観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「医者の給与」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

原賠法の解釈(簡潔バージョン)

2011-05-31 01:30:40 | 政策関連メモ
現賠法の解釈だが、自分は(報道を見ている範囲では)免責にならないだろうと思うが、それは官房長官が言うような「大規模な津波が想定されていたから」ではない。いろいろ言われているようだが、自分の見た範囲では今回の津波が想定できた根拠は何処にも無いからだ。津波が言われてきたのは、三陸地方なのであって、福島ではない。記録としても(今回の地震でも)より低い津波しか来ていないことは明らかだ(貞観地震の時の東電の調査が誤りであった場合は話は別だが、自分が見た範囲では東電の調査に対する反証は提示されていない)。

それでもなお津波のせいではないだろう(検証しない限り確定的なことは言えない)というのは、やはり非常用電源が守られていないというのは言い訳にならないと思うからだ。原子炉は厳重に守られているのに、非常用の電源はさほど守られていないというのは、危機管理上の初歩的なミスに思える。だから、東電(及び国)の過失ではないかと言っている。無論、天災/人災の2分法で考えるのは単純に過ぎる。だが、結局のところ、免責されるか否かはそのどちらかでしかない。過失があるなら、免責はおかしいということになるだろう。想定外の大津波が来た(浸水した)としても、大丈夫なように二重三重の防護があって当然ではないか(そんな当然を打ち砕くほどの大地震には見えていないということ)。

まぁ、この辺は調査が確定しないと、何とも言えない部分はあるが、東北は地震常襲地帯だから予想できない方がおかしい的な論調ががあるような気がしたので、三陸じゃないの?福島でそんなに誰か言ってたか?とツッコミたくなった次第。後付だろ。本質的な問題は想定外があっても大丈夫なようにして始めて絶対安全と言い切れるのであり、言葉を変えれば、浸水がないように造ると共に、浸水しても大丈夫なように対策はとっておくべきということ。こういう考えは自分の認識ではリスク管理の基本で、後付の考えではない。何のための非常用電源なんだよ。一緒に壊れてどうする。


大罪は口先だけか

2011-05-30 01:46:42 | 日記
週刊文春6月2日号で小泉進次郎が吠えたらしい。曰く「原発推進は自民党の大罪」

・・・懺悔パフォーマンスだけの軽い発言としか思えない。これまで述べてきたように原発推進にはそれなりの意義がある。何故エネルギー政策の観点を欠落させて、安全基準の見直しというまっとうな反省をしないのか?自民党に罪があると言うなら安全基準が低い原発を造ったことにあるとしか思えない(事故原因が確定しない限り、確たることは言えないのだが)。脱原発反対運動に手を染めて政局利用する魂胆が見え透いていて○○が出る。そんなに自民党に責任があると言うなら、さっさと解党して責任を取れ。それとも、これから努力することが責任の果たし方などと何処ぞの首相みたいな言い訳をするつもりなのか?親父も自民党の過ちを認めた(2011年5月28日21時25分 読売新聞)ようだから、私財を投げ打って弁償したらどうだろう?口先だけじゃないよな。

被災地復旧・復興について

2011-05-30 00:51:41 | 政策関連メモ
地震・津波は天災だが、がれきの除去や最低限のインフラ復旧などは国が手伝った方がいいと思う。特に前者は人道的な観点から。

汚染された土壌や水の処理は原発の災害だから(想定外の津波だけの責任にはならないだろうことは既に書いた)、国がやった方がいいと思う。東電がやれないのは明白で、国は危険を押し付けるばかりで責任を取らないということであってはならない。

復興に関しては、地元住人が頑張らない限り、復興は有り得ない。また、災害多発地域の日本で何もかも国が面倒をみていては国が滅びることも明白だ。生産性を高める意欲のある人・自治体などを国が支援するという考え方でやる以外にないと思う。例えば、以下のリンクのような提言は貴重ではないか。

「農地生かし大規模複合経営に」 宮城大副学長、大泉一貫氏(MSN産経ニュース 2011.5.27 21:34)

