うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の世界 五十三

2009-09-19 05:06:09 | 日記

酔いざめの風のかなしく吹きぬける 自責<o:p></o:p>

自責とわざわざ題します。酔いざめの水を甘露甘露と、飲む心境とはいかないようです。昨夜の酔態が脳裏を走り、心を苛むといったところですか。酒のすえた臭いを消そうと窓を思い切り開け放ちました。しかし逆効果、風はこころを虚ろにして吹き抜け、一段と悲しみに打ちしがれるのです。<o:p></o:p>

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啼鴉いたとて誰も来てはくれない<o:p></o:p>

カラスがもの悲しく啼きます。「お前も仲間を呼んでいるのか、ついでに私の友達も呼んでくれないか。」無情にカラスは仲間を見つけたのか、あっさりと飛び立っていきました。<o:p></o:p>

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山羊はかなしげに草は青く<o:p></o:p>

草原につながれた山羊は、陽が落ちかけなければ誰も迎えにはきません。草を食むことにも飽きた山羊は孤独です。白い体をときたま震えるように動かします。草の青さがそれに沁みこむようです。<o:p></o:p>

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ひらひら蝶はうたへない<o:p></o:p>

花から花へ蜜を求めて蝶は舞います。静かな昼下がり、森閑とした空間に蝶は舞います。伴奏もなくひたすら舞います、歌を口遊むこともなく。鮮やかな無言劇です。<o:p></o:p>

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ぬれててふてふどこへゆく<o:p></o:p>

にわか雨が駈け抜けて行きました。花畑は一瞬にして雨の煙幕に覆われたようです。蝶も慌てて飛び立っていきましたが、雨に濡れて体が重くはないのですか。じっとしていなさい。ほら、雨は通り過ぎましたよ。<o:p></o:p>