A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

「蛍の光」の調べにのってお蔵入りしてしまった名作集・・・・

2007-10-12 | MY FAVORITE ALBUM
RECOLLECTIONS OF THE BIG BAND ERA / DUKE ELLINGTON ORCHESTRA

ジャズの歴史を顧みる時、レーベルの栄枯盛衰を辿るとそこにはもうひとつの歴史が存在する。
Quincyがシナトラからの命を受けカウントベイシーに編曲を提供し3者のコラボレーションが始めて生まれた。このアルバムが出たのは“Reprise”レーベルから。言わずと知れたシナトラが設立したレーベルだ。
Capitalに永年在籍し多くのアルバムを生んだシナトラもその制作方針に意見が合わず独立を決意する。そして自ら設立したのがこのRepriseレーベルだ。
イタリア語で「くりかえしくりかえしプレイする」という意味。「わが社は何回も何回もターンテーブルにのるようなクオリティー・ミュージックをつくる」と設立時に説明している。売れるアルバム作りにどのレコード会社も商業主義に走り始めた時に、ミュージシャン本意のアルバム作りをアーティスト主体に立ち上げたという意義は大きかった。
奇しくも映画会社で音楽(レコード)の世界に出遅れていたワーナーブラザースとのジョイントで60年に設立した。その時、Noman GranzのVerveレーベルも手に入れようとしたそうだから話は大事だった。
ここに、ディーンマーチンやサミーデイビスJr,などのシナトラ一家も迎え一気に100枚近くのアルバムを制作するのだが、経営自体は決してうまくいった訳ではなく63年に持ち株をワーナーに譲りこのレーベルの経営からは身を引くことになった。もっとも、これで数百万ドルと一連の映画制作の権利、更には ワーナーの重役の椅子を手にすることになったので、結果的にシナトラにとっては良かった選択かもしれないが。
おりしも世の中ロックからビートルズ全盛期に移行していった時期。不動の人気を保っていたシナトラといえどもロック世代には万能ではなくなってきた時代のことだ。
リプリーズ自体は、その後ロックもテリトリーに加えワーナーグループの独立レーベルとして発展を続け、シナトラが作った名前とロゴは今でも生き残っている。

このリプリーズレーベルに、デュークエリントンが1962年から1965年までに所属した。
まだシナトラが実権を持っていた時期の移籍。大きなニュースになったそうだし、エリントンも三顧の礼を尽くされ招かれたのだと思う。エリントン自身もプロデューサーとして活躍したが、よりポピュラーな路線のアルバムが求められた。もちろん彼自身のオーケストラに対しても。時代的には、BIG BANDが冬の時代を迎えたとき。ベイシーやエリントンといえども、今までのようには行かなくなった時代だ。

エリントンが移籍後の最初の録音は、有名バンドのテーマソング集。
「ビッグバンドは再来するか?」というアルバムタイトルで一作目は陽の目を見たが、2作目に当たるこのアルバムは陽の目を見ることなくそのままお蔵入りとなった。

その後、同じワーナーグループのジャズ&ソウルの老舗レーベル「アトランティック」から発売されることになる。録音から10年以上経った1974年のことだ。

有名バンドのテーマとなると懐かしい曲が並ぶ。スイング時代のバンドのテーマが並ぶ中で、新しいと思ったクインシーのオーケストラの“The Midnight Sun Will Never Set”も録音時点ではすでに10年経っている。まさに10年一昔だ。
この手のアルバムは一歩間違えると、ありきたりの「過去の名曲ベスト10」的な薄っぺらな企画になりがちだが、サウンドはやはりエリントンサウンド。結局各バンドのカラーより、エリントンオーケストラの個性が強いということであろう。
そして最後は何故か「蛍の光」で締める。
ストレートなメロディーラインの演奏に何故か愛着を感じるが、この曲と共にこの録音はお蔵入りになってしまったということだ。

丁度その頃のエリントンオーケストラの演奏。あのNEWPORTの名演を彷彿とさせるゴンザルベスのプレーが見れる。

1. (Cab Calloway's) Minnie The Moocher
2. (Jimmy Lunceford's) For Dancers Only
3. (Ben Bernie's) It's A Lonesome Old Town (When You're Not Around)
4. (Charlie Barnet's) Cherokee
5. (Quincy Jones's) The Midnight Sun Will Never Set
6. (Chick Webb's) Let's Get Together
7. (Tommy Dorsey's) I'm Getting Sentimental Over You
8. (Don Redman's) Chant Of The Weed
9. (Harry James's) Ciribiribin
10. (Jimmy Dorsey's) Contrasts
11. (Fletcher Henderson's) Christopher Columbus
12. Auld Lang Syne


Cat Anderson, Roy Burrowes, Cootie Williams ,Bill Berry,Eddie Preston(tp)
Ray Nance (tp, vln, vo) Lawrence Brown, Chuck Connors, Buster Cooper (tb)
Jimmy Hamilton (cl, ts)
Johnny Hodges (as)
Russell Procope (as, cl)
Paul Gonsalves (ts)
Harry Carney (bars, cl, bcl)
Duke Ellington , Billy Strayhorn (p)
Ernie Shepard (b)
Sam Woodyard (d)

Produced by Duke Ellington

Recorded at
Universal Studios, Chicago, IL, November 29, 1962
Fine Recording Studios, NYC, December 11,13.14,20,29 1962 and January 3, 1963


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