うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の世界 三十八

2009-09-04 04:54:29 | 日記

樹が倒れてゐる腰をかける<o:p></o:p>

今日は大分歩きました。時刻は昼でしょうか、夕暮れでしょうか、行乞の成果はいかがなものか気にかかるところです。おやおや一休みと思った矢先に、道脇の古木が切り出され、運び残したものか、それとも自然と朽ち果て倒れたのでしょうか、疲れた足腰に手頃なベンチです。<o:p></o:p>

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燕とびかふ旅から旅へ草鞋を穿く<o:p></o:p>

旅を続けるには最高の季節です。早朝の旅立ちも苦になりません。草鞋の紐も念入りに結びました。街道を行くそんな旅人の頭を、巣に居る雛に餌を運ぶ親燕か、かすめるように飛んで行きます。<o:p></o:p>

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飲みたい水が音をたててゐた 木曽路三句の一句<o:p></o:p>

以前に一度飲んだことがあるのでしょうか、又は人づてに名水のありかを、聞き知っていたのかも知れません。喉の渇きもさりながら、甘露甘露と味わいたい一心で傍目もふらずに歩いてきました。目的の場所に来れば、旅人を歓待するが如くに音を立てて、岩肌にしぶきを上げています。<o:p></o:p>

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山ふかく蕗のとうなら咲いてゐる 木曽路三句の一句<o:p></o:p>

木曽路の山は新緑に聳え、何者も寄せつかない気配に満ちています。しかし旅なれた山頭火、臆することなく街道を外れ蕗の薹をなんなく見つけます。<o:p></o:p>

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まこと山国の、山ばかりなる月の 飯田にて病むの一句<o:p></o:p>

他国の月は感傷的です、まして病む身には。鬱蒼とした山並みに出る月は孤影に映えて、心に淋しく映りました。<o:p></o:p>