原発を止めてどうなるか(現実的だが抑圧された忘れてはならない議論)

2011-05-28 22:50:19 | 政策関連メモ
エネルギーに関して、現実的な現在までの実績に関する考察をしたいと思う。すなわち、原子力(3割)と火力(6割)に関する考察だ(資源エネルギー庁データ)。眠っている火力発電所を稼動して経済を維持した場合にどうなるかのシミュレーションが必要であることは論をまたないと思うが、自分の見たところ、原発の危険を煽るばかりで、そういう当たり前の議論が欠けている。これは脱原発派が一々圧力をかけているからだろう。筆者のようなしがないブロガーにさえ、原発について喋るななどとつまらぬ圧力がかかるのだから。

日本はこれまで原発推進一本槍で異論を受け入れなかったことに反省はしなければならないと思う。それが今回の事故の一因でもあるだろう。しかし、その答えが脱原発では悪い冗談にしか思えない。それは原発を止めるという結論ありきの態度で、原発絶対の裏返しに過ぎないからだ。日本が原発絶対から脱原発に180度ブレたなら(世論は菅浜岡停止「要請」の影響でそうなりつつあるように見える)、火力頼みか経済代縮小か自然エネルギー信仰(それは未来の話に過ぎないのだが)か知らないが、また決定的なミスを犯すのではないかと思う。思考停止というパターンは何も変ってないからだ。

それでは本題だが、原子力発電の意義が良く纏まっていると思う文章が見つかったので、リンク・引用して考察したい。

関西原子力懇談会「原子力燃料リサイクルの意義」

>原子力発電の燃料となるウランは、全量を海外からの輸入に頼っていますが、供給国であるカナダ、オーストラリアなどは、日本の原油輸入の約9割(2004年度)を占める中東地域に比べると政情の安定した国であり、また、供給国の多様化、長期購入契約の締結などにより、安定した供給が期待できます。

>ウランは石油に比べ少ない量で発電できるため、石油に比べ備蓄性があるといえます(表1)。我が国の石油備蓄量は、2005年6月末現在で9,032万キロリットル(製品換算)、171日分に相当します。一方、原子力発電ではウラン燃料を原子炉に装荷すると約1年間は燃料を取り替えずに発電でき、これに発電までの工程にあるウランを踏まえると、ウランの備蓄量は少なくとも2年分程度と見積ることができます。

>エネルギー資源は有限です。石油、石炭、天然ガス、ウラン、各エネルギー資源の確認可採埋蔵量と可採年数は図3のとおりです。ウランも限りある資源であり、可採年数は約85年ですが、再処理して軽水炉で利用(プルサーマル)することによりウランの利用効率を1~2割程度高めることができます。さらに、高速増殖炉(FBR)サイクルが実用化すれば、ウランの利用効率は格段に高まり、現在把握されている利用可能なウランだけでも数百年間にわたって利用し続けることが可能となります。

やはり何と言っても高速増殖炉の可能性が決定的に大きい。日本のようなエネルギー資源小国にとっては悲願と言っていいだろう。エネルギー資源について同じ悩みを持つ中国も開発をしている(ウィキペディア高速増殖炉2011/05/28 23:50)。技術的な困難性を指摘するむきもあるが、人類は月に行けるのだから、自分としてはその可能性に期待したいと思う。

火力に関しては、(ウランと同じくだが)埋蔵量が限られており(石油の生成に関しては、このブログの立ち上げの頃〈2008年11月〉に取り上げたことがあるのだが、諸説あるようなので、枯渇しない可能性もないとは言えない)、日本ではほとんど産出せず(メタンハイデレードに関しては既に批判的に考察した)、安価に採れるものは枯渇してきているという問題があり、中東の政情不安定という問題がある。。

