールアメリカンリズムセクションといえば、言わずと知れたカウントベーシーのリズムセクション。
そのキーマンは、ギターのフレディーグリーン。
生涯の大部分をベイシーバンドと共に過ごし、すべてをベイシーに捧げたと言っても過言ではない。
普段は裏方に徹していることもあり、彼の名を冠したアルバムはほとんど聞かない。

Concordレーベルは、設立当初からギタリストにこだわっていたが、10作目にして、このフレディーグリーンにも白羽の矢をたてた。
ひょっとして、フレディーのソロプレーでも聴けるのかと妙な期待を持って聞いたが、そのようなことは無かった。
いつもと同じ。フレディーのギターは普段どおり確実で完璧なリズムを刻んでいる。

ジャズのギターはクリスチャンの登場以降、ソロ楽器としての地位は確立していったが、リズム楽器としての役割は反対に低下していった。
もちろんバックに廻った時、ドキッとするようなリズムの使い方をするプレーは多いのだが、全編リズムに徹するとなるとフレディー以外はなかなか思い浮かばない。

フレディーの相棒となる今回のリズム隊は、コンコルドが誇るスイングコンビ。
レイブラウンとジェイクハナ。
これに、プレディグリーンが加わればリズムセクションは鬼に金棒だ。
本家、ベイシーのリズム隊に負けない、「オールアメリカンリズムチーム」が編成された。

そして、ピアノのロス・トンプキンス。
よくスイングするオールマイティーのピアニストだがConcordには初登場。
AL&ZOOTに加わっていたりしたが、70年代はロスでスタジオ入り。
この時もテレビのTonight Showの、Doc Severinsenのオーケストラにレギュラーで加わっていたそうだが、表舞台からは遠ざかっていた。

しかし、この機会を期に一線に復帰。その後、Concordに何枚もアルバムを残すようになる。Concordレーベルが、その後もこのように埋もれていたプレーヤーを再発掘した功績は大きい。
もしこのレーベルが無ければ、当時、西海岸のどこかで行われた話題にもならないような正統派の楽しいセッションを、今、このように聞くことはできなかったであろう。

そしてこの、リズム隊を引っ張るのは、初期のConcordレーベルのスター”Herb Ellis”。
これだけ役者が揃えばSwingしないわけが無い。
最後の、アップテンポでのOrange, Brown and Greenで、エリスのソロを支えるフレディーのリズムは圧巻。

究極のリズムギターだ。

1 .It Had to Be You  Kahn,Jones 4:05
2 .Rhythm Willie Ellis&Brown 5:52
3 .Gee Baby, Ain't I Good to You, Razaf, Redman 3:34
4 .Smooth One Goodman,  Christian 5:05
5 .When My Dreamboat Comes Home Friend,  Franklin 4:19
6 .Conversations ,    Ellis 4:03
7 .I Want a Little Girl Mencher, Moll 4:21
8 .Orange, Brown and Green Brown 5:38

Herb Ellis (g)
Freddie Green(g)
Ross Tompkins (p)
Ray Brown (b)
Jake Hanna (ds)

  Recorded in 1975
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