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「家持が都に行かん前日に縄麿宴設け送らん(便ち大帳使を附サヅけ、八月の五日に、京師に入ノボらむとす。此に因りて四日、国の厨クリヤの饌モノを介内藏伊美吉繩麻呂が館に設マけて、餞ウマノハナムケす。その時大伴宿禰家持がよめる歌一首)」
「しなざかる越に五年住み住みて立ち別れまく惜しき宵かも(#19.4250)」
「雛びたる越に五年も住みました立ち別れるが惜しい宵です()」
「旅立ちは皆集まって縄麿が盃捧ぐに答える歌と(五日、平旦ツトメテ上道ミチダチす。仍カレ国司次官スケより、諸の僚ツカサッカサまで、皆共ミナ視送りす。その時射水イミヅの郡コホリの大領オホキミヤツコ安努君廣島アヌノキミヒロシマが門の前の林の中ウチに、預め饌餞の宴マケを設ナす。時に大帳使大伴宿禰家持が、内藏伊美吉繩麻呂が盞サカヅキを捧ぐる歌に和ふる一首)」
「玉ほこの道に出で立ち行く吾アレは君が事跡コトトを負ひてし行かむ(#19.4251)」
「都へと旅立つわたしは君がした業績もさげ報告をせん()」