A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

昔のスイングオーケストラの名曲もアレンジが違うと一味違ったものに・・・

2014-10-15 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
New Versions of Down Beat Favorites / Harry James And His Orchestra

ビッグバンドのライブを毎日やるTN Swing Jazzというライブハウスができたことは前にも少し触れたが、先日2度目の訪問をした。

メンバーは前回と大分入れ替わっていたが、その日はリードアルトに澤田さんが入り、トランペットにもベテラン岸さんの顔が。全体のプログラムは前半がスイングナンバー、後半がベイシー主体といった感じで基本的には前回と同じような構成。
メンバーが多少入れ替わっても毎日やっているせいか、多少こなれた感じは受けたが、やはり澤田さんがリードで入るサックスセクションは明らかに前回よりも輝きを増していた。やはりメンバーも大事ということになる。

毎日やっているということは好きな時に行けるので嬉しいが、反対に「メンバーが当日店に行ってみなければ分からないというのが困ったもの」であった。やっと毎日のメンバーがホームページで公開されるようになったので、これでお目当てのプレーヤーが出る日を選べるので一歩前進だ

ところが、「ある種のオールスターメンバーでお馴染みのスタンダードを毎日やるところに足繁く通うか?」というと、これもいささか疑問だ。
野球でも、サッカーでもオールスターというのは年に一回のお祭り、毎日やってもお客が集まらないだろう。
ジャズも同じで、ある種のお祭りであるジャズフェスティバルの舞台でオールスターバンドによるスタンダード曲のジャムセッションを聴くのは楽しい。しかし、これを毎日聴かせるといっても食指が動かないのと同じような気がする。

ということは、今後は毎日のプログラムにも一工夫必要かもしれない。全部でなくともベイシー特集とかエリントン特集とかがあってもいいかもしれない。
しかし、そうするとベイシーを得意とするオーケストラとか、グレンミラーを得意とするオーケストラの方がいいという事になってしまう。実際、今のオールスターメンバーは自分のオーケストラを持っている人も多い。ということは、「特集をやるのであれば自分のバンドの方がいい」という事にもなりかねないし。

うまく軌道に乗せるには多少試行錯誤が必要かもしれないが、とにかくお客さんが増えなければ始まらない。その日も、残念ながら当日も客席はまばら。貸し切りで聴くのも気分がいいが、やはり多くのファンに囲まれた方が演奏にも熱が入るものだ。
今度は、ボーカルもレギュラーで入れるようだが、いずれにしても潜在的には沢山いるはずのビッグバンドファンにまずは一度足を運んで貰うことが先決だろう。せっかくできた毎日ビッグバンドを聴けるライブハウスなので、上手く運営されることを期待する。

さて、このような30年代から40年代にかけてのスイングバンドのヒット曲を集めたアルバムというのはこれまでもいくつも作られている。単に昔を懐かしんでというレベルもあれば、新たな解釈を加えた新アレンジのものまで。デビットマシューズのビッグバンドなどは毎回意表をついたアレンジで楽しませてくれる

あのデュークエリントンも、「果たしてビッグバンド時代は再来するか?」というタイトルでアルバムを作ったことがある。懐かしいメロディーをうまくエリントンサウンドに料理されたアルバムだったと思う。
実は、このアルバムは自分が初めて買ったビッグバンドのレコード。何度も聴いたが、このアルバムがきっかけでビッグバンドに興味を持ったといっていいだろう。ということは、最初はベイシー派ではなく、エリントン派だったということになるが。

このアルバムはエリントンのオーケストラがシナトラのレーベルであるリプリーズに移籍した62年に録音された物。実は、この続編ともいえるアルバムも作られたが、これはオーナー(シナトラ?)がお気に召さずにお蔵入り、それどころか他のレーベルに売りに出され、後日Atlanticから出されることになった。

