観測にまつわる問題

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日本の防衛力整備の方向性

2022-02-05 23:27:45 | 外交安全保障
これまで総花的だった日本の防衛体制ですが、もっと優先事項特化型にすべきという村野将氏(ハドソン研究所)の提案があります(外交 Vol.71 Jan./Feb. 2022 「日本が直面する安全保障環境と戦略見直しの諸課題」)

>日本には残存性に優れ、相手の防空網を確実に突破できる地上発射型の中距離弾道ミサイルが必要となる。

抑止力の維持のためには、残存性(抗たん性)が重要になりますね。網羅的に防衛力を整備したところで、抑止力が維持されなければ(相手の第一撃で潰れてしまえば)意味がありません。ただし、これは対中国戦略で必要になるということでしょう(詳しくありませんが、(通常戦力ででも)敵航空基地を叩ければ、尖閣侵略や台湾侵略を防ぎやすくなるということでしょうか)。対北朝鮮戦略では別の戦略が必要になりそうです(対ロシア戦略で言えば、F-35の三沢基地への配備等、既存の戦略を維持できれば大きな問題はないかもしれません)。

北朝鮮はなぜ今、こんなにミサイルを発射しているのか?(2022年1月の事情:リアル編)(黒井文太郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

>いわゆる敵基地攻撃能力では、北朝鮮のリアルな脅威である「米軍の核戦力による報復を覚悟で核ミサイルを撃ってくる時」の抑止力にはなりません。
>日本がやるべきことはミサイル防衛の向上です。すでに既存のミサイル防衛では撃ち落とせない極超音速滑空ミサイルを迎撃する新しいミサイル防衛システムの開発が米国で始まっており、そのプロジェクトへの協力と、将来完成したときに備えての運用の準備がたいへん重要です。

北朝鮮は核開発・ミサイル開発を着実に進めており、対米攻撃能力を高めることを目的としているようです。北朝鮮は対韓国で危ない橋を渡ってもおり(延坪島砲撃事件/天安沈没事件)、何をするか分からないところがあるのは皆承知していると思います。矛が抑止力になるのは当然ですが、究極的には米国の核戦力があるので、日本を守るためには盾が必要だと理解しています。これまでの既存のミサイル防衛システムが不要になったとは思いませんが(気になる人は専門家にでも聞いてください、新しいミサイルに対して防御が必要になってきたことは確かなようです。


