観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「北方領土」を考察する予定(未定)。

職務給がもたらす高い初任給

2023-09-29 20:18:20 | 厚生労働
まず終身雇用年功序列制はピラミッド型の人口構成を前提とする途上国型制度ですから、これは持続不可能です。現に若い人に負担がかかり過ぎていて、少子化の原因にもなっており(労働者に社会保険料の負担が重くのしかかります)、高齢者に偏在する金融資産は眠ったままになっています(何時死ぬか分かりませんので、持ち家ありの厚生年金でもなければ、上手く貯蓄を取り崩すことは出来ません)。従って、終身雇用年功序列制と相性のいい職能給も廃止の方向に向かうできでしょう。結論として(同一労働同一賃金をむねとする)職務給しかない訳ですが、これは一定の労働分配率下で、年功的賃金の増加を抑制できますので、その分初任給の上昇をもたらすと考えられます(実際に職務給の欧米の初任給は日本より高いです)。

職務給は職務内容を明快にしなければなりませんから、人によらず、一定の品質の仕事を保ち易いとも言えそうで、日本に馴染まないとは私は思いません。

日本企業、蓄える賃上げ力 経常利益4~6月最高の31兆円(日経 2023年9月28日)

2024年卒の大卒求人倍率は1.71倍で、コロナ禍前水準に戻っています。建設業、流通業等、有効求人倍率が高い業界は改革まったなしだと思います。人件費を上げるか、DX化(設備投資)か効率を考えて、早急に対応しなければなりません。

賃上げ・設備投資の原資は価格転嫁、融資、投資等の手法が考えられますが、融資、投資は結局儲からないと持続可能ではないので、価格転嫁といった儲けるスキームの話は避けて通れません。価格転嫁して減収になるなら、過当競争の可能性が高く、弥縫策は問題を長引かせるだけでしょう。

賃上げ余力のある企業を煽って賃上げを求めていきたいところですが、現役労働者で構成される労組主体の賃上げだと初任給が上がらず、中高年の給与が高い年功序列制が温存されるような気もします。この問題点は経営者の視点で若い労働者のコスパが良くなり、中高年が不要な人材になることだと思います。

(金を稼ぐ力に差が出にくい)普通の業界では職務給でいいと思うんですよね。スポーツ選手や芸能人なんかは能力主義というか、本来の意味での職能給だと言えるかもしれませんが、いずれにせよ、日本の大勢は少子高齢化の影響を受けざるを得ず、年功序列終身雇用は持続可能でありません。

公務員に限って言えば、職務給にして、初任給を上げて、なだらかな賃金上昇で高齢者の賃金は抑えめにすることは簡単です。政府がそうすればいいからです。高い初任給で新卒を奪われるのが嫌であれば、民間もそれに倣うでしょう。気を付けないといけないのは、初任給を上げた上で、年功賃金/職能給を温存したまま、中高年の給与まで上げないことです。それをやると公務員天国の増税路線、民間部門の縮小で共産主義路線まっしぐらですから。

民間部門の評価は難しいですが、業界ごとに適正な労働分配率があって、初任給で評価すれば、間違いないでしょう。職務給ですから、同一労働同一賃金で非正規は実質的に禁じるべきかと思います(短時間勤務の待遇の問題はあると思いますが、長時間勤務の正規と基本的に変わらない非正規は社会保険も含め、同一給与同一待遇にしていくべきでしょう)。

では頑張る人が報われないのかと言えば、そうではないでしょう。職務給でも(賃金を支払って)繁忙期に働いてもらうことは可能だと思いますし、業界によって、職務が明確になっていれば、技能をつけることで、ステップアップすることも可能なはずです。

欧米風の職務給にすれば、(価格転嫁で)物価が高くなって、生活が苦しくなるかと言われれば、そうではありません。実質賃金が上がっていないのは、日本だけなのですから。

実は2020年4月から正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差が禁止されています(「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」厚生労働省)。政府は既にジョブ型雇用に誘導しているとは言えますが、公務員もそうしているか、民間が政府が誘導する方向に動いているかは検証の必要があるかもしれません。

第3号被保険者の変革こそが日本の力になる

2023-09-29 16:00:39 | 厚生労働
[社説]社会保障ゆがめる「年収の壁」助成金(日経 2023年9月28日)