同じように、スイング時代の大物の一人、ハリージェイムスのビッグバンドも同じような企画のアルバムを作ったことがある。
ビッグバンドの仕事がだんだんなくなってきたのは、大物ミュージシャンが率いるビッグバンドともいえども例外ではなく、このハリージェイムス同じであった。ウディーハーマン同様何度か挫折はあったが、亡くなるまでビッグバンドに拘った一人だ。
そんなジェイムスが自分が育った1930年代~40年代の先輩や同僚達のヒット曲を演奏した一枚だ。

1964年、東京オリンピックの年、この年もジェイムスは充実した一年を過ごした。
このハリージェイムスのビッグバンドが来日したのがこの年、エリントンやマイルスを筆頭に大物ジャズミュージシャンが大挙訪れた年だ。
TBSのテレビにも出演し映像が残されている。映像にもあるように、この時のメンバーの目玉はドラムのバディーリッチ、他には特に目立った大物ミュージシャンはいなかったが、バンド全体でスインギーな演奏が繰り広げられた。

帰国したジェイムは全米のツアーを続ける。この年、ジェイムスは自分のバンドを立ち上げてリーダー生活25周年を迎えていた。その年、ニューヨークでは世界博が開かれたが、それの開幕に合わせるようにカーネギーホールでのコンサートが仕上げとなった。ハリージェイムスにとっては、25年前ベニーグッドマンのオーケストラのトランペットセクションから独立スタートした思い出の地でもあった。

そんな活動をした年に作られたのがこのアルバムである。録音が3月なので、一連の活動に先立ち日本に来る直前の録音になる。したがって、メンバーは来日メンバーとほぼ同じになる。
タイトルは「ダウンビートお気に入りのニューバージョン」となっているが、要は1935年~1945年のスイングジャズ時代のヒット曲を新しいバージョンでお届けするという内容だ。

曲の方はお馴染みの曲ばかりでオリジナルのメロディーはアレンジを含めてすぐに思い浮かぶが、単なる焼き直しではなく、これらのニューバージョンというとやはりアレンジの巧拙がものをいう。

では、このアレンジが誰かというとサドジョーンズである。クレジットは無かったが、ライナーノーツの文中にさりげなく書かれている。

時期は、丁度カウントベイシーのオーケストラを辞めて、サドメルのオーケストラを立ち上げる間のフリーであった時のアレンジになる。
カウントベイシーのオーケストラではプレーヤーのみならずアレンジャーとしても活躍したが、提供した多くのアレンジがベイシーオーケストラにそぐわないという理由で採用されなかったという話は有名だ。そのジョーンズがどのようなアレンジを施したかが興味が湧くが、あのサドメルでのアレンジのような斬新さはないが、サドジョーンズらしい細工は随所に感じられる。バディーリッチの活躍もありバンド全体のスイング感は完璧だ。

来日時の演奏のCherokee。バディーリッチのドラムをフィーチャーしているが、このアレンジは、このアルバムのチェロキーと同じもの。

ハリージェイムスのアルバムとしては、あまり脚光を浴びてはいないと思うが、サドジョーンズのアレンジャーとしての軌跡の中では、意味あるアルバムのように思う。

TN Swing Jazzでも、同じ曲の違うアレンジが楽しめるようになればいいのだが。




1. Sentimental Journey
2. Cherokee
3. If I Could Be With You
4. King Porter Stomp
5. Harlem Nocturne
6. Flying Home
7. In The Mood
8. Sophisticated Lady
9. String Of Pearls
10. Frenesi
11. Taxedo Junction
12. One O’Clock Jump

Produced By Jesse Kaya
Recording Engineer : Bill Putnam
Arranged by Thad Jones

Harry James (tp)
Bob Turk, (tp)
Fred Koyen (tp)
Dom Bouno (tp)
Bill Mattison (tp)
Ray Sims (tb)
Joe Cadena (tb)
Jim McQuary (tb)
Joe Riggs (as)
Larry Stoffel (as)
Corky Corcoran (ts)
Dave Madden (ts)
Bob Archilles (bs,cl)
Jack Perciful (p)
Tom Kelly (b)
Buddy Rich (ds)

Recorded on March 9 & 10, 1964

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