また、関原懇の指摘で大きいのは、備蓄性の問題だ。石油の備蓄は官民併せて半年にも満たない。ウランが一度輸入されると、一年以上使えることから、自給エネルギーに含められることもあることと併せて、エネルギー資源としての安定性は否定できないと思う。福田政権の頃、原油危機で中小企業・農林漁業・離島が大きな影響を受けた。これは大規模なエネルギー発電にはさほど影響しないとしても、原油価格の不安定性について考えるいい機会だったろう。

つまり現実的にエネルギーを安定供給しているのは原子力と火力だが、原子力には日本のような国情の国にとって大きなメリットがある。だから、推進されてきたのだ。ドイツ(石炭が出る)(脱原発)やアメリカ(スリーマイル後の原発停止)のような自国でエネルギー資源を賄える国と同列に考えてはならない。イギリスも北海油田が尽きる見込みがあり、原子力発電を推進するとも(少なくともドイツのような脱原発の話は聞かない)。フランスは言わずもがな。

地震によって、エネルギー供給体制は何も変らない(寧ろしつこいようだが、逆にメタンハイデレードが安全に利用できるのかという疑問が深まった)。安全性を高める議論には賛成する。だが、不安でうわっとなって、何故原子力が推進されてきたかを忘れてはならないと思う。

脱原発の理路はアメリカに言われたからなのか?

2011-05-24 23:51:18 | 日記
内田樹の研究室「脱原発の理路」(2011.05.20)がちょっと面白かったので、言及。当人が方針を示さない限り、個人ブログにはリンクを貼りたくないので、見たい人は勝手に検索して見ること。

リーク云々のマクラ(マスコミはインサイダー)に関しては、そうなのかもとは思う。まぁ、自分が知るよしはなく、人脈のある内田氏のような人が書いてくれると面白いかなと言った程度。

で、やはり本題の浜岡停止(英断とは思わない。内田氏は脱原発なので英断としているだけである)だが、菅首相の抜き打ち要請を再考しておくと、やはりアメリカの要請が全てとするのは極論で無理がある。内田氏も言及しているように官僚は原発をやりたいのであれば、菅首相にはアメリカの要請を無視するというオプションはあった(不思議と菅おろしが激しくなるかもしれないが)。

ところで、内田氏は気付いてないらしいが、アメリカは浜岡以前最初から少なくとも暗に脱原発の流れを創ろうとし続けていた。内田氏が言うように脱原発はアメリカの国益であるからなのだろう。「誰にでも分りそうなこと」をアメリカが浜岡停止近辺でふと気付いたわけがないことは内田氏も分ると思う(アメリカがそういう流れに持って行く動機があること、アメリカに世論操作をする実力があることが分る内田氏は、指摘されれば、早い段階からアメリカからの脱原発の働きかけがあった蓋然性があることは理解できると思う)。自分が観察する限りでは、タイミング的には地震直後から(!)なのだが、証拠が無いのでそれは声高には言わない。

つまり、菅首相は本当に鈍感でない限り、アメリカの意向は最初から知っていたと思う。タイミングが最近になったのは事故対応がひと段落してから浜岡停止というスケジュールに沿ったものであるのだろう。まさか事故対応の最中に浜岡停止とかやってられない。

ここで気をつけたいのは、菅首相・アメリカの思惑と官僚(少なくとも一部)の思惑にズレがあることである。菅首相が抜き打ち「政治主導」で「要請」したのは、官僚(少なくとも一部)に邪魔されないためだということは誰にもで分るだろう。そしてそういう官僚の意向は、首相が真性鈍感でもない限り、始めから分っていた。

そして手前味噌という程のことでもないありきたりすぎる知識だが、菅首相は市民運動化出身(内田氏を含め、左翼=脱原発の図式はこと日本では鉄板に近い)であり、原子力専門家を自認している。浜岡のことを知らなかったはずがないと思うのだが如何だろうか?右翼で非専門家の自分が知る事をまさか首相が知らないとは信じられないのだ。

結論を纏めるとこうだ。菅首相は浜岡のことはそれこそ大昔から知っていた(反対運動しているお仲間ぐらいいるだろう)し、アメリカの意向も知っていた。両者は結託し、官僚を出し抜いて、原発対応がひと段落ついた後、おもむろに浜岡停止に持っていった。浜岡停止は急がなくても逃げていかない。自分達でやるからだ。

