観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「医者の給与」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

憲法改正せずに非常事態宣言は可能だと思います

2021-05-24 11:25:56 | 厚生労働
大阪・東京がピークアウトしている今、緊急事態宣言を超える欧米並みの強い対策であるところの非常事態宣言を制定する機運がないと思いますが、感染が拡大傾向が明らかになってきている現在、欧米並みの強い対策の必要性はまた明らかだと思いますから、非常事態宣言をするには憲法改正が必要であるという言説(例えば、高橋洋一チャンネル 第167回 東京都vsグローバルダイニング!休業命令は違憲なのか?罰金ではなく過料のわけ)について検討してみたいと思います。

まず、理屈から言って、非常事態宣言に準じる効力を持つ防疫に関する法律を制定することは可能です。問題はこれが違憲立法審査で違憲とされるかになるはずです。本来的な話をすれば、立法サイドに違憲かどうか判断する権能はなく、これは司法の仕事です(日本の官僚組織は良くも悪くも無謬性の原則で間違えないよう慎重な判断をしているかもしれませんが。本来的な話をすれば、実際にやってみて(やって分かることは多いと思われます)、然るべき場所で議論するという考え方は有り得る訳です)。実際に法律をつくっている官僚(本来は立法府の議員・スタッフが法律をつくるはずですが)視点では、非常事態宣言は違憲だろうという判断があるのかもしれませんが、本来立法するべき政治視点で見ると、必要な法律はつくるべきであって、それが違憲かどうかは最終的には司法の判断になるということだと思います。勿論無暗に司法に違憲と判断される法律をつくるべきではありませんが、非常事態に適用される法律をつくるのに、(司法でもないのに)これは違憲だと勝手に線引きするのは筋違いですし、(最終的な責任者であるところの)政治の役割を果たしているとも言えません。

それでは本当に司法で違憲だと判断される見込みなのかと言えば、微妙なところではないでしょうか。日本国憲法にも公共の福祉による私権の制限は書かれている訳ですし、防疫政策は公共の福祉を守るためにまさに必要なものと言えます。疫病が蔓延して公共の福祉も何もあったものではないはずです。そう考えると防疫政策に関わる私権の制限は日本国憲法に書かれているとも言えます。事実、感染症法には行政罰のみならず重い刑事罰も書かれています。刑事罰は私権の制限の最たるものでしょう。つまり日本に防疫に関して非常事態宣言の類がないのは、想定されていなかっただけで、憲法上不可能だったからではないようです。高橋洋一氏ほどの元官僚に違憲だと言われると、そうなのかと思ってしまいそうになりますが、よくよく考えてみれば、防疫政策で私権を制限しても過剰でなければ違憲と判断されることはなさそうだということになります。訴訟はあるかもしれませんが、適切な防疫政策であれば、(政治に影響する)世論の同情もないと思われます。違憲の疑いがあるなら、(非常事態宣言を可能にする)緊急事態条項の明記があるに越したことはありませんが、防疫政策に限って言えば、非常事態宣言は違憲の疑いがない可能性もあるでしょう。

ここで非常事態宣言が適切な防疫対策であるのか考えてみると、(時宜を得れば)適切な防疫対策であると言えます。何でそんなことが言えるのかと言えば、海外で効果が顕著に認められているからです。日本ではこれまで非常事態宣言がなくても、何とか新型コロナウイルス感染症の野放図な拡大を防いできましたが、感染拡大傾向にあったことは明らかです。今から考えてみますと、この感染症の流入が明らかになった段階で強い対策を打って、鎖国に準じる体制をとれれば(これもまた議論がありますが)、オーストラリアやニュージーランドや台湾のような状況に持っていくことは可能だったと思われます。これからまた新しい感染症が流行しないとも限りませんし、次はいいワクチンが出来るかも分かりません(mRNAワクチンに期待したいところですが)。ワクチンに3回目のブーストが必要という議論もある等、新型コロナにこれからも付き合う必要がないとも限りません。日本に海外で効果があった防疫対策を導入しない選択肢はないと言えるのではないでしょうか。

