とうとうパリ最終日の朝を迎えました。 夜の便で日本へ発つので、ほぼ一日を有効に使えるのですが、昨夜が午前さまだったのでゆっくり起床。同じホテルでの5回目の朝食もゆっくりと済ませました。
すぐにでも外出して、見残しているルーブルなどに飛んで行きたい気分でしたが、午前中は娘がデパートで買いものをしているあいだ、荷物の整理をし終えてボーっとしていました。
ホテルに荷物を預けて向かったのは勿論ルーブル美術館。足を運ぶのはこれで3回目ですが、ちゃんと見るのは初めてとなります。ミュージアムパス4日間を購入し、あれもこれもと予定していたのに・・・そうそう行けないもんですね。
MUSEE DU LOUVRE
チュイルリー公園を歩いていたら、犬の散歩をしている素敵なマドモワゼルに遭遇。お洒落な人って景観にマッチする何気ないファッションを心得ていますね。絶対に着ているものと外観と背景がバラバラではないんです。
後ろを見ればエッフェル塔。前にはルーブルのピラミッドが。よくもこんなへんちくりんなものを作ったなぁ、と思いますが、1980年代の大ルーブル改造計画のときに登場したものなんですね。これを取り除いたら、ベルサイユ宮殿のように、フランス革命前の歴代国王の宮殿としてしか見えないでしょう。だいたい私がはじめてルーブルを訪れたウン十年前のルーブルは、ただただ静かなイメージでした。観光客でごった返しているような時代ではなかったってことでしょう。
ピラミッドの下のナポレオンホールが美術館の総合案内所になっていて、そこから館内に入るようになっています。館内の見学順序などは決めずに適当に歩き回ったので、沢山の見どころを見逃しましたが、どれもが「見どころ」と思える所は、さすがルーブルだけあります。 A.カノーヴァによる「エロスの接吻で目覚めるプシュケ」
ミケランジェロの「囚われの身/瀕死の奴隷」
ドラクロアの「民衆を導く自由の女神」 以前、息子がこの絵のプリントしてあるTシャツを着ていたっけ(悪趣味?)
これは水死体?一生懸命調べたら見つかりました。ポール・ドラローシュの「若き殉教者の娘」。どこかで見た事がある、と思ったのですが、この絵は「オフェーリア」を連想させますね。異様・・なのに、ストーリー性を感じる幻想的な雰囲気に、つい目を奪われてしまいました。
さぁて・・モナリザの登場です。(webよりの写真) 私が撮ったのは残念ながらピンボケ!別に絵画を写真に収める必要はないと思うんですけど、つい撮ってしまうのはもはや癖。この場所だけはロープが張リ巡らされているんですが写真はOKだったのです。 ・・・ けど、モナリザを見つめている人を見るほうが面白い。 昔、ここでモナリザを見たときはロープなどなく、人もちらほらでした。 何だか贅沢な時代でしたね~今考えてみると!