一応弁解しておくと、自分が首相が左翼であることを強調したのは、アメリカ圧力説の説得性ある「証拠」が揃わなかったからに過ぎず(あやふやに言うと逆に信憑性を落とすリスクがある)、後で訂正したのは(今回もそうであるように)他の人が言ったから便乗したまでである。いや自分も知っていたけど・・・なんて書くと言い訳がましいという常識ぐらいはあるのである。

というわけで、内田氏の提示するアメリカ説(自分は全部アメリカ説は誤りと思うが、多分内田氏は自分を含め左翼=脱原発の明らか過ぎる図式を客観視できていない)の状況証拠が面白いので吟味していこうと思う。

>菅首相が浜岡原発の停止を要請し、中部電力がこれを了承した。政治的には英断と言ってよい。メディアも総じて好意的だった。でも、なぜ急にこんなことを菅首相が言い出し、中部電力もそれをすんなり呑んだのか、その理由が私にはよくわからない。経産省も電力会社も、「浜岡は安全です」って言い続けてきたのだから、こんな「思いつき的」提案は一蹴しなければことの筋目が通るまい。でも、誰もそうしなかった。なぜか。

自分の考察で行けば、菅首相は始めから浜岡停止にイエスだったし(福島の対応で忙しかったのだ)少なくともその提案に好意的になる土壌はあった。だから「要請」したのである。何の不思議も無い。アメリカが味方でメディアが動いて世論の評価が得られるのなら、筋目なんかゴミのようなものなのだろう。筋目を重んじる人間でもない限り(筋目と言う言葉が適切かどうかは知らないが、自分は自分の意見を重んじている。自分の意見は自分が一番良く知っており最も自分にとって信頼できるからだ。要するに自分は内田氏の言う筋目を重んじるタイプであるが、日本人は少なくとも相対的に概ねそうではない人が多いだろうと言いたい)。

経産省は程度問題だが、「筋目」(国益と思うが)を重んじただろう。首相周辺が「政治主導」で要請したには理由があるのである。内田氏が三位一体であるかのように言うのは、ニュースをよく読んでいないのではないかという合理的な疑いがある。更に言えば、この抜き打ちの手法はタイミング的にビンラディン掃討戦にかぶるのが象徴的。

電力会社はもうしょうがない。政府(+アメリカ)には逆らえまい。一蹴もへったくれもないことは常識中の常識としか思えない。自分は原発支持側だから、何とか英断(安全に自信があればだが、「要請」を蹴ること)を下してもらえまいかと記事を書いたまでである。

「思いつき的」提案のカッコが自分の使い方のように本当はそうではないが(ここではスケジュールだが)という意味であれば、そこは当たっていると思う。強調表現であれば、これまで述べてきたように思い付きじゃないんじゃないということである。誰もそうしなかったというのも、官邸が抜き打ちで言って(内田氏も後で指摘するように)メディアが翼賛したら、中々覆すのは難しいよねということである。つまり、何故かと言ってみたところで、前提の段階でほとんど総崩れであるからその問自体に意味は無い。

が、内田氏も言うようにアメリカの要請はあっただろう。自分が知らなかった知識があり、面白いと思ったのはここからである。

>福島原発の事故処理ではフランスのアレバにいいところをさらわれてしまい、アメリカは地団駄踏んだ。

経産省の頑張りかどうか知らないが、官僚はアメリカの意向ぐらい知っていたし、合理的な決断を下しただろう。そして、この官僚の頑張りが浜岡の停止が「政治主導」になる伏線なのだろう。後付だが。

>(1)第七艦隊の司令部である、横須賀基地の軍事的安定性が保証される。

言われてみれば。浜岡は安全と思う(思いたい)が。

>(2)原発から暫定的に火力に戻す過程で、日本列島に巨大な「石油・天然ガス」需要が発生する。石油需要の減少に悩んでいるアメリカの石油資本にとってはビッグなビジネスチャンスである。

