観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「(理系人材と)GX」「北方領土」を考察・纏め予定。放置気味ですが、忘れた訳ではありません。

鳥インフルエンザ雑考

2023-04-30 09:53:27 | 農林水産
卵不足、GWの土産需要直撃 「白い恋人」品薄続く(日経 2023年4月28日)

明らかに鳥インフルエンザが(卵の)物価にまで影響していますよね。普通にワクチンで何とかならないものかと思ったのですが、ウィキペディア「鳥インフルエンザ」では2011年2月現在の情報として、海外のワクチンを使用した地域ではウイルス撲滅に成功しており、養鶏業界からはワクチンの接種を認めるように求める声が高まっているとしています(ソースなし)。

アメリカではワクチンを検討しているみたいですね。

参考:猛威を振るう「鳥インフルエンザ」に対抗すべく - Wired Japan

厚労省 鳥インフルエンザA(H7N9)に関するQ&A では「現在、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに有効なワクチンはありません。」としていますが、感染予防効果が認められていないことを言っているのか疑問があります。ヒトへの感染が懸念されているため、厚労省が出張ってくるのは分かります(食品安全を厚労省はやる必要があります)が、獣医学は農水省の管轄のような気もします(農水省 鳥インフルエンザに関する情報ではワクチンに言及していません)。家畜は殺処分も可能な経済動物です。

ただ、変異ウイルスの常在化が懸念されているようですね。

参考:鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス - 内閣官房

しかし、コロナで分かったのは、ウイルスが増えると自然に変異が発生するということではないかと思います。ウイルスをワクチンで少しでも抑えるのが重要では?

なお「パンデミックウイルスの出現を監視する上で非常に重要な知見」は既に得られているようではあります。

後はコストの問題ですね。ワクチンが安いのか、現状/殺処分が安いのか、新しい挑戦/分割管理が安いのか。

[農家の特報班]鳥インフル、重い全羽殺処分 「分割管理」は可能か(日本農業新聞 2023年4月5日)。

しかし何故最近鳥インフルエンザが猛威を振るっているんでしょうね?変異ウイルスのせいかもしれませんが、起源や歴史に迫るのも重要かもしれません。

鳥インフルエンザの流行、2004年 国立感染症研究所・感染症情報センター 岡部信彦

「家禽ペスト」という形で昔からあったようではありますが。鳥の飼育が高度化した(密になった)せいもあるんでしょうか。

抗生物質の耐性株の出現は大きな問題ですが、ワクチン耐性ウイルスの出現はインフルエンザの例を見る限り、大きな問題ではないような気もします。今の効果では集団免疫には達しないかもしれませんがね。これに対して感染による免疫の効果は比較的高いかもしれません。ワクチンと感染と何が違うんでしょうかね。感染による免疫は問題が大きいからワクチンに頼る訳ですが、感染による免疫のいいとこどりが出来ないか今後の研究に期待したいところではあります。




納得済みのワクチン接種が大切

2023-04-30 09:13:16 | 厚生労働
③ 妊娠中にインフルエンザワクチンは打っていいの? - 東京ビジネスクリニック

コロナワクチンの妊婦に与える影響を煽る陰謀論ニュースがまた出ているようですが(Horowitz: Earth-shattering document shows Pfizer & FDA knew about safety concerns for pregnant and nursing women from day one conservativereview)、何もしなくても一定の確率で流産・奇形は発生します。これはインフルですが、万一の時、ワクチン接種と関連付けないよう納得して接種することが大切のようです。

新型コロナワクチン接種後に1歳男児が死亡 厚労省が公表(NHK 2023年4月28日)

新生児(生後4週間まで)の死亡率は500人に1人。乳児(生後1年頃まで)の死亡率は250人に1人。新生児・乳児の死亡率は医学の進歩で長期低下傾向です。死亡した男児は腎臓に重い病気があったと言います。このニュースでSNSにワクチンと死亡を関係づけるデマが発生しています。

おまけ)普通にマスクはコロナ/空気感染にも効果があるんじゃないですかねぇ?

参考:解説「分科会の提言と空気感染(エアロゾル感染)」 東北大学

処理水の安全性の程度

2023-04-30 08:33:53 | 資源エネルギー・環境
日本の水道水は比較的安全と言われますが、あまり飲む人はいません。しかし生物濃縮が問題になることはありません。福島の処理水の安全性も同様と思われ、飲むのに科学的な問題は無いという程度の話と思いますが、福島産の農水産物に影響はないのであって、福島での生活に問題は発生していません。

韓国をはじめとした福島県産の農水産物の輸入禁止措置は科学的に問題と思います。WTOは正常に機能しないようですので、日本も韓国の原子力発電所周辺水域の農水産物、あるいは水道の水が汚いとかいってキムチ・海苔とかの農水産物の輸入を禁止にすることは考えられると私は思います。

処理水の問題に関しては、福島の漁業者の反対は小さくないかもしれません。でも漁民が処理した下水の海洋放出に反対したとは聞きません。福島の事故は勿論問題ですが、適切に対処されていると思われ、あまり科学を信頼しない態度だと逆効果になる(福島産に悪いイメージがつく)のでは?

