Takepuのブログ

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キッシンジャー著「On China」

2011-05-17 10:27:46 | 時事
香港紙「明報」は16日、ニクソン米大統領の密使として秘密裏に訪中、電撃的な米中国交正常化へ導いたヘンリー・キッシンジャー元米国務長官の新著「On China(論中国)」が17日、米国で出版され、毛沢東が「王者の哲学者」、周恩来を「優雅」、トウ小平を「憂鬱なまなざしの勇敢なチビ」とするなど、キッシンジャー氏が近距離で接した中国指導者らの印象を記していると報じた。

同書によると、これまで一般的には米中の国交正常化について、ニクソン大統領がベトナム戦争集結への手続きを誤ったことへの国内の批判をそらすために訪中に積極姿勢を示していた、と説明されてきたが、実際に、先に手を打ったのは毛沢東のほうで、ソ連が中国に対して容易に武力を発動できないように、と考えていたという。新著によると、キッシンジャーは当時の中国の指導者たちは実務的な利己主義者で、共産主義を堅持していたといえども、米国と手を結びソ連をけん制したかったようだと見ていた。

キッシンジャーは中国の指導者たちについて、それぞれ別の見方をしており、このうち、周恩来について「会談のときは聖人然とした優雅さと人知を超える知恵を醸し出していた」との印象を示しているが、ニューヨークタイムズの有名な書評家で日系2世のミチコ・カクタニ(角谷美智子)は、周は常に毛沢東の政策に反対意見を出すかどうか考えていて、その結果、自分が排除され失脚するかどうか慎重に考えていた、と見ていたとする。

キッシンジャーは、1989年の「六四」(天安門事件)の後、中国の指導者は一時的に、米国に対して理解不能になったとしている。キッシンジャーは「私も天安門事件の結果に驚いたが、ただ、多くの米国人とは違って、トウ小平の15年もの改革が、伝統的な中国から現代化とグローバル化へ進むなかでの苦しみの過程なのだと観察している」としている。

と、ここまで明報の記事を読んでみて、キッシンジャーの見方は時として独善的でわざと突飛なことを言って注目を引こうとするような傾向があるのでは、と思っていたが、これもそんな感じかなあ、とも思ってきた。歴史の内幕を暴きだすような記述があるかどうか。カクタニはハリーポッターの小説で、発売前にあらすじを書評に書いて大顰蹙を買った、として話題を振りまいたが、キッシンジャーの新著についてはそこまでしなかったようだ。