観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「多重下請」「空き家」「住宅」「相続」「農業」「医者の給与」「解雇規制」を考察する予定(未定)。

北朝鮮に圧力をかけてもらうための中国に対する協力

2018-03-26 17:19:58 | 政策関連メモ
北朝鮮に圧力をかけてもらうために中国とどう協力するか考えてみました。

とりあえず中国東北地方開発への協力、極東における中露関係の強化に協力はどうかなと考えています。


『日本満州見学地理』 奈良県立図書情報館

検索してもあまりいい地図が無かったので、旧満州地図(地形がよく分かります)。他意はありません。

北朝鮮経済を支えているのは明らかに中国です(北朝鮮の昨年貿易額 中国が9割超占める 朝鮮日報 2017/04/06 11:54)。中国は制裁に意外に協力的とも言われ、中国のやる気次第で北朝鮮に異次元の圧力をかけていける可能性があります。長い国境線ですが、密輸は取り締まることもできますし(脱北と区別がつかないので、北朝鮮が黙認することもないでしょう)、鴨緑江があって橋がかかってますから、正式の貿易は中国のやる気次第で止めることもできる訳です。


国境の鴨緑江に架かる「中朝友誼橋」は友好のシンボル Thomas Peter-REUTERS

北朝鮮との交易は中国の利益にもなっていますから、これを止めてもらうには中国に何がしかの利益を与える必要があります。ただし、これが東シナ海や南シナ海、歴史問題など既存の対立点における譲歩であってはならない訳ですし、望ましいのは東北3省の利益でもある譲歩である訳です。東北3省がただ損するような取引では、習近平氏の国内統治が難しくなってしまいますから、中々代償が大きくなってしまうとも考えられます。

第82話 なぜ中国東北地域の経済が一番悪いか?(日本経営合理化協会)

東北3省はあまり景気が良くないようです。日本が支援したら、建て直すことは可能ではないかと思いますね。その辺を春頃の日中韓首脳会談で話し合っても良いし、直接日中で話し合っても良い訳です。

瀋陽軍区と江沢民の「上海閥」は関係が深いと言われ、習近平氏と対立しているとも言われます(本当のところは分かりませんが、江沢民政権の終焉と東北3省の苦境は関係ある可能性もあります)。どう協力するかは難しいところもあるかもしれません。下手を打つと強くなり過ぎた中国に日本がやられる可能性もある訳で、難しい舵取りが迫られると思います。

東北3省が発展が遅れ気味のひとつの理由に北朝鮮との関係が上手くいかないこともあるでしょう。中国も言うこと聞かない北朝鮮に不快感があると思いますが、東の交易を断つなら、代替策が欲しい所です。第一には東北3省自身が発展して、例えば大連から輸出することだと思いますが、もうひとつは極東ロシアとの結びつきを強めて、北朝鮮の代わりにしていくことです。黒龍江省あたりはウラジオストクをドンドン使ってもいいと思いますし、「サハリン」の資源は中国に売ってもいいと思う訳です。北朝鮮に売られるよりはよほどマシなはずです。

中国は大き過ぎますから、ロシアは警戒する可能性もあります。が、安倍首相のプーチンコネクションが上手く働けば何とかなる可能性もあります。例えば中国の物資がウラジオストクに集まる形だったら、ロシアとしても文句ないかもしれませんし、中国としては言うことを聞かない北朝鮮なんかより、ロシアと関係強化した方がよほどましだと考えられます。シベリア鉄道を活発化させることも考えられますし、とにかく、ロシアとしては人口膨大な中国に荒らされる事態を避けられれば、結構上手くいく可能性もあります。

欧州とロシアは対立していますが、極東を活発化させるぐらいは関係悪化に繋がらないと思いますし、ロシアと対立しがちなアメリカも北朝鮮の核放棄のためなら、OKなのではないかと考えます。

ロシアはサッカーW杯を控えてイギリスと揉めているようですし、その辺を上手くとりなすことも考えられます。

ちなみにというか、ウラジオストクの語源は「東の領地」だそうです。筆者は「東方を支配せよ」と記憶していましたけどね(そういう説もあるようです。「ウラジオストク」はどういう意味か知りたい。 レファレンス協同データベース)。沿海地方水族館が凄いらしいですね。


中央広場(正式名称:革命戦士広場)ウラジオ.com

中国(東北3省)の話に戻りますが、安倍首相の母方の祖父岸信介元首相は満州国で官僚をやっていたんですよね。岸元首相は安保改訂で知られます(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約 ウィキペディア)。日米同盟の基礎をつくった人と言っていいでしょう。


首相官邸ホームページ

今の日本が満州に野心があるはずもありませんが、何かと因縁深い場所です。

具体的なプランですが、「岐路に立つ中国とロシア」(中津孝司編著 創成社)を参照しました。

Chapter11が「中国の農業政策と食糧自給」となっていますが、中国の食料自給率問題はあるようです(中国が抱えるもう1つの時限爆弾「食糧問題」 日経ビジネス 2014年1月15日)。何でも90%を切って、習近平氏も危機感を持っているのだとか。

これを自給率向上で対処することは困難であるようです。何故なら中国は水問題・砂漠化の問題も抱えているからです。農業には水が必要ですし、農地を増やすために森林を切り開けば砂漠化します。全てを解決することは不可能で、中国は食料を輸入しなければなりませんし、実際にそうしています。

中国の水不足が深刻に、沿海都市の9割で―中国紙(Record china 2017年6月30日(金) 5時20分)

深刻化する中国の砂漠化、黄砂や大気汚染にも影響(Record china 2017年5月9日(火) 16時0分)