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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
核攻撃機 (管理人)
2022-03-03 19:57:40
ドイツがF-35を核攻撃機にするみたいですね(核共有で)。その有効性は筆者には分かりかねますが、あると安心して中露北の脅威に向かうことが出来るかもしれません。
日本の安全保障の専門家は不思議な人達 (管理人)
2022-03-06 12:17:21
 日本が核共有も無いままに前線に立たされて、ウクライナのように見捨てられないか(一緒に米軍が戦ってもらえないパターンの)心配が無いとは言えませんね。ウクライナと違って日米同盟はありますが、核エスカレーションが起こったら世界を滅ぼすと米指導者の腰が引けたら終わりです。 
 核共有 はアメリカがNoと言ったら使えないのは分かっていますが、自国の防衛に使えないというのはおかしな話で、アメリカの指導者の腰がひけるのを抑える効果はあると思います。
 日本の安全保障の専門家は核共有の議論にも反対のようで、日本を守っているのかアメリカを守っているのか良く分からないところがあるように見えます。核を持たずに核武装国と戦うことに疑問を持たないのか不思議な人達です。
東アジアの平和の守り方 (管理人)
2022-03-15 23:41:02
中国が台湾侵攻を決断へ その日、日本が〝戦場〟になる 日米戦略協議の深化を急げ(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/25441?page=6)村野 将 (米ハドソン研究所研究員)2022年1月18日・・・氏の本日のツイッターでこの記事に気づきましたが、>中国の戦略計算を変えうる「ゲーム・チェンジャー」となるのは、精密誘導が可能な中距離弾道ミサイルと極超音速滑空ミサイルだ。・・・ということのようです。さすがになるほどと思いますね。中国軍の活動を止める抑止力を日米が保持すれば、平和が保たれる可能性が高いということなのでしょう。核戦力に関してはSLBMが担うべきということで、それで核抑止体制は安定すると筆者は概ね理解したつもりです。
原子力潜水艦の保有 (管理人)
2022-04-12 17:25:00
軍事研究2022年5月号の矢野一樹元海上自衛隊潜水艦隊司令官/海将の「対中抑止の切り札!日本原子力潜水艦」を読みました。東アジアの安全保障環境は悪化の一途を辿っており、海上自衛隊においては原子力潜水艦の保有が必須のようです(例えば北朝鮮は原子力潜水艦に搭載するSLBMを開発しており、SSB(弾道ミサイル潜水艦)・弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)への対応は喫茶の課題。また、スタンドオフミサイルの普及で近海での活動が得意な通常動力潜水艦より敵近海で活動できる原子力潜水艦が求められるようです。更には実際問題、原子力潜水艦に対抗するには原子力潜水艦しかなく、アジアにおいて保有国は増加しています。韓国やオーストラリアにも置いて行かれる日本で良いのでしょうか)。日本の通常動力潜水艦は静粛性に優れると言いますが、連続潜水時間に制約が無い原子力潜水艦の能力が「専守防衛」でも必要ではないでしょうか?敵が長射程の武器を使う時、こちらも日本周辺の制約に縛られる訳にはいきません)。これに対し先の自民党総裁選で岸田総理は消極的姿勢を示したようですが、聞く力のある岸田総理の翻意が求められるところだと思います。
ドローンはゲームチェンジャー (管理人)
2022-04-12 17:35:35
2022年ロシアのウクライナ侵攻でウクライナの善戦を支えたのがウクライナのドローンだと言います。大方の軍事専門家の予想を覆してゲームチェンジャーになったドローンですが、日本での研究・導入は遅れているようです。ドローンは航続距離の問題があり、日本は島国ですが、それを差し引いても、グズグズしているべきではないのではないでしょうか。
日米一体の統合司令部が必要 (管理人)
2022-05-20 23:43:42
核兵器新時代に備える日米の戦略(後半部)(https://thinktank.php.co.jp/voice/7465/ アンドリュー・クレピネビッチ(米ハドソン研究所上席研究員)&村野 将(米ハドソン研究所研究員<Japan Chair Fellow>)PHP研究所 本対談は2022年3月30日に収録されました。『Voice』2022年6月号掲載の「米国のジレンマと『核三極体制』リスク」は本稿より抜粋・編集しています。)
