Takepuのブログ

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グーグルって

2010-01-20 03:26:23 | 時事
中国当局に都合の悪いコンテンツや語句に対する自主検閲を強いられているうえ、反体制活動家が利用するGメールへの中国からと見られるサーバー攻撃が相次ぎ、米グーグルが中国撤退をほのめかしていることが話題になっている。一歩も引かないようなポーズをとっていたグーグルだったが、最近ニュースが聞こえてこない。
中国の熱狂的愛国者たちが書き込む人民日報の投稿サイト「強国論壇」を見てみると「グーグルは中国の法律を守れ!」「米国の論理を中国に押しつけるな」というような論調が目立つ。当然、サイトは中国当局の宣伝部によって監視されているから、グーグルに同情的な中国当局を批判するような書き込みは、仮に書かれても直ちに抹消される。そして、世論をリードするように当局によってサクラ的に書き込まれ、討論を誘導していく。中国当局のホンネというか、戦略方針とみていい。
ロイターなどの報道によると、中国外交部(外務省)のスポークスマンは定例会見で「中国で活動する外国企業は中国の法規を尊重し、中国の慣習と伝統を尊重し、相応の社会的責任を負うべきだ。当然ながらグーグルも例外ではない」と語ったという。中国を拠点とするサイバー攻撃に遭ったとするグーグルの主張については「中国企業も同様に攻撃された」と述べたという。
強国論壇の主張と同じ筋の展開だ。当然といえば当然だが。

我々西側の人間ならネットを開放、自由化しなければIT産業のみならず経済全般の発展も見込めないとわかるが、中国当局の石頭たちにそのような感覚はまったくない。そんなことよりも世界と中国をつなぐインターネットを放置して民主化活動、チベットや新疆の独立運動などを助長することで、自らの組織の存在を危うくする方が大問題と考える。組織を守るためにネットを封鎖する、その代償として経済発展が少しぐらい遅れようが、中国企業が不便になろうが、知ったこっちゃないのだ。
ところが中国でもネット人口が爆発的に広がり、当局の介入が物理的に不可能になりつつある。以前、このブログで触れたジャッキー・チェン(成龍)が「中国人は管理されたほうがいい」と暴言を吐いたことで、「強国論壇」に「猫」の字を使った毛沢東批判が現れたこともその一例だ。天下の人民日報のサイトといえども、おそらく機械によるキーワード監視程度なのだろう。ちょっと知恵を使って「毛」を同じ発音の「猫」に代えて毛沢東批判を書き込んだことで、その監視をくぐり抜けてしまったのに違いない。

ということで、人の手を使わないでネットを監視する、ネットを使った民主化活動を取り締まるために、中国当局はさまざまな方策をたくらんでいる。

以前紹介した、中国で使用するすべてのPCに接続監視ソフト「グリーン・ダム」を導入するよう強制しようとしたのもその一例。西側諸国や企業の反対で「すべての」PC導入を見送ることなったが、中国国内のネットカフェのPCには導入されている。ネットカフェからの情報発信には注意しなければならない。
中国当局は、マイクロソフトの「ウインドウズ」など、中国で使うソフトで、ソースコードの公開を求めることも強いたが、これも反対を受け、いまのところ見送られている。これらは今後いつ復活するとも限らない。
携帯電話のメール機能のうち、わいせつ目的のものを排除する監視体制を作ったとも報じられたが、わいせつは単なる口実で、当局に都合の悪い民主化活動などのメールを排除しようとしたものと考えられる。

これらはいずれも当局が民主活動家や独立主義者、分裂主義者たちが使うメールの中身を閲覧するために、ハッキング手段を確保するために行おうとしていると考えていい。「中国の法規、慣習や伝統を尊重せよ」というのは、このような理不尽な屁理屈を守れ、と言っているのだ。

天安門事件の写真が見られるなど、枝葉末節のニュースばかりクローズアップされているが、実際、中国当局が狙っているのはこのような言論弾圧だ。このような理不尽な措置に抵抗し言論の自由を守ろうとするグーグルの行動が、中国当局によって巧みにはぐらかされてしまっている。

それではグーグルは今後、中国と断絶して本当に撤退するのか。ヤフーやマイクロソフトも後に続くのか? そうは考えにくい。グーグルの勇ましい発言も聞こえなくなってきており、水面下で中国当局と交渉している可能性が高い。

マイクロソフトは、中国国内で販売されるPCのほとんどがウインドウズを使っていることから、中国市場撤退は考えられないだろう。ヤフーは中国進出に際して、アリババ・ドットコムの親会社アリババ・グループの株式40%を取得しており、中国市場でのアリババへの依存度を考えると容易に撤収できないのだそうだ。