今の補助金案で、期限が来た時、人手不足を補った配偶者が、そのまま働いてくれればいいですけど、扶養に戻ると、人手不足が再来します。それを避けるため、補助金を続けるのであれば、「専業主婦」に国がお金を出すということになります。専業主婦とは仕事が無い途上国型の制度であり、家電が無く家事労働の負担が重かった旧時代の遺物であって、事実として少子化対策として機能していません。少子高齢化が進んだ日本では、社会保険料を納める労働者の数は多い方が、高齢者を上手く支えられます。第3号被保険者の変革こそが日本の力になるのであって、私は今度の補助金案に反対です。

(社説)「年収の壁」 厚生年金拡大が王道だ(朝日 2023年9月29日)

>まずは厚生年金の適用を広げて3号を絞り込み、残る人たちの実情に合わせて今後の制度のあり方を考えるのが、現実的ではないか。

仰る通りで、岸田政権の「年収の壁」対策は人手不足問題を先送りするバラ撒き弥縫策に過ぎず、問題の根本解決になっていません。厚生年金拡大が王道という指摘に耳を傾けるべきだったのではないでしょうか?これは専業主婦幻想に阿る選挙対策に過ぎず、私は明快に反対です。

今の若い女性に専業主婦に憧れがある人は少なくないようですが、玉の輿に乗れる人はそう多くありませんし、富裕層の男性が専業主婦を求めているとも限りませんし、求めているとしても、生涯配偶者を大事にしようと思っているとは限りません(「女房と畳は新しいほうがよい」と夫の浮気で熟年離婚される可能性もあります。その時、十分な補償が出来、実行する男性がどれだけいるでしょうか?女性が稼げば、浮気を防げる訳ではありませんが、夫に依存していなければ、浮気されても問題が少なくなりますし、逆に気になる男性が出てきたケース等で、熟年離婚を切り出す基盤があるとも言えます。実家がお金持ちだったら、あるいはよほど自分に魅力があって、ほどほどの相手で我慢したのであれば(幾ら一定の魅力があっても、自分より魅力のある相手は新しい相手を見つけてくる可能性があります)、手に職が無くても心配は要らないのかもしれませんが、普通の家庭では女性も仕事をした方が安心ではないかと私は思います)。

政治家の妻や支援者の妻に(働いてない)第3号被保険者が多いってことではないんですよね?

山地の太陽光発電の将来性とソーラーカー

2023-09-29 13:31:09 | 資源エネルギー・環境
ノーモアメガソーラー、福島市が宣言 景観悪化に歯止め(日経 2023-09-29)

傾斜のある(一部地盤の悪い)山地で一般的な森林は炭素を貯留しており、日本は山がちな山島ですが、山地での太陽光発電はカーボンライフサイクルを悪化させているように見えますね。景観の悪化によるベネフィットの低下、防災対策の徹底によるコストの上昇を考えると、福島市の決定は納得できます。これが「福島新エネ社会構想(資源エネルギー庁)」の結論だとしたら、意味は重いのではないでしょうか?

もし蓄電池が開発が進んで、再生可能エネルギーの比重が高まったら?・・・遅ればせながら、キャッチアップすればいいのではないでしょうか?日本は既に太陽光発電で出遅れました。無理な競争にコストをかけることもありません。例えば砂漠だらけで雨も降らない(土砂災害もなく、日照時間が長い)サウジの太陽光発電に日本が関与して技術を保つ(豊田通商、サウジアラビアにメガソーラー 25年稼働へ 日経 2023年6月28日)のは悪くないと思いますが。

全方位のトヨタはソーラーカー(トヨタ新EV「bZ4X」 年間1800km分を賄うソーラー発電の本気度がすごい!!(2021年11月15日 ベストカーWEB)/トヨタの電気自動車『bZ4X』一般販売開始は本当か? 販路拡大に向けて方針変更(2023年9月5日 ENECHANGE Ltd.))もやっているんですね。さすがです。意味のあるコングロマリット。

ベトナムがC国を過剰に怖れなくなる条件

2023-09-29 13:12:54 | 外交安全保障
技能実習生は、帰国後に技能を活かせている?ベトナム人実習生たちの帰国後における就職状況について(JINZAI BASE.2023-02-04)

ベトナムは(タイ・フィリピンに比べても)帰国しても突出して仕事がないようです。だから条件が悪くても日本によく来るのでしょうが(犯罪も少なくないと)、(TPPに入った共産主義国である)ベトナムは資本主義を取り入れて仕事をつくる気はあるんですかね?