オバマ政権にとっては後付け的か?政敵(共和党)の資金源の面はあると思う。

>(3)日本が原発から代替エネルギーに切り替える過程で、日本列島に巨大な「代替エネルギー技術」需要が発生する。代替エネルギー開発に巨額を投じたが、まだ経済的リターンが発生していないアメリカの「代替エネルギー産業」にとってはビッグなビジネスチャンスである。

オバマ政権のクリーンエネルギー推進は自明。ただ、日欧の競争力も強いと思う。

>(4)スリーマイル島事件以来30年間原発の新規開設をしていないせいで、原発技術において日本とフランスに大きなビハインドを負ったアメリカの「原発企業」は最大の競争相手をひとりアリーナから退場させることができる。

自明。ブログには書いてなかったと思うが(これだけでは記事にするほどでもないから)。

>(5)54基の原発を順次廃炉にしてゆく過程で、日本列島に巨大な「廃炉ビジネス」需要が発生する。廃炉技術において国際競争力をもつアメリカの「原発企業」にとってビッグなビジネスチャンスである。

廃炉技術云々は知らない。オバマ政権は原子力産業の支援があるから、(4)は分っていたが、なるほどと思う。

>たぶん日本はこれから脱原発以外に選択肢がないだろうという客観的な見通しを持っている。

客観的な見通しと言うなら、証拠を出せるはず。

>決定的な国策の転換でさえも、アメリカの指示がなければ実行できない、私たちはそういう国の国民なのではないかという「疑い」を持ち続けることが重要ではないかと申し上げているのである。

疑うだけでは駄目。少なくとも日本の国益を言えるようになって始めて保守と言える。リベラルには関係ないのか知らないが。日本国の主人は日本人なのだから。

「日本の国境問題」批判(尖閣諸島編1)

2011-05-24 00:32:13 | 政策関連メモ
「日本の国境問題」(ちくま新書)(孫崎享著)という本が出た。国境問題は何度も当ブログで扱ってきたテーマであり、元外務官僚という立場の著者が問題のある内容の本を出したと考えるので、ここで批判しておく。量的に何度かに分割せざるを得ないのはご容赦いただきたい。

第一章32p~35pに「有利な条件を自ら覆す日本」とのタイトルで文がある。尖閣諸島を取り上げ、日本が自滅したと言っているのだ。専門家に対し失礼だが、この人はとんでもない安全保障オンチではないだろうかという疑問が拭えない。

>周恩来首相が一九六九年九月三〇日、国慶節レセプションで「我々のほうから戦いを挑むことをしないと演説したのは極めて重要な意味を持つ。(34p)※アンダーラインは孫崎氏強調部分

>中国側が「一発の銃声を発し」、「日本側が仕掛けた」と言って紛争に持ち込み、尖閣諸島を取り込む可能性は十分ある。(24p)

中国側から仕掛ける可能性を指摘しておきながら、周恩来首相の「我々のほうから戦いを挑む事をしない」という言葉を極めて重要な意味を持つとしている。大丈夫なのだろうか?我々から攻めないなどという言葉に大した意味があるとは思えない。何故なら、自分で言っている通り、攻められたとか言って攻めて来る可能性が十分あるからだ。今回の事件だって、ぶつけてきておいて、日本に全責任があるとし、国内では日本からぶつけてきたと情報を流しているのだが、分っているのだろうか?

