高野秀行著『謎の独立国家 ソマリランド ~そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア~』(本の雑誌社)読み終える。こんな面白い本、久々に出会ったわ。第35回講談社ノンフィクション賞受賞作。
そもそもソマリアっていう国を知っているかどうかで話はずいぶんと変わってくるのだが、アフリカ大陸の右上の方にあって‘アフリカの角’なんて呼ばれてる。ケニア、エチオピア、スーダンなんかと国境を接していて、海峡をはさんでアラビア半島のイエメンがある。
そしてなんといっても、この20年ほどの内戦のせいで無政府国家、混乱の極みっていうのが圧倒的なイメージだと思う。また、最近有名なのは海賊。海賊が出現し外国人を拉致して身代金を奪ったり、石油タンカーを襲ったりと悪行の限りをつくす。アメリカにも軍事進攻されたりして、でも相変わらず安定することなくひたすら混乱し荒れ続けている…そんな感じ。
だが、そんな国ソマリアの北部地域が‘ソマリランド’として独立した。もちろんこんな国を誰も承認することなく、国際的にはまったく認められない一地域として存在していた。しかし、そのソマリランドが武装解除に成功し、民主的な選挙によって大統領を選出し、独自通貨を発行。通貨はしっかりと流通し、治安も安定。さらには選挙によって政権交代が行われ、クーデターが起こることもない。もう奇跡しかいいようのない国家がアフリカに存在しているのだ。だが、だれもこの国を‘知らない’。
ソマリアに住むのは遊牧民ソマリの人々。彼らはソマリアはもちろん、ソマリランド、エチオピア、ケニア、エリトリアなどに住んでいる。著者はケニアのソマリ難民キャンプや‘リアル北斗の拳‘状態のソマリアなどにも潜入。ソマリ地域を嘗めつくす。
面白過ぎる!ハードカバー500ページ以上の大作だが、ほぼ一気読み。アフリカに関心がある人は絶対に読んでください!本当、最高の一冊に出会ったわ。