先軍と称して、国際的な非難や制裁があることを除けば、ローコストハイリターンのようにも見える先核政治を進める某国は例外として、(ロシアのウクライナ侵攻で明らかになったように)防衛を支えるのは経済です。経済はベトナムがC国を過剰に怖れなくなる条件でしょう。技能実習がキャリアアップになって、本国経済を育てるなら、意義もありますがね。

インドのIT人材から考える外国人労働者、日本のIT業界

2023-09-29 11:37:20 | 厚生労働
インド人は日本で働いてくれるのか 人材獲得競争は劣勢(日経 2023年9月28日)

日本のIT企業は人手不足ですし、ITスキルがあって、英語が出来るインド系人材の活躍の場は少なくないかもしれませんね。ただ日本は今円安ですし、国際比較でIT業界の平均給与は安く就職先として魅力がない可能性も考えられます。IT関連で在留資格の壁があるとしたら、もったいない話だとは思います。

外国人労働者と言えば、技能実習生のイメージもありますが、IT業界は技能実習の対象ではないようで、IT人材を求めるのであれば、技能実習生は特に必要でないと思われます。現地の日系企業で特に日本語を使うことも無く、帰国後のキャリアを活かした就職口も少ないなら(技能実習がキャリアアップにならないなら)(借金してまで日本に来ることあるでしょうか)、日本人の賃下げに繋がる技能実習の制度はそろそろ考え直した方がいいのかもしれません。

キツイ仕事で日本人の応募が少なく外国人労働者が必要な(価格転嫁したくない=増税に繋がる公の支出に依存している)業界があるなら(建築は民需主体で賃上げのための価格転嫁は(健全な)物価の上昇に帰結します)、(期間限定の)技能実習という形ではなく、就労ビザで普通に定着してもらうのがお互いのためではないでしょうか?

日本のIT業界(や理系人材)は国際的に(相対的な)待遇が良くない(IT業界におけるサービス残業の撲滅を)/平均給与が低いことで知られます。これは経営の問題でもありますが、民間の報酬は官が先導する(人材を高報酬で官が奪にいく)ことでも上がります。デジタル庁や理系技官の(特に初任給)を(増税に繋がるのを承知の上で)引き上げることでしょう。IT等の先端産業は日本が先進国で居続けるのに必要な産業だからです。経営の技術を理解した技術経営を進めるには、フランスのグランゼコールよろしく理系の教育を強化することで、技術を理解した経営者候補を育てること等、考えられます。

「解雇」で問題を解決しようとする日本企業

2023-09-29 08:00:35 | 厚生労働
JR九州、退職者を再雇用 人手不足に対応(日経 2023年9月28日)

>家庭の事情などで一度退職した社員の再雇用を始めると発表した。
>同社では新型コロナウイルス禍で収益が落ち込んだことなどを受け退職者が増加。

事情があって退職したのに、会社都合で戻ってくるんですか?再雇用自体はいいんですが、会社が事実上辞めさせたのを戻すと言っているようにも見え、本来はコロナ雇用助成金(~令和5年3月31日)を使っておけば良かったんだろうと思います(業績の回復が見込めたなら)。まぁ退職勧奨と退職強要(違法行為)は違うとは言え、退職勧奨(会社都合退職)を自己都合退職にしたとしたら、感心できません(強要に当たらなければ取り消しは出来ません)。

日本では会社都合退職に出来ないケースで従業員を騙す等して自己都合退職に追い込むケースが多過ぎじゃないですかね(会社に逆らって居残っても居心地が悪くなるので、人の良い従業員はわりと素直に自己都合退職に応じるケースが多いと思われる)。元に戻るのも居心地が悪いでしょうけど、せめて自己都合退職を後からでも会社都合退職に変更させた上、本来会社都合にできないケースでは会社にペナルティを与えるべきのような気はします。それだったら、解雇の金銭解決制度を導入した方が早いとも言えますが。会社にとって不利なようにも見えますが、人手不足の時代、駄目だったらクビにすればいいではなく、必要な教育を社員にした方が会社にとってもいいんだろうとは思いますし、あまりにも理不尽な「解雇」が常態化しているとしたら、元々望ましくありません。