この記事を書くにあたって野党の主張は参考にしていませんが(検索してみたところ災害対策基本法を使えばいいというロジックのようです。立憲・枝野氏「強い外出制限に賛成の余地は十分ある」(朝日新聞 2021年5月9日)、強い対策に憲法改正は必要ないは野党のロジックという指摘があります。しかし緊急事態条項に反対し、検査による感染対策と今思うと的を外した対策を強く主張していた(している)野党と同じと言われるのも釈然としません。憲法改正は事実上、出来ないのですし、欧米標準の防疫対策の導入を主張するのに野党も与党もないというべきでしょう。保守派に防疫対策を軽くみる意見があるのは承知していますが、公平に見て少なくとも日本の地理的環境なら強い対策派に分があることは否めないと思います(筆者も当初は強い対策に拒絶反応がありましたが)(何も中国のようにしろと言っているのではありません)。

問題は非常事態宣言が経済に与える影響ですが、欧米での事例を見ると、同じ期間なら、より強いマイナスの影響が当然あると思います。しかしオーストラリア経済がそれほど落ち込んでいないことを考えると、トータルで見て経済の落ち込みは少なく済んだ可能性があると思います。強い対策は対策の期間を短くすると思われるからです。欧米の対策が長期に渡った原因はそれだけ感染が拡大していたということなのでしょう。

ワクチンは今の状況を一変させるゲームチェンジャーですが、直ぐに効果が出る訳ではありません。次の感染症で直ぐにワクチンが出来るとも限りません。上手く対策がいくと被治験者が足りなくなる可能性があるからです。政府としては今の対策をワクチンの効果が出るまでやるつもりかもしれませんが・・・。

台湾はロックダウンで復活する

2021-05-18 18:26:25 | 厚生労働
オセアニア(大洋州)(ウィキペディア「オセアニア」2021/5/18)

コロナ対策「優等生」、台湾に異変 引き金は国際線パイロット(yahooニュース 朝日新聞 5/16(日) 20:31)

>台湾では16日、域内感染が新たに206人確認され、累計で計550人になった。空港など入境時の確認を合わせた総感染者1682人(死者12人)の約3分の1を占める。先月までは約9割が空港などで見つかっていたが、この5日間で域内感染が急増した。

これまでコロナ対策の優等生だった台湾で、新型コロナウイルスが急拡大しているようです。日本と台湾は規模こそ違いますが、同じアジアの島国です。台湾は日本を侵略している某国に対抗する仲間で心配というのもありますが、日本のコロナ対策の参考にもなると思いますので、少し詳しく見てみます。

>今回の流行の引き金は、国際線パイロットが感染した英国型の変異株だ。パイロットは入境後の隔離期間(14日間)が特例で3日間とされ、同僚やホテル関係者への感染が急拡大。その後、ゲームセンターや女性が接待する飲食店などでも集団感染が起きた。

特例を設けたのは失敗だったのでしょう。台湾がコロナ対策で成功したのは水際対策が上手くいったからだと考えられますが、弱点はあったという訳です。これに対し日本の水際対策は緩さを指摘されることが多いのですが、緩くていいことはないと思われます。日本の場合、ビジネスを特例にしても(所謂ビジネストラック)、そこが綻びになるのは、時間の問題だと言えるはずです(日本は欧米ほどでないにせよ、それなりに感染拡大しているので、感染経路が分かりにくいだけで、これまで既に海外が感染経路の感染拡大はあったと思われます)。

コロナ対策成功例の台湾で感染急拡大-政府はロックダウン回避目指す(ブルームバーグ 2021年5月17日 12:00)

>台湾では域内新規感染者が14日平均で100人以上となり、その半数以上が感染経路不明だった場合、全面的なロックダウンが講じられる。

ロックダウンに踏み切る指標はあるようです。ただ、域内感染者が既に206人なら、対策が効果を発揮するまでタイムラグがあるので、対策が効果を発揮するとしても、ロックダウンに追い込まれそうな気もします(解除条件はよく分かりません)。日本の経験から言えば、強い対策に踏み切れなければ(比較的緩い対策で当面間に合うとしても)、グズグズ感染が拡大する(波が大きくなっていく)と言えるでしょう。ここで参考になるのがオーストラリア・ニュージーランドです。オーストラリア・ニュージーランドは人口こそ日本より少ないですが、台湾と並んで新型コロナ対策の優等生として知られます。島国は水際対策をしやすいと言えますが、日本も同じ島国です。ロックダウンという強い武器があれば、日本においても、オーストラリアやニュージーランドのような状況を目指せたと言えるのではないでしょうか(感染拡大があっても復活出来ました)(今からでも強い対策について議論されるべきです)。ましてや人口が日本より少ない台湾は、医療が逼迫している日本ではなく、オーストラリア・ニュージーランドを目指すべきなのは言うまでもありません。台湾の視野にロックダウンがあるとしても、現在決められている指標を満たすことを待たずにロックダウンしてもいいような気はします。ロックダウンは特効薬のように効くからであり、待てばその分拡大するからです。

