観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「多重下請」「空き家」「住宅」「相続」「農業」「医者の給与」「解雇規制」を考察する予定(未定)。

日銀と為替

2024-05-12 20:25:59 | 経済財政
円安でも沈むトヨタ株 為替の安定、日本株再上昇の条件(日経2024年5月12日17:00)

トヨタが円安で儲からなくなっているらしいというのは分かりますが、一方的な円安の進行は論外として、円安(安定)のメリット・デメリットは冷静に見たいですね。まず円安だと海外子会社の利益が膨らみますから、本社/日本に還流させるとしたら、今でしょう。

そして、(これ以上の円安は無いという前提で)海外に投資するのは今ではないということになります。海外投資を検討するなら、円高になってからで遅くありませんし、日本に資金を還流させるなら、円高になってからでは遅いということです。日本政府には日本投資の環境を整えることが求められます。

また、有望な輸出産業を育成するなら、今です。例えば、空輸してペイする高級農産物等が打って出るなら、今でしょう。今ほど円安でなかった過去の自民党政権の方が農産物の輸出に熱心だった印象があります。タイミングを間違っていないでしょうか?それが可能なら、日本の農業への投資が期待できます。

こうして円安を利用して海外の日本産品の買い付けや、海外法人からの日本への資金の還流が増えれば増えるほど、円高になっていくということです。それでマネー比で均衡するところで止まるのか知りませんが、日本人が日本に過度に悲観的になっていること、割安割高で動けないことが今の日本の問題です。

金利を爆上げして円安を止めるのは簡単でしょうが、ただでさえ借りる人がいないのに金利を上げて借りるようになるとは1ミリも思えません。それを言う人も誰一人いません。円安低金利こそ日本投資のチャンスで日本投資が捗れば円安は解消します。頑固なようですが、他に私はアイディアがありません。

日銀、利上げ左右する「基調物価」 曖昧さに疑念も(日経2024年5月4日5:00)

まず日銀の判断を待つまでもなく、日本の物価はまだ全く低いような気がします。日本の景気に過熱感があったら、資本逃避するはずがありませんから。円安の一方的進行を食い止めることは大切だと思いますが、それを除くと、金利を上げたらいいような感じがカケラほどもありません。

日銀流に言えば、賃上げを伴う第二の力による物価上昇は大歓迎で(年金も物価上昇や賃上げでスライドするので問題ありません)、ドンドン起こすべきとなりますが(一部が投資や貯蓄や借金返済に回るので、必ず実質賃金は上がると思います)、一時的な第一の力による物価上昇は問題になるでしょう。

つまり円安が際限なく進行していけば、第一の力による物価上昇が進むと思いますが、円安でも為替が安定すると、第一の力による物価上昇も一定のところで止まるはずで、円安効果で輸出や海外子会社からの還流等による日本投資・日本消費効果で賃金が上昇すれば、第一の力による物価上昇も相殺されます。

日本投資・消費が盛んになったら、景気が過熱して、誰の目にも金利を上げようとなるでしょう。そうなるように動いていくのが日本のやるべきことで、そのためには金利は低い方が絶対にやり易いはずです。今の日本に必要なのは(日本悲観論で日本投資・消費を減退させる)批判ではありません。日本投資・消費を盛んにする具体策と行動です。

日銀がこうしたことを説明しないとすれば、金利を上げないと明言することで、円安の際限なき進行を触発することを怖れているのでしょう。そうだとしたら、さすがに賢い人達だと私は思います。ただし、円安が際限なき進行をするなら、食い止めるために金利を上げる用意もあるはずで、そこは勘違いするべきではありません。その基準も説明すると、利用されて利ザヤを稼がれるはずです。マスコミは聞くべきでは無いことを聞かないことも仕事の内ではないかと私は思います。説明しないと説明されると分かっていることを聞くのもいい加減にしたらいいと思うんですよね。

日銀、利上げより先に国債減額? 円安対応で市場に観測(日経2024年5月12日5:00)

考えたこともありませんでしたが、国債の買い入れの減額ということは、市場に国債を流すということでしょうか。これで資本逃避が防げるなら、選択肢だと私も思います。国債発行高が増えても、緩やかなインフレで財政の安定は揺るがないと考えられます。

円安の一方的進行は、更なる資本逃避を招き、やがては通貨危機に発展すると考えられます。これを食い止めることは正義ですが、円安低金利効果で日本投資・日本消費を触発する必要が無い訳ではありません。今は植田日銀の舵取り、岸田政権の政策行動を見守りたいところです。