また特に中高年正社員管理職の「解雇」も厳しくしていった方がいいと思います。対案は生涯現場の慣習で(高い初任給で)緩やかな給与上昇です(日本の問題は労働分配率ではなく、分配の仕方だと思われます)(何でも欧米ではありませんが、欧米で行われている制度はやって出来ないことは無いと思われます)。日本は何時までも途上国型の人口ピラミッドの制度を維持しようとし過ぎでしょう。社員が皆管理職になる前提(無理なポスト分配による論功行賞)はもう終わりにしないといけません(例えば経営学を学んだ人が経営者になるのを常道にしていけば良く、有望な人は働きながら経営学を学ぶ方向で)。その前提に無理があるから、不当な「解雇」が乱発されるんですね。あるいは(欧米のように)経験の無い若者の就職口が少なくなるかもしれませんが(就職前にスキルをつけるため、大学に残る等して勉強しようとする人も増えるかもしれません)、多分少子化傾向の強い日本では、それほど心配する必要はない気もします。いずれにせよ、現状維持したら、中高年になって「解雇」の危機が迫るだけですから(自己都合退職に追い込むスキルのある人ばかりが出世することにもなりかねません)。

変温動物である魚の漁獲量を最大化していく方法

2023-09-25 17:56:20 | 農林水産
日本の漁業の未来ですが、漁業とは海の狩猟でどうしても獲り過ぎ問題がつきまといます。どうしても獲り過ぎると収穫が減っていくんですね。ですから、漁業権があり、獲り過ぎを抑制するようになっているはずですが、魚群探知機はそれでも獲り過ぎを促進している情勢です。担い手が増え、水揚げが増えれば増えるほどいいと単純に言えない自然の収穫に依存する商売とも言えます。ですから、ほどほどの収穫で、漁獲高を寧ろ上げていくようにするのが産業として持続する条件です。

ですから、単純に復興支援で福島の水産物が売れたと喜ぶことは出来ません。獲れば獲る程いいとか、何なら福島産に偽装してまで売るのようなことは(各地域のブランド育成上)有り得ない訳で、まぁ買ってくれて有難う、獲れたものが売れたら品切れです、ぐらいの感覚でいいはずです。中国向けのホタテなんかは在庫が積みあがっているらしく、こういうのは何とか国内で消化したいですけどね。廃棄するんじゃもったいないですから。中国向けホタテは殻付きと言い、まぁ直ぐには対応できないのかもしれませんが、その辺は中国リスクということで我慢してもらうしかないと思います。でもホタテも生鮮食品ですから、鮮度の問題はありそうです。(スーパーに殻付きで並べるのは妥当でないか知りませんが)料理人・魚屋の腕は何のためにあるのかとは思いますが。

魚は特定の魚種で獲れる年と獲れない年があるようです。この原因ですが、私は(魚は海水温の変化に非常に敏感とされ)魚が変温動物であることと深く関係していないかと思っています。同じく変温動物の昆虫とかカエルとか大発生したりしますよね。変温動物は気候変動の影響を受け易いと思われ、魚なんかは水温の上昇と共に北に移動したりすると言われます。研究者も魚の漁獲量の変動に頭を痛めていると言いますが、省庁横断的に環境省の知恵を借りられれば、問題の真相に迫れる可能性もあります。いずれにせよ、漁業のあり方としては、獲れた魚を食べるのが良いと思われ、「時価」といった獲り過ぎを防ぐ魚食文化の発展が必要になってくるだろうと思います。食べてしまえば品切れとかでいいんですね。回転寿司とかの話ですが。回転寿司は明朗会計の安心感で発展したとも言われるようですが、多く獲れた魚を安く、あまり獲れなかった魚は高くするのは、本来理に適っています。時価と言っても事前に値段が分かっていればいいはずではないでしょうか。

ただ何時もの魚が何時もの値段である安心感はあるかもしれません。従って農業類似の養殖業も重要だとは思います(ただし水温が上昇したら、養殖する魚種を変えなければならない可能性はあるかもしれません)。遠洋漁業や魚の輸入もいいんですが、日本の気候で出来る養殖業を海外に委託するのは、食料自給率/食糧安全保障の観点から適正化という視点は有り得るでしょう。また稚魚の放流の効果を環境省の視点から見るのも重要かもしれません。

