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損得

2020-05-30 13:33:33 | 日記
Aは麻雀をやらなかった。競馬もやらない。酒も呑まない。すなわち社内でも友人が少なかった。昭和という時代だったからかもしれない。現代は呑まず・打たずの学生やサラリーマンが多いらしい。授業が終われば、仕事が済めばまっすぐ家に帰るのだろう。Aは宝くじをよく買っていた。「俺はバクチは嫌いなんだ。あんなもので損したくない」と言っていた。そんなに宝くじはよくあたるのかと訊くと、「そういうわけではないが、バクチの損とは違う」と言う。Aのような男とは話してもムダである。ギャンブルは負けた人間の金を勝った人間で分け合うことになっている。宝くじも、外れた人間の払った金を当たった人間が分けるのだと話してもムダなのだ。Aが、外れても損ではないと思うなら、それはそれでめでたいことではないか。

孫娘の夫であるH君はハンサムだ。がっちりとした体格で、180センチ近い長身。孫娘とは大学の同級生であるが、落ち着きがある。言葉遣いもきれいで、育ちの好さがうかがえる。高校時代はバスケットボール部の主将を務め。県大会で準優勝したそうだ。要するに欠点の少ない、カッコよい男性なのだ。当然のことに、家人も長女もH君のファンである。家人は、「マキちゃん(孫娘の愛称)はよかったわねぇ」と繰り返す。長女も同調している。これがマキの母である次女の耳に入る。重なって入る。あるとき、次女が長女に言った。「でも、マキだけが得をしたわけじゃないでしょ」。それはそうだろう。恋をして結婚したのである。結婚はバクチと異なって、両方が得をすることがある。あって当然だ。それでも次女の「マキだけが得をしているわけではない」は、昨年度の我が家の流行語大賞に選ばばれた。選んだのは私だ。このセリフには大賞の価値がある。

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