Takepuのブログ

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地方選挙の立候補を当局が妨害

2011-05-29 01:33:02 | 時事
香港有力紙「明報」は、江西省新余市の区レベルの人民代表選挙に立候補しようとした女性工員を身柄拘束、立候補を阻止したと報じた。報道によると、この女性活動家は鋼鉄工場に勤める48歳。09年以来、退職者の待遇改善を求めて活動してきた。中央指導者に直接陳情しようと何度も北京を訪れ(上訪)、昨年7月に北京に行って10月に戻ってきたところを「不正常な上京による陳情」と10日間拘束された。
この女性は、工場から一定の条件を勝ち取り工員たちの評判がよいことから、区の人民代表選挙に立候補し、さらに良い条件を勝ち取ろうと、ブログなどで自らの経歴や医療保険の整備などを訴えていたという。市当局は、10日間拘留されたことで立候補資格を失う、と指摘してきたが、この女性は「選挙法には政治権利剥奪された場合を除けば、満18歳以上の誰もが立候補する権利があると書かれている」と主張、「彼ら(当局)は私が立候補名簿に入ることを恐れており、それだけでも私はすでに勝利した、との証明だ」と話しているという。

台湾では最高権力者の総統を有権者の直接投票で選出することができるようになったが、中国ではもちろん国家主席や首相を選挙で選ぶことはできない。日本だって首相を直接選挙で選ぶことはできない。ただ、中国では一定の民主選挙を導入するとして、村長レベルや県級以下の人民代表を直接選挙で選ぶことができるようになってきた。毎年3月に開かれる中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が立法や国権の最高機関で、省・自治区・直轄市・特別行政区の人民代表大会および中国人民解放軍から選出された代表(議員)によって構成されている。彼らを選出できるのがその下部の人民代表で県級以下、区の代表は上位の人民代表を選出する間接選挙の方式をとっている。ほとんどが当局が準備した共産党員の候補への信任投票の形になるが、それでも時々共産党員が落選したりして、当局が介入することもあるようだ。

全人代も「ゴム印議会」と揶揄されるように、共産党の指導や方針に対しておおっぴらに反対票を投じることはない。せいぜい最高人民法院報告や最高人民検察庁報告で、「犯罪撲滅や汚職摘発に手ぬるい」と批判票が出て、反対がやや多くなる程度だ。単なるガス抜きに過ぎず、報告そのものが否決されることはない。

このような事例は氷山の一角と思えるが、立候補の妨害に対して毅然と法をもって抵抗する人々がいるのは頼もしく思える。ただ、本当の民主化が実現するのはいつなのか。