ロシアの北海道への野望と極東アジアの日本の権原

2023-04-12 04:18:47 | 外交安全保障
ロシアの第3政党の「公正ロシア」のミロノフ党首は「北海道の全権はロシアにある」と主張しており、最近プーチン政権のキーマンの傭兵組織ワグネルグループのプリゴジン氏と接近しているようです(平野高志 ツイッター)。ロシアは日本の隣国であり、その動向は注意していかないといけませんね。

日露間の最初の国境協定=日露和親条約で両国国境を択捉島とウルップ島の間と定めており、樺太は棚上げになりました。つまり北海道は歴史的に日本領だとロシアは認めてきました。ロシアは条約に署名していませんが、サンフランシスコ講和条約で北海道及びその属島を日本は放棄していません。

日本は千島・樺太をサンフランシスコ講和条約で放棄しましたが、ロシア領と認めた訳ではありません。ロシアが北海道の領有を主張するなら、サンフランシスコ講和条約締結国に第2条(c)の改正を求めていくべきかもしれませんね。千島や樺太にはアイヌがおり、アイヌは歴史的に日本と深い関係にあります。

北海道に展開したオホーツク文化人はニヴフと同系とも言われ、ウィルタと共に日本の統治下にありました。極東には極東の歴史があるのであって、一般にウラル山脈がヨーロッパとアジアの境目とされます。伝統的にヨーロッパに居住したスラヴ系のロシア人は「お客様」でしかありません。

中国の新しい歴史教科書には、「極東の中国領150万平方キロが、不平等条約によって帝政ロシアに奪われた」との記述が登場しているようです(ウラジオストクは「中国固有の領土」か=始まった極東奪還闘争 フォーサイト-新潮社ニュースマガジン)。中国が平等に気を使っていると思えませんが、不平等を糺そうとするなら、その心意気は必ずしも否定されるべきものではないのかもしれません。

プーチン大統領と停戦考、何を持ってウクライナの勝利とすべきか(追記)

2023-04-03 17:21:17 | 外交安全保障
日本の安全保障「世界で最も厳しい」 防衛研究所・高橋杉雄氏「正論」懇話会要旨 (産経 2023/4/3)

ウクライナが被占領地を全てあるいは部分的に奪還して戦争を終わらせる決意をした時、プーチン大統領が応じず占領地の回復をあくまで目指すかは微妙だと思います。国力を消耗するだけでしょうから。プーチン大統領は中国のためにロシアを消耗させたい訳ではないのでは?

プーチン大統領を変心させて諦めさせることは出来ないでしょう。プーチン大統領は米中戦争で中国が勝つシナリオに期待し、それに乗ずるオプションを固持すると考えられ、そこは我々が(戦争を中国にさせずに)勝つことでどうにかするしかないと思います。

ロシアはウクライナを欲しており、勝てると思っていましたが、当初は全面戦争まではするつもりではありませんでした。中国も台湾を欲しており、その力をつけつつあって、戦争を決意する可能性はあるでしょう。日本が対策しないといけないのはその通りと思います。

ロシアは勝って中国を促す意図もあって、戦争を決意した可能性があります(その意味で逆効果でしたが)。だとすると、プーチン大統領はウクライナを手に入れるシナリオを延期する可能性があるような気もします。他力本願ですが、中国が勝つまで待つ訳です。

核兵器をプーチン大統領がウクライナで使わなかったのは本気で終わりと諦めていなかったからなのかもしれません。ウクライナが復讐のため、戦争の根元を断つため、ロシアに攻め込む可能性は低いし、(核がありますので)それはする力もないと考えているのでしょう(体制維持が最大目標)。

体制維持に次ぐプーチン大統領の目標ですが、ロシアの拡張にありはするのでしょう。そのための前提としてパクス・アメリカーナは都合が悪い訳です。まずは自力でその打開を図りましたが、次は他力も利用してその打開を図る可能性も考えられます。

負けが込むと体制維持が危うくなります。プーチン大統領は今回の戦争の失敗から、欧米の力、欧米が警戒する中国の力を内心見直しているのかもしれませんが、何処かのタイミングで冷静に損切するつもりのようにも思えます。

勝利こそが平和 広島サミットに期待 新欧州センター所長、アリョーナ・ヘトマンチューク氏(産経 2023/4/8)

私は日本のウクライナの勝利に貢献する立場を支持するものですが、何を持って勝利と定義するかの問題があると思います。

ウクライナにとってクリミア半島の奪回が勝利条件かもしれませんが、ソ連の遺産=セヴァストポリ海軍基地があって、元々完全にウクライナの領土でなかったと思います。

核もそうですが、ソ連の軍事的資産はロシアにウクライナは引き渡したんですよね。借地契約を取り消せばいだけと思うかもしれませんが、クリミア半島はアゾフ海を区切る位置にあって、ロシアが黒海艦隊を運営する上で、欠くことが出来ない基地ではあると思います。私はザポリージャやヘルソンは勿論ドンパスもロシアが本気でロシア領と考えているか疑っていますが、クリミアのロシアにとっての重要度は他と違う可能性があるように見えます。元々クリミア・ハン国でもあって、帝政ロシアの主要な戦勝記念の地でもあるんじゃないでしょうか。

現実問題、ウクライナがクリミアに反攻するなら、地勢上海からの攻撃も必要になってくると思われ、可能だとしても長期間になるとも予想されます。何を持って勝利とするかはウクライナが決めるべきで、日本はそれを支援するべきではありますが、ロシアの意志をこちらで推し測ることもしないと上手く平和が訪れないと愚考する次第です。ロシアの核兵器で防衛する意志をそのまま受け取れませんが、ロシア本土にウクライナも侵攻する意志はないのであって、何をロシア本土と捉えるかに関して、争いの余地がないか考えることも必要でしょう。

ウクライナがクリミア半島を諦める必要はないと思いますが、以上の理由で北方領土方式で平和的に要求していく形も有り得るだろうと思います。北方領土もロシアにとって軍事的に重要な位置にあって、日本がサンフランシスコ講和条約で千島列島を放棄している問題があります。