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お辞儀

2018-12-10 18:41:44 | 日記
「あさひ(旭)さんのお家に行ったら、きちんとお辞儀をしてから、こんにちはと言うのよ」と祖母が言う。あさひさんの家には中学生のお兄ちゃんがいて、小さな電車を見せてくれる。我が家にも私の父が子供の頃に遊んだ電車があって、それを叔父(父の末弟)が修理してくれて、離れ座敷の一間にレールを敷き、電気仕掛けで走ることは走るのだが、あさひさんの家のはもっともっと高級で、信号も踏切もついている。運転器を扱って電車のスピードを変えることもできた。あさひさんのおばさんは祖母の書の友達で、言葉は優しいが怖い顔をしていた。昭和15年か16年か、私は祖母の手に依って芦屋のボンボンに仕立てられていた。髪は坊ちゃん刈りであり、半ズボンに背広の上衣、胸にはループタイをぶら下げている。つまり、あさひさんの家へはヨソユキ姿で行くことになる。電車を見せてもらう前には正装ときちんとしたお辞儀が必要だった。

豊真将という力士が好きだった。大相撲は勝負のあとで、戦った2人が向き合って礼を交わす、そのとき敗者は一礼して先に土俵を降りる。ちょこんと首を下げる力士が多い。時にはアゴをしゃくるような形になるのもいる。つまり、そこの人柄が現れるのだ。敗戦のあとの豊真将は真正面を見て、腰を直角に折り、深々と頭を下げる。相手に対し、土俵に対し、ありがとうございました の形をとる。そこに潔さが見える。実に美しく、カッコよかった。

企業や公共団体や、そういった何かの組織で不祥事が起きる。トップかが№3ぐらいまでがテレビカメラの前で頭を下げる。揃って何秒間かきちんとお辞儀をする。確率で言うと、3人に1人は白髪であり、1人は禿頭である。チョロ禿もいる。なんとなく、3割3分3厘という言葉を思い出す。

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