>週末にもかかわらず人気の観光地で人の姿を見かけることはほとんどなかった。一方、台北市のスーパーでは食料や生活必需品を蓄えておこうとする客の長い行列が見られた。

ロックダウンに至らなくても、感染収束はするだろうと思います。日本もロックダウン抜きで、感染収束はしているからです。ただ、十分収束しないまま、対策が緩んで感染拡大したのが日本の経験です。厳格でない対策は効果もそれなりという訳です。台湾もいずれワクチンで水際を緩める日が来るのでしょうが、現在ワクチン接種は進んでいないようであり、ワクチンによる感染収束は時間がかかります。出来るだけ早く、強い対策(ロックダウン)で新型コロナを封じ込めたいところです。繰り返しますが、日本の経験から比較的緩い対策で収束はしても、対策の効果の低さから、解除を我慢できなくなり、次の感染拡大の波にのまれるパターンが考えられると思います。まぁワクチンをよほど急げば、「最初の感染拡大」ぐらいは乗り切れるかもしれませんが。日本のように制約がないのであれば、わざわざ危険な道を歩むことはありません。台湾人も人間ですから、日本と同じように「最初の感染拡大」では(軽い)「パニック」になっても、何度も感染拡大すれば、あまり「自粛」しなくはなるでしょう。それは分かっていますが(何だかんだでワクチンが間に合うかもしれませんが)、台湾には優等生を貫いてほしいところではあります。

ドイツ企業の最悪な選択

2021-05-11 20:46:19 | 厚生労働
【更新】独バイオンテック、中国製薬大手とワクチン合弁会社設立。外資初の進出、年間最大10億回分を生産へ(BUSINESS INSIDER JAPAN 川村 力 [専門編集委員]May. 10, 2021, 04:00 PM NEWS)

>「バイオンテックは1億ドル相当のmRNAワクチン製造技術とノウハウをライセンス供与する」

中国製薬大手、ビオンテックとワクチン製造合弁会社を設立へ(ADPB 2021年5月10日 22:02)

>中国医薬品大手の上海復星医薬集団(Shanghai Fosun Pharmaceutical Group)は9日、子会社がドイツ製薬ベンチャーのビオンテック(BioNTech)と合弁会社を設立し、新型コロナウイルスワクチンを製造することで合意したと明らかにした。

ドイツ、最悪じゃないですかね。ワクチンが軍事技術と関わるとすれば、情報漏洩も甚だしいと思います。ヨーロッパが中国に軍事技術を売ろうとしたパターンはこれまでにもあったと思いますが、最新鋭の技術を売る行為はちょっと記憶にありません。ワクチンで攻撃することは出来ず、軍事技術そのものではありませんが、応用は利かせられるものですし、ワクチン外交に使われることは間違いありません。あの悪名名高い人権侵害国家のイメージアップに合弁会社のワクチンはさぞかし貢献するでしょう。

中国のコピー技術を舐めてはいけないと思います。これまで例えば新幹線技術が盗まれ、自作の技術とされ、輸出までされました。ただでさえ、中国は「世界の工場」として急速に発展してきました。最新鋭の技術がその都度、中国に吸収されれば、中国経済の規模感から、急速な成長は止まらず、アメリカ越えの覇権国家になる可能性が高いように思えます。mRNAワクチンというゲームチェンジャーが中国の手に早速落ちるとは、今度の合弁会社は中国のやり口の新たな象徴になりそうです。西側先進国の技術を買っては肥え太る中国のやり口・・・。中国からは資金の引き上げも出来ないと言い、公平な競争条件がないと言われます。ビオンテックはその辺の交渉をキチンとしたでしょうか?ただ単に市場の大きさに釣られただけではないでしょうか。