>長期的視点で見れば、日米の経済基盤がどれだけ強力でいられるか・・・戦争の抑止のためには防衛力の整備が重要で、防衛力の整備のためには経済的基盤が重要です。経済を犠牲にした防衛力の整備は北朝鮮みたいなもので持続可能ではありません。
>軍種間に顕著な勝者と敗者を生み出してしまう・・・究極的にはどの軍種が重要かは戦争してみなければ分からないと思いますが、リソースが限られている中、傾斜配分は避けられないということだと思います。戦争を未然に防ぐ意味で「ハッタリを利かせる」ことも重要ではないでしょうか?
>米国人もゲームに参加して、一緒にやるべきことを始める必要がある・・・戦略的に曖昧にしている部分もあると思うのですが、より明快に東アジアの安全保障にコミットメントしていく必要があるのかもしれません。(二国間の)日米同盟でさえ、NATOのように機能しないような気もします。
>地上発射型の中距離弾道ミサイルを北海道の演習場などに分散配備することが重要・・・侵略国の第一撃で安全保障機能が麻痺する脆弱な状態は侵略を誘発しかねません。ウクライナもロシアは簡単に蹂躙できると誤認されたことによって、侵略が誘発されました。第一撃を凌げる攻撃力の整備が重要です。
>遠征型の態勢は、前方展開型の態勢にシフトさせる必要があります>前方展開するローテーション部隊を増やす・・・米軍基地への攻撃は米本土への攻撃に近い意味があって、比較的安全と思われます。前方に部隊があれば小規模紛争にも対応しやすく、抑止力にもなるのではないでしょうか。
>フィリピンではこのようなローテーション展開が今後数年でできるようになるかもしれない心強い兆候があります。・・・親中と言われる政権が誕生したりしていて、どのような兆候かは筆者には分かりませんが、フィリピンが北方からの脅威に向き合うことを祈りたいものです。
>南シナ海における中国の能力を封じ込めるという意味で、ベトナムは非常に重要な国になる可能性があります。・・・このウクライナ戦争でいざ戦争になった時に頼りになるのは国際社会だと明らかになったと思いますし、同盟を含む事前の抑止力の整備が重要だと明らかになったと思います。
>米軍と自衛隊とを一体的に指揮するための統合司令部が必要・・・NATO型ということでしょうか。NATOが欧州防衛をしないということは考えにくく、日米一体の統合司令部は日本の安全を高めると考えます。中国は強力かつ発展しており、日米バラバラで何時まで対処できるのか考えてみるべきだとも思います。
>中国が日本を封鎖し、食糧やエネルギー供給を制限しようとしてきたら、どうやってその封鎖を打ち破るのか。我々が中国に対して封鎖を仕掛けるのか。その場合、どのような制裁を行うのかなどです。・・・物騒な話ですが、専門家が対処しておくべきことなんでしょうね。
>我々が直面している問題は無数にあり、それらの解決に取り組むのが早ければ早いほど、我々はより安全に暮らせるようになるはずです。・・・中国は台頭しており、スピード感を持って問題に対処しておくことが重要だと考えます。
専守防衛の問題点 (管理人)
2022-05-23 13:24:46
専守防衛は国是だと誰が決めた? 日大教授・池田実(https://www.sankei.com/article/20220523-DLWBS4ZYG5ISVHUOVNR2XITES4/ 産経 2022/5/23)>衛白書によれば、専守防衛とは「相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢」とされる。・・・必要最小限が厄介ですね。戦争を未然に防ぐためには余裕を持って自衛力を整備する必要があると思います。ギリギリを目指すと万一の時に破滅的です。防衛力の行使の態様も必要最小限では抑止力が効かないかもしれません。文明国では刑罰は抑制的だと思いますが、文明国が侵略してくるとは限りません。こういうのはルールに則った事前の準備が重要です。この防衛力白書に見える専守防衛の原則に則って戦後日本の防衛力は整備されてきたのであって、今はこのルールを変える必要が出てきたということでしょう。日本人はルールを変えるのが苦手とも言いますが、そういうことを言っている場合ではありません。またこのルールは憲法(9条)に則って定められているので(専守防衛は憲法が決めています)、行き過ぎは勿論よくありませんが、よく吟味して改正する必要があると思います(解釈改憲では限界があったというのが実態です)。
GDP3%の言い出しっぺ? (管理人)
2022-05-26 20:36:41
ツイッターのコピペ
JSF @rockfish31 >ドイツが防衛費GDP2%という数字目標を掲げてしまったので、日本も数字を掲げるべきだと思う。2%が適切かどうかは議論があるけれど。結局、何らかの具体的な数字を掲げないと話が進まない。