日本の目指すべき観光政策

2023-09-25 15:51:52 | 日本地理観光
まず、インバウンドですが、良くも悪くも放っておいても増えます。日本は(魅力は十分あると思いますが)観光客が国際的に少ないですから。増えると、勿論収入になりますが、オーバーツーリズムといったデメリットも否定できません。ですから価格を上げて、数を抑制することは考えていいでしょう(少なくとも数を求めて、優遇したり、お金をかけたりすることありません)。日本円が買われると円高になるという副次的効果もありますが、旅行業界は低賃金の業界なので、インバウンドの増加につられて、ここに国運をかけるということは有り得ないでしょう。

では観光は重要ではないかと言えば、特に地方では違うんだろうと思います。勿論、インバウンドにおいては魅力的な観光地とは、大都市です。しかし、地方は人口減少に悩み、仕事がないんですね。特に優遇しなくても機能するのであれば、インバウンドがあってもいいとは言え、どの道、現在の日本の観光業界は内需産業です。インバウンドが注目されたおかげで観光と言えば、外需のようなイメージがあるかもしれませんが、内需を取りに行く意味でも観光は重要な訳です。マイナーな地方の観光地は日本人が支えてこそでしょう。その上でプラスアルファとしてインバウンドというのが標準的な観光のあり方と思います。まぁ世界遺産があるような世界的観光地であれば、普通にインバウンドを取りに行けばいいと私は思いますが、それでも国際共通語の英語と日本語の二本立てぐらいがちょうどいいような気もします。多言語対応は今時アプリで十分でしょう。

そもそも観光とは何でしょう?食・宿泊・土産が三本柱のような気もします。最近では体験型観光も流行りかもしれませんが、実際に来てもらって、買ってもらうことが重要な訳です。食は一次産業と相性がいいですが(北海道と言えば、観光地であり、食料生産地です)、土産も一次産業や工芸品と関係があります。つまり江戸切子のような例もありますが、地方で地場産業を育てることに繋がる訳です。明治時代の母体となった江戸時代は幕藩体制で各藩は特産品開発にやっきになり、北前船等、廻船網が発達していました。また(旅行の先駆けとも言える)「西国巡礼」やお伊勢参りなんかも国内経済を活発にしたと思います。そうした歴史を念頭に行われたであろう(補助金を注ぎ込んだ)一村一品運動は功罪あると思いますし、ふるさと納税もそうですが、日本の地方に歴史と文化はある訳ですから、それを活かさない手はないと思う訳です。勿論、売れないものをお金をかけてつくっても仕方ありませんよ?首長の手腕も問われるでしょうが、やる気があるのであれば、特に禁止することも無いと思う訳です。地方地方に特色もあるでしょう。半導体産業もいいんですが、日本が半導体工場だらけになる訳でもありません。これまで培ってきたものづくりの精神でやれるだけやればいいんじゃないでしょうか。むいてそうですしね。とにかく、地方に仕事がありません。先進国で(途上国の中心産業であるところの)一次産業は金食い虫ではあると思いますが、農地と働き手を確保しておくことは、食糧安全保障の観点から無駄ではないと信じます。宿泊ですが、観光地にお金が落ちる有力な手段です(日帰り旅行ではお金はそれほど落ちない訳ですが、インバウンドが国内旅行に比べて優位にあるのはその辺です)。特に京都・奈良のような多数の見るべきものがある観光地であれば、宿泊で拠点を持つことは重要でしょう。その点、京都・奈良はほとんど全てにおいて落第していますが(奈良にうまいものなし、宿泊拠点に乏しい京都・奈良)、まぁ(全国から一次産品や工芸品が集まる)首都だったので仕方がないのでしょう。京都・奈良は遷都に期待するのでは勿論なく、観光地らしい儲かる観光政策を追求すれば、ポテンシャルは大いにあるでしょうし、せっかくある地元の歴史文化を活かすことになるんだろうと思います。

満員電車と痴漢

2023-09-24 06:08:51 | 国土交通・防災
盗撮痴漢私人逮捕系YouTuberですけど、
迷惑防止条例:第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

混雑した電車や雑踏で身体が触れてしまうことは正当な理由があるということでいいんじゃないですかね。それでも嫌なら、女性専用車両に乗るとか、混雑を避けるしかなさそうです。件の私人逮捕系YouTuberは「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為」で私人逮捕していたか疑問です。

