Takepuのブログ

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薄煕来どうなるか?

2012-03-03 01:59:42 | 時事
3月3日から全国政治協商会議(全国政協)、5日から全国人民代表大会(全人代)が始まる。重慶市副市長兼公安局長の王立軍が成都の米国総領事館に入り込み北京で審査を受けている事件で何らかの動きがあるだろうか。
香港紙などによると、重慶市代表が外部と接触できないように宿舎と人民大会堂の間は厳重な警備がしかれ、詰まらぬ事をメディアにしゃべらないように最大級の警戒をしているようだ。

これまでのところ、薄煕来・重慶市党委書記が北京に赴き政治局委員の辞意を伝えたということらしい。太子党の派閥の親分である習近平国家副主席が米国訪問など外遊中で国内にいないときに政治局常務委員会が開かれ、人民日報などでは温家宝首相が全人代で行う政治工作報告の内容を吟味したというが、親分がいないときに薄煕来の処分について話し合ったことは確実。香港紙などの報道によると、薄の対応については習近平の預かりになっていて、習が中心になって調査チームを作り対応を検討しているようだ。
王立軍については、米国総領事館を訪れ国家機密を漏らした・・・ような疑いについては、不問に付すようで、精神的に問題があった、というところでこいつ一人をトカゲのしっぽ切りして終わる可能性が高そうだ。

香港紙「明報」によると、王立軍が成都まで乗用車で来たときに、米総領事館に入れるように橋渡ししたとされる四川省公安局の幹部が今回の異動で交代になっている。重慶市の王立軍の後任も共産党青年団出身、いわゆる胡錦濤派の「団派」だとしており、重慶での権力闘争は胡錦濤が習近平に勝利し巻き返している、という報道もあるが、にわかには信じがたい。

確かに最近になって薄が「唱紅歌、掃黒」(革命歌を歌い、暴力団を排除する)と余り言わなくなっており、「和諧(調和)社会」とか「科学的発展観」など胡錦濤のスローガンをよく口にするようになってきているという。とりあえず、胡に忠誠を誓うふりをして、処分をなるたけ軽くされるように、とおとなしくしているのかもしれない。地元紙・重慶日報や地元テレビ局などではそれなりに露出されており、「失脚」という状態ではなさそうだ。

読売新聞が数日前に、中国の複数の関係筋の情報として、薄煕来が重慶での掃黒の際に、かつて重慶で書記を務めた賀国強・政治局常務委員=党中央規律検査委員会書記=(序列8位)の子分らも摘発したことで、また規律委員会方面の賀の縄張りを荒らした、ということで、薄煕来を懲らしめるために王立軍の周辺を徹底的に洗った、という見方を掲載していた。まあ、ありえる話ではあるが、賀国強はかつて江沢民の懐刀と呼ばれた曽慶紅に連なる派閥の人間で、曽がその後江沢民に見切りをつけて胡錦濤側についたとはいえ、江沢民が事実上指名した習近平の子分である、また江沢民にヨイショをしまくったとされる薄煕来を追い落とそうとするのだろうか。

その辺の構図がちょっとスパッと分かるような内容ではなかった。

日経が広東省烏カン村の村民による汚職幹部摘発要求とそれに伴って勝ち得た民主選挙についてまとめていたが、これが全国に広がる民主化の先駆けというより、村民の不満の矛先が共産党の独裁ではなく単なる汚職幹部で、村民は「上からの民主化」を実現させた共産党を感謝している、ということらしい。いち早く村民のニーズを見極め、混乱を見事に収束させた広東省党委員会の汪洋書記の株が上がったようだ。市政府が上から企業誘致や投資を呼び込むなどの開発独裁で内陸部の雄となった「重慶モデル」より評価が高いという。
胡錦濤がレイムダックになるまえに勢力を拡大しているということか。