>日本は次第に「尖閣諸島棚上げ、実質日本の管轄を容認」という日本に有利な決着を、自らの手で放棄していく。そのピークが二〇一〇年の尖閣諸島での中国漁船船長逮捕に繋がっていく。(35p)

>棚上げは決して中国に有利な解決手段ではないことである。棚上げは日本の実効支配を認めることだからだ。かつ中国側は実力で日本の実効支配を変更する事を求めないことを意味する。(73p-74p)

>領土問題で重要なのは一時的な解決ではない。(45p)

棚上げは棚上げ。氏が中国側が言ったと書いているのだが、「一時的に棚上げし子孫に残して解決させる」という意味でしかないだろう。自身で重要でないとする一時的な解決に拘る孫崎氏の考えは分らない。一方中国の狙いはとても分り易い。豊かになって日本に追いつけば棚上げを解除するということである。その際、実力で日本の実効支配を覆すことも十分考えられる。日本が攻めてきたと言えばいいのだから。厚かましくも自分でぶつけてきておいて人のせいにできる国は何でも言える。また、中国漁船の取り締まりが出来ない状態を中国が日本の実効支配を認めていると言える状況なのかは怪しいものだ。ロシアや韓国なら、絶対に取り締まるはずである。なるほど日本は事実上実効支配を認めてしまっている。しかし中国はそうではない。だから騒動になっているのである。また、船長を逮捕するのが不利だったとする意味が不明である。逮捕しなければ、ぶつけたい放題ではないか!そうなると寧ろ戦争の確率が高まるとしか思えない。ぶつけて我慢している相手など、「日本側が仕掛けた」と主張して攻め込めば、脱兎の如く逃げると見るのが中国ならずとも普通の国際的な見方と思う。

以下続く(問題箇所が多く長期戦の予定)


危険の確率

2011-05-23 00:35:23 | 日記
想定外に備え…静岡で18万人が津波避難訓練(2011年5月21日11時40分 読売新聞

静岡で津波避難訓練をやったらしい。津波で危ないのは静岡だけ?という気はする(浜岡がらみの政治的な避難訓練の臭いがする)ものの、訓練の実施自体は素直に評価しておきたい。

何故かホームページ(5月23日深夜現在)の緊急危機管理情報・危機管理情報では告知を確認できないのが不思議。何のためのホームページなのか。津波対策(避難訓練)は危機管理情報ではないとでも?浜岡停止の正当化(首相の要請以前に静岡県民主党知事が中部電力に再開を認めないと言った)に必死すぎて、告知が疎かになったということなのだろう。

あまり適当な地図が無かったのだが、国土交通省の東南海・南海地震で津波を促す色(黄と青)がついている地図をリンク。別に津波が危ないのは静岡県だけではない。

ちなみに何時おこってもおかしくないとされている東海地震は、以前の記事でも紹介したが、単独で起きた資料は無い。ウィキペディア東海地震(2011-05-23 00:35:23)によると、30年ぐらい前からヤバイと対策をしてきた。勿論、明日にも起こる可能性は否定できないが、これまでの歴史資料の通りに連動するなら、予想としてはまだ先とするのが確率が高そう。政府としては法律まで作って煽ってきた手前引けないものはあるのだろうが・・・。

何にせよ、原発で死ぬよりは、津波で死ぬ確率の方が高い気はする。一応は注意したい。もっと言えば、地震で死ぬ確率の方が高いだろうと思う。以前スーパー堤防の記事を書いたが、地盤が軟弱か否かはもっと注意されていいはず(強化工事は重要)。何時かはまた地震が起きるのだから。

要請は要請なのであって、命令ではない。

2011-05-21 14:01:29 | 政治システム・理論
外交配慮欠く唐突な原発停止(2011.5.21 07:00)

>菅直人首相(64)が中部電力浜岡原子力発電所の全面停止を打ち出した。浜岡原発は東海地震の想定震源域に立地しており、今後巨大地震に見舞われる可能性が高い。停止の判断自体は否定されるものではないが、それを打ち出すにあたってどれほどの配慮をしたかは疑問が残る。

この記事を読む限り、菅首相が停止の判断を下したかのように読めるが、そうではない。首相が出したのはあくまで要請だ。責任・判断の主体が中部電力にあるのは明白であり、またそうでなくてはならないと思う。何故なら、地震に対し安全か否かもっとも良く知るのは中電自身のはずだからである(でなきゃ無能すぎる)。政府がチェック機能を働かせたというなら(それはそれで重要だ)、当然原子力安全保安院の指導など正規のルートが機能していなくてはならない。