つまり私人逮捕系YouTuberは該当条文を見る限り、明らかに犯罪でない行為を逮捕していたようにも見えます。まぁ痴漢は万引きと同様、繰り返しする常習者も少なくないと思いますが、万引きと違ってしばしば偶然(故意でない)が有り得るので、慎重な逮捕が必要なように思います。

痴漢冤罪詐欺犯や痴漢虚偽告訴犯も少なくないようです(大抵は混雑した中の勘違いに過ぎないようですが、冤罪が発生していることには変わりありません)。私は痴漢冤罪に巻き込まれないように手を上げる等、自衛していましたが、混雑時に人の体に触れるだけでは犯罪の構成要件に該当しません。揉みしだく等の意図的な行為は明らかに犯罪ですが、偶然に見せかけた迷惑行為か否かも難しいところです。

触り方で故意かどうか判別できるという訳ですが、押し付け等偶然で有り得る触り方に関して言えば、気になるのであれば、事を荒立てず注意するのが良いように思います。明らかに故意のケースでは(第三者を含む)証言が一致するかが重要でしょう。一致しなければ、基本的にどちらかが嘘吐きです。

難しい所ですが、スシ詰めの状態なら、偶然の可能性も高いですが、凡そ「犯人」は隣の人物です。本人が勇気を出せば、拒絶あるいは現行犯逮捕できる可能性が高いはずです。逆に詐欺や虚偽告訴にあわないためには、手を上げておく、女性に近づかない等の自衛手段も必要になってくると思いますが、万一の場合は、相手を訴えるのも一つの手かもしれません。何せ、自分は相手が犯人だ(自分はやっていない)と分かっているのですから。相手が誤認している可能性もありますが、スシ詰めのケースでは被害者の対応次第で誤認の可能性は低いのではないのではないでしょうか(被害者の犯罪立証責任)。

毅然として対応できなさそうな人が狙われる可能性もありますが、冤罪を生む訳にもいきませんし、鉄道警察等第三者が(常習的な)犯人に目星をつけて逮捕する等の手法も考えられるでしょう。ところでスシ詰めでないケースで痴漢がどの程度発生するかですが、これは意外と発生しないようです。

スシ詰めでは手を伸ばす余裕もありませんが、手を伸ばして一瞬触る等の行為では、現行犯逮捕されにくいと思われるものの、目撃者がいる可能性が高い状況下で犯罪は行われにくいということなのでしょう(電車内に視線が集まり易い(広告費が高い)地下鉄で痴漢の発生率は低いとも)。

後、逃げ易い乗車口付近とか、死角になる場所(連結部付近)での痴漢も多いようです。やはり犯罪者も計算しているんですね。防犯カメラの設置は有効のようで、検挙数から鉄道警察の働きも小さくないようです。万引きもそうですが、犯罪の起きにくい環境が大切ということでしょう。

なお痴漢は日本で多いとされますが、満員電車という環境が誘発する犯罪のようで、性犯罪の発生率自体はは日本は低いです。満員電車はあるのですから、痴漢が起こらないようにしていく必要はありますが、冤罪も起こってはなりません。客観証拠や偶然を犯罪としないこと等も重要でしょう。

被害者本人の現行犯逮捕も重要とは思いますが、そもそも犯人は大人しそうな女性を狙うようで、第三者の逮捕も満員電車では難しいかもしれません。鉄道警察もいいと思いますが、第三者もいるのですから、被害者は勇気をもって拒絶した方が良さそうではあって、痴漢は意外と抵抗発覚を恐れています。

需給ギャップを解消する政策にまつわる思い込み

2023-09-23 02:27:54 | 経済財政
今の日本は需給ギャップがあって、需要が足りていないという指摘があります。しかし財政政策も金融緩和も日本は相当程度やっており、まだ需要が足りないと単純に特攻していいのか疑問なしではありません。ですので、需給ギャップと経済についてよく考察してみることとします。

まず需要が供給を上回ると、インフレが進みます。だから供給に需要が追い付くまで財政出動、減税しろという声も出てくる訳ですが、現状ではとりあえずインフレ目標は達成しており、デフレマインドそのものは、適正なインフレ率が幾らになるかはさておき、需給ギャップを解消しなくても、政府の(緩やかな)インフレを維持する意志と能力次第でいずれ払拭されると考えられます(低金利円安と併せて国内に資金が還流していく流れです)。

また需給ギャップを埋めると言いますが、需要を増やせばいいと単純に考えられません。国債発行高は世界一で、減税しても貯蓄が国債に回る流れが出来ているからです。国債の規模が大きくなると、金利を上げにくくなり、円安に歯止めをかけられず、物価高を止められなくなる恐れもあります。需要が小さいとガンガン旗を振る局面でしょうか?