これだったらトランプ政権の方がマシだったかもしれません。同盟国重視のバイデン政権でドイツを止めることが出来るでしょうか。同盟国重視と言えば、同盟国にとっていい感じもありますが、「裏切って」いい訳ではありません。楽天にもアメリカは舐められた感がありますが、アメリカは自由主義国のリーダーとして、中国の覇権主義に対抗していく必要があると筆者は思います。ワクチンが軍事技術なら、合弁にストップをかける術はあるようには思いますが。

ワープスピード作戦をファイザーが断ったのが美談のようになっていますが、国からの資金提供を受けていれば勝手なことは出来なかったと考えることも出来ます。今回、合弁会社を設立するのはファイザーではなく、ビオンテックですが、アメリカの援助を断り、中国との合弁を選ぶなど、どう正当化するのか分からない失策だと思います。

カナダ、中国カンシノとのコロナワクチン提携打ち切り(Newsweek 2020年08月27日(木)05時37分)

中国の今の失敗はワクチン技術の低さにあると思います(日本よりはマシかもしれませんが)。それをいきなり最新鋭とは。また一つ大きくなった中国と戦わなければいけないのでしょうか。中国にmRNAワクチンを渡すなと言っているのではありません。売るのはいいが、造らせるのは不味いと言っているのです。どれだけ多くの企業が中国市場の罠に嵌まったことか。

日本は国産ワクチンに拘っていますが、ビオンテックとの合同等、可能性を探ったでしょうか 日本なら良くて中国はダメみたいですが、それが安全保障の考え方でもあると思います。

コロナワクチン特許権放棄、米政権は中ロへの技術流出を警戒(ロイター 2021年5月10日2:04 午後)
思えば、バイデン政権はビオンテックのこの動きを知っていたのかもしれませんね。特許権放棄と言えば、お花畑みたいですが、アメリカという国は中露への技術流出を当然警戒しているはずです。

欧米並みの強い対策を

2021-05-03 19:46:23 | 厚生労働
ワクチンの接種が進むまで、変異ウイルス対策でより強い対策が必要って皆分かっていると思うんですけどね。対策には弊害がつきもので、弊害ばかりを強調する人が今は多いようです。真面目に政策を語る人がいませんね。(拙稿 2021年4月30日ツイッター)

三密回避・マスク・手洗いはコロナ流行初期から言われていたことです。コロナ慣れが指摘され、変異ウイルスで最大の波が予測される今、強い対策を議論しなくて何時議論するんでしょうか。ワクチンによる集団免疫は時間がかかることも明白。(拙稿 2021年5月1日ツイッター)

変異ウイルスが蔓延しつつある今、政府与党には欧米並みのロックダウンに準じる厳しい対策を導入することが求められているのだろうと思います。ワクチンは効果的ですが直ぐには効果を発揮しません。三密の回避・マスク・手洗いは流行初期から言われていることで、今はコロナ慣れが指摘されているところです。(変異ウイルスが蔓延しつつある今 (管理人) 2021-05-01 04:05:21 拙稿「飲食店の実名公表と罰則規定」コメント)

憲法改正で緊急事態条項もいいんですが、時間がかかることも明白です。

検査で感染拡大を阻止した国もありません。感染縮小に顕著な効果があった対策とはロックダウンとワクチンです。両方やるべきですが、ワクチンは時間がかかるので、今の苦境を耐えしのぐのにはロックダンしかありません。日本はこれまでロックダウンを行わず(行えず)、自粛で同様な効果を発揮してきていますが、コロナ慣れで自粛頼みは限界が見えてきています。時短もいいんですが、変異ウイルスで限界が見えてきているのは否めません。

オリンピックは再延期が妥当と思います。少なくとも中止よりは再延期の方が希望があります。強い対策で感染を抑え込めれば、五輪に間に合う可能性もありますが、現状ではその強い対策もありません。まぁテレビ五輪が自粛期間中の娯楽になる可能性もないではありませんが、筆者としては皆に歓迎される完全な形での実施が安全策でもあると思う訳です。

欧米並みの感染状況にならないために欧米並みの(効果ある)強い対策が必要だということではないでしょうか。