ところで、菅首相の要請はアメリカの強い要請によるという説がある。青山繁晴氏が言ったらしい(孫引きだが5月8日テレビ朝日「サンデースクランブル」)が、官邸にはアメリカ人が常駐しているという情報(5月9日週刊ポスト/リンクは阿修羅版による)もあるので、さもありなんという気がしないでもない。どうやら横須賀の基地に近いから過敏になったということらしい。

しかし、この説が真実だとすると、アメリカの要請による要請を自分の要請であるかのように言ってしまう日本とは何なんだろうということになる。首相は大英断と称えてもらって得した気分なのかもしれないが、そうではないだろう。MSN産経なんて、訴えられそうになったから説を流したが、アメリカに言われたから説を知っていたのか知らなかったのか。どっちにしろ相当酷い。真相はヤブの中なのだろうが、あるいは自分の左翼だから説も間違っていたのかもしれないとは思う。

あくまで要請は要請なんだけどね。

やはり骨のある保守政治が必要なのだと改めて思う。

原賠法の解釈

2011-05-20 23:08:37 | 政策関連メモ
「神様の仕業」予測し得たか 東電破綻回避で消えぬ免責論(MSN産経ニュース 2011.5.20 21:59)

>東京電力福島第1原子力発電所事故の被害賠償を進める上で、前提になる原子力損害賠償法(原賠法)の解釈が不確定要素になっている。地震と津波の規模が「異常に巨大な天災地変」であれば東電は免責されるが、今回の震災の規模をどう評価するかは政府内でも意見が割れ、東電と政府の賠償負担をめぐる議論の行方が定まらない。

>免責される災害規模について、政府は「関東大震災の2倍ないし3倍を超えるような地震」と定義しているが、同原発で観測された加速度は550ガルで関東大震災のほぼ2倍。また、この地域では869年の貞観地震で8メートル以上の津波があったのに対し、今回の津波は14~15メートルに達した。

結論から言えば、東電は免責されないと思う。理由は官房長官が言ったとされる「以前から大規模な津波の可能性が指摘されていた」からではない。事故の原因が異常に巨大な天災地変にないと思われるからだ。原賠法の当該条文(法庫)を見てみよう。

>第3条 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。

産経の記事では地震の規模によると書いているが、条文を見るとそうではない。損害が異常に巨大な天災地変によるかどうかだと、きちんと条文に書いている

東日本大震災の地震の大きさは確かに大きい。マグニチュード9だとされている(大きければ免責されるとふんだ東電サイドの圧力があった可能性は検討してもいいと思う)。しかし、これによって発生したのは、予想を超える大きな津波であり、地震の揺れ(震度)に関して言えば、自分が調べた範囲では関東大震災と大差ない(一部の地域が震度7)。

それでは、津波が大きかったから、事故が起こったのだろうか?そうではないだろう。残念ながら、やはり非常用電源がきちんと分散されていない守られていないというのは人為的な落ち度と言える(これを言うと、他の原発にも波及するのだろうが止むを得ない。直ぐにでも止めるべきとは全く思わないが、他の原発でも対策はしておくべきだろう。対策が出来ないなら、代替エネルギーを確保した後、廃炉にすることも考えなくてはならなない)。原子炉は守られていても、それを動かすものが守られていないというのは、予見可能な危険と言え、その部分の対策がしっかりしていれば、今回の地震でも全電源喪失は避けれらた可能性は高いのではないかということだ。

また、残念ながら、地震の揺れの影響で事故を招いたとの指摘がある。地震での揺れそのもの(震度)は異常に巨大と言えない以上、これもまた原賠法の条文に照らして免責に当たらないと言え、他の原発でもチェックが必要なところである。浜岡原発停止は残念だが、もしも中部電力に地震に耐える自信がなかったのであれば、止むを得ない。今回の地震でもやられたのは福島第一だけであり、この手痛い教訓を活かせば、原発はまず安全だと思う。いずれにせよ、原子力発電に金が流れないまま稼動するという事態になれば、それがより危険であることは100%論理的な帰結だろう。

