ワシントン支局長・佐々木類 トモダチ作戦~外伝
>実は日本国内で案外知られていないことがある。オバマ政権の菅政権に対する評価が意外なほど高いのである。
>5月26日にフランスで行われた日米首脳会談。オバマ大統領はいつ辞任に追い込まれてもおかしくなかった菅首相に9月前半の公式訪米を要請した。公式招請は衆院での不信任案採決に先立ちオバマ大統領がいち早く支持表明したのに等しい。
裏事情をよく知る日米関係筋の話では、オバマ大統領が招待したのは「日本の首相」ではなく、菅首相その人だった。※傍線部筆者
オバマ政権が菅政権を評価していたのは知っていた。後の記事にもあるが、政策が鳩山政権よりアメリカよりは明らかだったので。良く分ってなかったのは、
アメリカの強い意志。アメリカもこういうところを表に出さないよう気をつけているようだが、同盟国に対して幾らなんでも介入しすぎのように思える。地震対応でも官邸にスタッフを駐在させたかとか(週刊誌やタブロイドぐらいにしかこういうのは載らない)。
>オバマ氏は会談で菅氏を「重大な危機にあって傑出した指導力を発揮し深く尊敬している」と持ち上げた。
外交的辞令を真に受けることはないと思うが、国内ではこういうアメリカ政府の意向がきちんと報道されたとは言えない。例えば産経「
オバマ氏、首相の9月訪米を招請 首相「TPP早期に判断」2011.5.27 08:27」。世論への配慮なのだろうが、事実を知らなければ克服のしようもないと思う。
>東アジア共同体構想を「米国を含む構想としたい」と明言。鳩山氏が「米国に依存しがち」だとして、アジアから米国を排除しようとしたのとは正反対の対応がオバマ政権から評価され、今年前半の訪米招請につながったのである。
>さらに、普天間飛行場の辺野古沖移設を明記した昨年5月末の日米合意の履行の確認、自由貿易圏づくりを目指す環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の推進、子の連れ去り問題に関するハーグ条約への加入方針、在日米軍基地費用負担に関する「ホストネーション・サポート」の維持…。気がつけば、日米間の懸案が一挙に前に進んでいた。21日の日米外務・防衛閣僚による安保対話。良くも悪くも、菅銘柄がまたしてもワシントンで高値をつける可能性がある。
東アジア共同体構想のアメリカ排除は元々自分は反対だったし、ここにあることは(最後のホストネーションサポートの維持は知らない)大体自分も賛成してきた。ただ、イランとの外交関係に対するアメリカの過剰介入もあり、菅政権の親米に危険性も感じなくもない。TPP推進だって農業はともかくサービス・金融などに関して公に広く議論がされないまま、推進という方針だけが決まっているのは疑問だろう。
ところで、菅政権の国内統治はどうだろうか?自分は参議院の権力は強すぎると考えており、参議院の過剰になりがちな抵抗は評価していない。これに関して菅首相を非難するのは酷(大なり小なり誰がやってもねじれに苦しむのは明らかだ。だから憲法を改正しないといけないという結論に辿りつくしかないと思う)と思っている。ただでもそれだけだ。
退陣を匂わせて消火器詐欺のようなマネで延命することには実のところ強い不快感を感じている。政治や外交では騙しあいは常だろうが、政治は(犯罪が少ない日本の)
国柄とは乖離できないものだと思う。辞めると匂わせて騙したもの勝ちで堂々菅首相が居座れば、国民が不快に思うのは避けられず、ましてや、その背後にアメリカがいるとなれば、アメリカも同じく不快に思われるだろう(震災対応の話が一段落したら、次の訪米(9月)の話が芋づる式に出てきそうだ)。