e-note 2005

どうも、ぽんすけです。メモ帳代わりに軽くやらせてもらいます、嘘だけはつかないように・・・

ウンコに学べ!

2007年02月13日 22時08分09秒 | 
有田正光・石村多門共著『ウンコに学べ!』(ちくま新書)読む。

素晴らしい!素晴らしす過ぎる!!感動、感動の嵐。

ウンコを有機物、有機体のひとつとして捉え、生態系の中での位置づけや文化的なあり方などをつづったもの。環境科学から文化史、社会学、倫理までを語りつくす究極の書。

まずは抜粋から
● 富栄養化による水質汚染:水域に窒素やリンなどの栄養塩が大量に供給され状態を富栄養化しているという。このとき植物プランクトンが大増殖して生ずる水質の悪化を有機汚染という。ミクロキスティスなどの植物プランクトンは水面に青い粉が吹いたように見えるのでアオコと呼ばれる。一方、アナベナなどの植物プランクトンが大増殖すると水面が赤褐色に着色される。これはアオコ(水の華)と区別して赤潮と呼ぶ。赤潮が発生すると海面が着色され、植物プランクトンが魚介類のエラにつまり窒息死する。
● 嫌気性細菌による分解は緩慢で、有機物の分解速度は酸素がある場合の好気性の分解に比べて、その速度が10分の1から100分の1に遅くなる。
● 環境ホルモン:環境ホルモン(正確には外因性内分泌攪乱物質という)には、PCB、DDT、ダイオキシンなど多種類ある。この中でPCBとDDTはそれぞれ電気製品の絶縁体や農薬として過去に大量に使用され、現在は使用禁止されているものの難分解性の物質であり、現在でも環境中に大量に蓄積されていると考えられている。一方、ダイオキシンはサリンの2倍の毒性を持ち、主たる発生源はゴミの焼却に伴うものであるとされている。
● 水道水の塩素消毒のあり方:水道水を得るためには殺菌のために塩素が添加される(下水処理の殺菌と同様)。ところが、ある種の有機物は塩素と反応して発ガン性のトリハロメタンを生成する。そこで、近年ではろ過・凝集沈殿などによって有機物を出来るだけ除去した後に塩素を添加する方式や、オゾン・生物活性炭吸着を塩素殺菌と組み合わせた高度処理などが採用されるようになってきている。なお、トリハロメタンは揮発性なので、やかんのふたを開けた状態で数分間煮沸すると家庭でも簡単に除去できる。
● 皆村武一著「ザ・タイムズに見る幕末維新」(中公新書)
● ダーウィン「ミミズと土」渡辺弘之訳、平凡社
● 環境経済学の成立:近年になって人間の経済活動が大規模になり、資源の枯渇や自然環境に与える悪影響が深刻になってきている。いまや、自然環境に配慮しない経済活動は成立しないと考えてよい。したがって、環境と経済の対立関係が生じる原因を明らかにし、両者を調和させて良好な関係を維持しながら経済活動を持続させる事が必要になる。このような問題を扱う経済学の新しい分野が「環境経済学」である。
● 環境倫理:環境経済学では環境を経済因子の一つとしてとらえ、それを保全することがコストはかさんでも結局はわれわれの利益になると考える。しかし、その概念は総論として正しくても、個人の利益とは一致しないことが多い。これは、ゴミの不法投棄が日常的に行なわれたり、公園が汚されたりする現実を見れば明らかである。つまり、個人にとっては自然環境を保全することより、目先のゴミを捨てることが利益であったりするのである。そこでは個人の倫理観(環境倫理)が問われるのである。倫理とは「人間は社会環境や自然環境の中で調和して生きていかなければならない」、という現実に起因した行動律を表すものである。したがって、倫理という言葉はもともと環境的なものであるといえるだろう。
● 一般に、自然を細かに再現する庭園や茶の湯に見られる侘び寂びの世界といった独特の文化を作り出してきた日本人は昔から自然を大事にしてきたとか、経済優先は西欧近代の論理で、東洋の伝統的価値観はもともとエコロジー的であったといったように、持ち上げられる場合が多い。だが、むしろ日本人の自然観には、自然と社会の境界線を曖昧にし、自然を破壊する社会の動きさえをも均し並に「自然の勢い」として認めてしまう無力さが潜んでいるのではあるまいか。(中略)日本人は、花が咲けばああきれいだとため息をつき、花が散ればああ哀れだとため息をついてきたのだ・・・となるのである。それゆえ、その延長線上には結局ゴミ焼却場ができてしまい、そこからまき散らされる排煙によって子どもが喘息もちになっても、ああ喘息になったなあともののあわれを感じるだけということになってしまう。
● 谷崎潤一郎「少将滋幹の母」、芥川龍之介「好色」
● act locally,thik globally(地球大でものを考え、地域に密着して行動する)

ウンコでこれだけ話ができるなんて・・スゴ過ぎる。その話が並大抵じゃない内容で、しかも語り口が面白い。アタマのイイ学者が面白い事を書くと本当にハンパじゃないパワーを発揮する。まさにウンコ万歳である。