よく言われる再生可能エネルギーは計算できないことは明らか。不安定でもある(梅雨に発電できないとか、風が吹かなかったらどうする?とか、冗談みたいな話)。3割電気を使わずに日本経済を壊滅させる気でなければ(100%壊滅する)、代替エネルギーは火力しかない。脱原発論者は、再生可能エネルギーなどと非現実的な無責任発言を止め、日本経済3割減か火力代替か(その「ベストミックス」でも良い)正直に現実的な案を出すべきである。

勿論、自分は原発の安全性を高める派(脱原発の圧力が原発更新の動きを止め、皮肉にも原発を危険にすることを警戒している)である。日本のものづくりは定評がある。安全基準がしっかりしていれば、安全性の高い原発は十分可能に思えるからだ。また、自殺的節電は有り得ないし、火力一本槍は、エネルギー資源がない日本にとってこれはこれで非常に危険が高いということは、これまでにも書いてきた通り。

話が飛んでしまったが、原賠法で免責は無理という予想に変りは無い。ただ、国はこれまで許可を出しチェックを怠ってきた責任があると思う。何のための原子力安全・保安院か?ということである。全てが想定外の大地震のせいでないとなると(そう思う)、やはりそこは問われるべきだろう。更に言えば、そうした政府を野放しにした責任は国民の側にもあると思う。国費の投入も止むを得ないのではないか。

それでも、国費の投入を当然視する言論とは一線を引いておきたい。天変地異(地震災害)による被害も国費による復旧が当然とは思えないからだ。何もかも国のせいでは、国民による自発的な行動は望めない。

最後になるが、原賠法を読んで気になったのは、損害が社会的動乱によって発生した場合、免責になるというくだりだ。テロ対策が甘いという指摘がアメリカからあるが、責任が東電にないから甘いということであれば、庇いようがないと書いておきたい。外国に言われるのは癪だが、ここは素直にチェックしておく必要があると思う。

地震国アルメニアの原子力発電

2011-05-16 01:05:54 | 日記
大地震多発地帯、止められぬ「最も危険な原発」(2011年5月13日21時34分 読売新聞 国際)

>福島第一原発事故を受けて、地震国アルメニアのメツァモール原発が国際的関心を集めている。

>ソ連時代に運転開始し30年を超えた原発は、過去に何度も大地震が起きた危険地帯に位置する。

>アルメニア政府は、追加安全策を講じるとともに、より安全な原発を新設し運転中の原発を停止できるよう国際社会に支援を求めている。エネルギー天然資源省のアレグ・ガルスチャン副大臣は「過去最大の地震などあらゆる事態への対応策をとった」と強調する。

ウィキペディア「アルメニア」(2011-05-16 01:05:54)によると・・・

>メツァモール原子力発電所で使用されているロシア型加圧水型原子炉440は格納容器を持たず、また既に設計寿命を終えているため、2012年から2016年完成を目処にロシア型加圧水型原子炉1000が建設される予定である。

ということらしいが、日本の関与はあっていいと思う。主な理由は地震国として原発を使う責任ノウハウの蓄積にある。

今回、日本は残念ながら世界的にも原発の信頼性を低めたことは認めざるを得ないが、逆にもしもアルメニアで重大事故が起きると仮定すれば、同じく日本に多少なりとも影響が出てくるのは否めない。これは現実的な計算であるとともに罪滅ぼしでもある。

日本は地震国であり、原発大国でもあり続けてきた。今回の事故で信頼性は揺らいでしまったが、原発を止められない(だろう)のだから、実績を積み重ね、信頼回復に努めるより他ない。実際にチェックし建設して運営に関与することにより、実際的なノウハウの蓄積が期待できるという効果もあるだろう。

勿論リスクはある。ただ、東電以外の電力会社は人員はあると思う。地震と原発について専門家が真剣に考え行動する事を期待したい。

参考データ:外務省ホームページ「アルメニア