落ち着いて考えてみましょう。日本を成長させるには需要を増やす政策も必要ですが、需給ギャップを解消するには、無用の供給を絞る政策も必要になってくるはずです。つまり企業の過当競争が物価を下げている訳ですね。GDPは最終生産物への支出の合計ですので、供給を絞って価格を上げることは基本的にGDPに影響しないとも言えるはずです。具体的に考えると、例えば小売り・飲食が物価が上げられないから、お金を撒けば物価が上がると言っていいでしょうか?しかしお金があっても、安い店の方が競争力があるかもしれませんよね(将来を悲観してお金を貯めるかもしれません)。これは素直に考えると過当競争のはずです。つまり需要が足りないのではなく、供給が過剰なんです。競合する店舗がなければ、より安い店に人が流れることもありません。消費者にとっては、無論安い店が数多い過当競争の状態の方が都合がいいと思うかもしれませんが、それは近視眼的な見方で、利益率の低い企業はコストカットせざるを得ませんから、賃上げも設備投資も無く(収入に響き)、品質も悪くなると考えられる訳です。実際、日本の企業は国際的に利益率が低いと言われ、日本の労働者は低賃金を強いられてきており、貯蓄は積みあがって、国内に資金も回っておらず、経済がバブル以降長期低迷してきました。確かに物価が上がると大変な面はあるでしょう。しかし、賃金の上昇が物価の上昇を上回れば、生活は楽になります。日本としてはデフレや低インフレで積みあがった貯蓄を国内に還流させれば、眠っていた資金が活用される分、賃金の上昇が物価の上昇を上回るはずだと決め打ちするしかないはずです。実際、日本以外の先進国の実質賃金は上昇してきたんですね。

ところで「NAIRUとはインフレ率を安定的に保つ失業率の閾値であり、失業率がNAIRUを下回るとインフレ率は上昇していくとされ」ますが、日本は長らく低失業率にも関わらず、インフレ率は上昇しませんでした。NAIRUの存在は今の日本において幻想のように思われます。従って、失業率を下げておけば、その内経済が上がると単純に信じることは出来ません。もう「実験」は十分です。

少子化で日本の市場は縮小していくと予想されており、これは一面で真実ですが、この市場縮小予測が賃上げと設備投資、つまり需要の過少を促してきました。ただこの市場縮小予測は直ぐには動かせません。従って、生産性を上げて経済を成長させると共に、適切に供給も絞っていかねばなりません。少子化=お先真っ暗では必ずしもありませんが、日本がこれまでの政策を変更しなければ、何時か状況が好転すると思うことも出来ないはずです。

結局、需要の拡大を促し、適切に供給を絞る作業を同時に実現できるのが企業でしょう。日本の積みあがった資金を成長する企業に流して、成長分野の供給/需要の拡大と衰退分野の供給の縮小を促すことが今後の日本経済の基本線になるのではないかと思います。起こるのは(これまで民需で上がっていなかった)株価の上昇のはずです。

成長戦略で需要を拡大する政策は意外とこれまでも行われてきてはいます。しかし、供給を適切に絞る政策はデフレ基調に関わらず、日本ではこれまであまり行われてきませんでした。やってみる価値はあると思うのですが、生産性の上がらない企業を淘汰して供給を絞るとなると、労働者が失業し、GDPが下がるのではないかと思う人も少なくないかもしれません。しかし、人手不足局面では基本的には(いい年したホワイトカラーの高給取りをクビにすればブルーカラーが増えるのような夢を見なければ=上手くやれば)失業者は増えない(新たな雇用先でGDPを増やす)ものと思われ、価格の上昇でGDPは下がらないものと思います。供給の絞り方はいろいろと思いますが、この記事はこの辺で。