モナリザと対面している、下の大きな絵の前にはロープがない! こちらは、ヴェロネーゼの「カナの婚礼」。横幅が9.94mもあります。
モナリザの他にもダ・ヴィンチの傑作が。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「洗礼者ヨハネ」(左上)は最晩年の作品。少年ヨハネが闇の中から光を浴びて微笑み、右手は天を指して救世主の到来を告げるポーズをとっている絵です。右は「バッカス」。この指の意味は? 以前読んだ本によると、ルネッサンス時代の名だたるアーティストにはホモが多かったとのことですが、それ故か、ダ・ヴィンチの描く男性像は表情がとても意味深で官能的にさえ思えます。
右も晩年の作品「聖母子と聖アンナ」。 この絵は「モナリザ」や「洗礼者ヨハネ」と共に、ダ・ヴィンチが最後まで手元に置いた絵だそうです。 聖アンナの膝に座っているのがマリアで、子羊と戯れているキリストを抱きとめようとしているのですが、これは、犠牲(受難)の象徴である子羊にキリストが触るのをやめさせようとしているのだ、という説もあるそうです。
ダ・ヴィンチの絵は、しかし、どれも不思議な魅力が漂っているように思います。立ち止まって凝視せずにいられないインパクト、というか、ストーリー性を感じてしまうのです。
ボッティチェリの「若い婦人に贈物をするビーナスと三美神」
・・・・サモトラケのニケ・・・・ 絶対に見忘れない様に、と友人から念を押された一点でしたが、 広~いスペースにこれ一点だけなので、いやがおうにも目に入ってきます。 ギリシャのサモトラケ島で発見された勝利の女神ニケは高さが328cmもあります。
学生風のグループが写生をしていたので覗きこみましたが・・・ ウ~ン・・ イマイチでした。
この巨大な空間と天井の高さ!ダリュの階段の踊り場にある「サモトラケのニケ」のロケーションは最高でした。
これまた有名な、ダヴィッドの「皇帝ナポレオン一世の聖別式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」の巨大な絵です。1804年12月2日ノートルダム大聖堂にて行われたナポレオン自身の戴冠式の様子を不滅のものにするために依頼したとのこと。完成までに3年も費やしたといいます。今から205年前になるんですね・・・
左は、P.P.プリュードンの 「ジョゼフィーヌの肖像」
「歴史のなかの女たち~名画に秘められたその生涯」という本の中に、彼女もその一人として書かれていました。 それによるとこの絵は戴冠式の次の年に描かれたとのこと。そして、ロマン派の画家ウジェーヌ・ドラクロワが、先輩の描いたこの絵を見て次のように語った、と、その章の文頭にありました。 「ブリュードンは、ポーズと、表情と、装飾品における精妙な高揚感をこの完璧な似姿に結びつけるのに成功した。彼女はマルメーゾンの森の葉蔭に坐っている。憂愁に満ちた表情は、不幸な運命を予感させる・・・」と。 これほど美しいジョゼフィーヌですが、後継者が出来ないことで離婚という結果になるとは・・。本を読むと、更に詳しい事が知りたくなります。
アングルの代表作「グランド オダリスク」は34才のときの作品。
時間に追われながら、急ぎ足でフェルメールの「レースを編む女」を探していた私たちですが、一度前を通ったはずなのに見落としていたのです。信じられなかったけど本当に。小さな絵なんですよね。係りの人に尋ねて引き返して見てきました。家に飾るのにちょうど良い大きさだわ。な~んてね。
下の二点はピーテル・デ・ホーホー(Pieter de Hooch)の絵です。オランダ全盛時代の風俗画家の一人として数えられ、フェルメールとはほぼ同時代。フェルメールの作品に影響を与えたことで知られているそうです。な~るほど。
「トランプ遊びをする人々」
「Femme Preparant des Legumes」和訳は?
私が気に入った作品の一つはPieter van den Bosのこの下の絵。ピーター ファン デン ボスと読むのでしょうか?1600年代のオランダの画家です。
ルーブル美術館は、散歩するように見たい場所。建物を含め、全てが芸術品なんですものね。館内のエレベーターにも乗って見ましたが、これは新しかったです。中の押しボタンはこんなでした。今回は急ぎ足でしたが、それでも最高級の作品の数々のオンパレードに、充分堪能することが出来ました。本当に素晴らしかったです!
再度の遅いランチは、ず~っと憧れていたル・カフェ・マルリーで! テレビで紹介されたり、ファッション雑誌の撮影場所だったりする度に指をくわえて見ていたんですが、ついにお客さんになりました。 陽気なボーイさんは口笛を吹きながらやって来るし、まるで映画の主人公になった気分でした。サンドイッチも何もかも美味しく、嬉しくてホンのちょっとだけチップを弾んだら、入口まですっ飛んで来ました。昔、パリのフランス人に抱いていた印象というと、《プライドが高く他人に無関心》的なイメージだったのですから、先入観はどっと崩れました~。
03Nov'09! |