高木優也(画像は「埴輪_円板」東京国立博物館) @takagiyuya001 リツイート >じゃあ欧州より安全保障環境が厳しいということでGDP3%(テキトー)。雑とか適当とか否定的に捉えられますが、重要なことをザックリ決めるしかない時はあるんだろうと思います。専門家が根拠を持って数字をあげるのがいいと思いますが、皆が「間違い」を怖れて数字をあげなければ、何も決まりません。
○橋○一氏より先だから・・・。
外交安全保障の議論及び経済財政について (管理人)
2022-06-07 23:45:30
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2022/05/31/22084.html NHK 2022年6月6日)
>スティンガーやジャベリンと呼ばれるミサイル>備蓄が3分の1減ったとも伝えられている。これを補充するには何年もかかる。兵器の備蓄が完全でない状態で、近い将来、中国が台湾を攻撃したら、厳しい状況になる・・・ウクライナを支持しますが、正直欧州中心に支援してほしい気もします。経済規模で言えば、欧州は巨大でそれに比べてロシアは小さく、欧州にウクライナを支援する余裕はあるように思えます。逆に中国は巨大で日本は小さいです。まぁウクライナに擬せられる台湾はまだ攻められてはいないのですが(今攻められているウクライナに同情していない訳ではありません)。
>こうした議論を平時にしておけば、いざ有事となった際に何をすればいいのか、すぐにわかるため、負担は少なくなる・・・重要なことだと思います。安全保障の議論は被害の巨大さから起こってからは遅いと思います。
>日本が防衛費の増額を発表したことをアメリカは歓迎するが、増額分をどこに使うのかという疑問がある。本当に必要な分野に投入することが必須だからだ・・・安全保障の機能を高めるための増額であって、シビアに投資することが必要です。〇産兵器を愛好している場合ではありません。
>日本は何のためにその能力を持つのか?・・・自衛のためです。尖閣等を直接攻められる可能性もありますが、台湾有事に巻き込まれる危険性も高いです。日本の自衛力が高ければ、某国も日本を巻き込まないでおこうという判断をするでしょうし、そもそも台湾進攻を思い止まるかもしれません。
>アメリカ軍とのあいだでどう統合的に運用するのか?・・・個人的にはNATOのように運用するべきだと思います。その方が核の傘の信頼性が増すと思いますし、実際のところは現状でも核の傘の信頼性はあるのかもしれませんが、独裁者がどう判断するかが重要です。米韓は統合運用しているようですが、北朝鮮は本格的に韓国を攻撃したらアメリカは来ると絶対に思っていると思います。韓国軍単独になるのを北朝鮮は待っており、その後挑発を激化させる可能性もあります。元より北朝鮮と〇国では比較にもなりませんが。
>反撃能力はとても高価な買い物>日本は反撃能力の獲得に資金を投入するのであれば、ほかのどの能力の獲得をやめるのか・・・増えた分を重点分野に投入すれば、獲得をやめる必要はなくなります。あえて言えば、日本は島国だということを踏まえるべきで本土決戦を避け、海外展開は欧米に任せます。この議論の穴は経済財政です。財政赤字を拡大させて海外兵器を購入するのが現実的かですね。実力主義ではなく成果も重視しない日本にはこの議論は早いとも思っていますが。
>台湾有事の際には事態はとても早く展開する。その場合、アメリカは戦線から遠く離れており、迅速に部隊を投入するのは困難だ・・・今は前線の部隊を削減するべきではないと筆者は思います。今も米軍は東アジアの戦争を抑止しているはずです。
>中国が武力で台湾統一を試みる可能性はどれくらいあるのか?・・・中国が台湾を攻撃する可能性は普通にあると思います。本人が言ってますから。言ってないことでも起こるのが戦争です。恐ろしいことに〇国には能力もありますから、そう可能性は低くないと思います。歴史的に見て、帝国主義者の考えそうなことは次は日本です。ですから、台湾も日本は守った方がいいと思っています。ウクライナを欧州が守るように。
ドローンはウクライナ戦争ではゲームチェンジャーになってない (管理人)
2022-06-12 20:32:45
2022年ロシアのウクライナ侵攻で今までのところ(軍事専門家の予想通り)ドローンは特に活躍していないようです。軍事専門家が予想を外したのはウクライナの当初の善戦についてですね(確かにロシアが強いと言い切っていました)。防衛戦の防衛側の強さを見誤ったのでしょうか。それはともかく日本はドローンに関してある程度グズグズしていていいのかもしれません。ナゴルノカラバフ紛争でドローンは活躍したと言い、あまり力を入れなくていいと言い切っていいのか迷いはありますが、その辺は(最終的には)専門家に任せるしかありませんし、予算との相談になってきます。

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