>無秩序で杜撰(ずさん)な開発建設。砂漠区の開墾(かいこん)、放牧、水資源等の過度な開発問題が吹き出している。5年間の砂漠区耕地と砂漠化耕地面積は共に3.60%と8.76%増加している。2014年の放牧区の平均畜産超過は20.6%に達している。内陸湖沼面積は萎縮し、河川の「断流」現象が発生し、地下水位は年々降下している。新疆タリム河農業用水は97%、内蒙古では幾つかの湖沼が近30年で30%も減少している、科爾沁砂漠農区地下水は10年間で2.07メートルも下がっている。これらは全て砂漠区生態建設と植林保護の大きな脅威となっている。

検索して出てくる情報は古いものが多く砂漠化は止ったという情報すら出てきたのですが、そうでもないようです。古い情報ですが、砂漠化・緑化の基礎知識 - 地球緑化クラブを見ると、原因は過度の伐採(原因の32.4%)、過放牧(29.4%)、過度の農耕(23.3%)が大きいようです。伐採は農地にする目的もあるかもしれませんが、木材の利用、製紙、薪が考えられるでしょう。黒竜江省での過放牧の証拠は以下の通り(2002年の情報ですが)。

中国黒竜江省における放牧圧の異なる草原植生の種多様性(日本草地学会誌 J-STAGE)

中国の情報は良く分からないところはありますが、抜本的に改善したということは無いような気はします。

いずれにせよ、中国の賃金は上昇し続けています(中国主要都市の最低賃金推移 - 三菱東京UFJ銀行)から、水不足や砂漠化を進行させる地方の農業や牧畜業は抑えて、都市への人の移動を促した方が良いのではないかと思えます。

食料自給率が減少した分は輸入で補えばいいはずです。有望な輸入先のひとつがアメリカ、そしてロシアです。

ロシアは世界最大の穀物輸出国になりつつある(Sputnik 2016年02月13日 06:55)

>ロシアは2016年世界最大の穀物輸出国になるかもしれない。ウォールストリートジャーナル誌が米農業省の予測レポートを引用して報じた。

極東ロシアは気候はそれなりに温暖でカナダに近い感じのようです(北海道は亜寒帯 気候区分ではシベリア、アラスカ、カナダと同じ ハンター日記)。ですから、開発すれば可能性があるかもしれません。まぁロシアの自然は失われる訳ですが、中国の環境悪化が避けられます。

【ロシア経済の未来】極東開発と農業生産の可能性(Money Glip 2017-08-09)

>旧ソ連時代の穀物保管・港湾設備の老朽化が進み、ロシア東部の農業生産効率がかなり落ちているので、ここに適切な資本・技術提供があれば農業生産は劇的に改善するとも言われている。
>ロシア極東の沿海州やアムール州では、中国・韓国が旧ソ連時代の耕作放棄地を狙った「ランドラッシュ」という農地入手行動が展開され、すでにかなりの地域でこの二か国の入植が進んでいるという報告もある。
>日本の極東開発やシベリア開発への援助の具体化はまだかなり先の話だが、これらが進展すれば中長期的にはロシアの農業生産の可能性は世界的にも大きなインパクトがあり、この要素も今後のロシア経済を考える上で無視できないものではないだろうか。

新たな農業市場 極東ロシア(AGRI IN ASIA 2016年10月25日)
極東で相次ぐ農業・食品生産プロジェクト(JETRO)
ロシア極東等農林水産業プラットフォーム(農林水産省)

極東ロシアで農業支援ができるなら、中国でもできるとは思いますがね。勿論、自給率を拡大するためではなく、効率改善して寧ろ農業や牧畜を止めるためです。

極東ロシアの森林保全|WWFジャパン
ロシアの森林資源の動態と森林管理・政策の動向 ロシアの森林資源の動態と森林管理・政策の動向―ハバロフスク地方を中心として(柿澤 宏昭(北海道大学大学院農学研究科))

確実に新しい情報が見つかりませんが、中国の需要を考えたら、森林伐採は進んでいるのではないかと考えます。研究(西シベリアのタイガにおける二酸化炭素フラックスの推定 地球環境研究センターニュース 2013年10月号)もあるようですが、良く分かりません。

日本にはチャレンジングな林業家もいるようですし(「もうからない林業」でしたたかに稼ぐ人たち 日経ビジネス 2017年3月7日(火))、タイガや中国の森林を守る人がいてもいいような気もしますね。

中国の環境が悪いというのもステレオタイプですが、やはり悪いんじゃなかろうかと。

北京の大気汚染:リアルタイム大気質指標(AQI)

あまり本当のことを言うと入れてもらえなくなるから、知ってる人も喋れないんですかね?

後、米中貿易戦争になったら非常に不味いので、それは先にどうにかしてほしい・・・と思っていましたが、どうにかなりそうですね。

それより金正恩出現で何がなんだか・・・。気が向いたら(何か思いついたら)、また中国の記事は書きます。

ただ、中国も日本に対して譲れないことをずっと言ってきているので、どうしていいのか分かり難いところはあります。中国が自分の金と労力で環境をやろうとかそういうことなら助けられると思いますが、どうもそんな話にはなりそうにもないですよね。日本との「戦争」に勝とうというなら、負けられないってことになってしまいます。必ずしも中国の環境を良くすることが中国にとって悪いということでもないと思うのですが。

いずれにせよ、急に協力を考えるとか言っても直ぐにそうはなりますまい。超特大級の爆弾(金正恩)が炸裂する可能性もありますしね。ちょっと様子をみたいです。


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