自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

他者のために生きる~合理的で自己中心的な「利他主義」 ① ユヴァル・ノア・ハラリの物語から考える。

2020-04-25 17:33:02 | 自然と人為
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 内閣支持39%、不支持38%(NHK世論調査) 2020.4.13  藤井 聡 の facebook
 内閣支持 43.2%、不支持52.7%(JNN世論調査) 2020.4.6  本澤二郎 のブログ
 最近の内閣支持率 2020年4月 資本主義からMMTへ 『日本の未来』を見据える人々

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 是非、再放送をご覧ください!
 本日、5月3日 15時30分~17時45分 未解決事件 JFK暗殺
平和を求めたケネディー大統領が暗殺された。
これは個人の犯罪ではない。
トランプ大統領は事件を捜査した機密文書の公開を撤廃。
国の名のもとに起こされる戦争! その裏側を教えてくれる。

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 ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』によると、七万年から三万年前にかけて言葉から物語(「認知革命」)が生まれ、その虚構の物語を集団で共有する集団生活を始めたことにより、後に宗教を含めて組織や国等を大切にする文明が生まれた。
 「認知革命」により生物界を支配した人類は、未来においては『ホモ・デウス』で、超富裕層と不要層に分離し、一部の支配者が他を家畜として扱う神となるかもしれない恐れを指摘した。

 我々は様々な物語でつくられた社会に住んでいる。その物語は「資本主義」、「社会主義」、「共産主義」と経済体制で説明されることが多いが、ユヴァル・ノア・ハラリは第3作21 Lessons』で20世紀を支配してきた3つの物語(ビジョン)として「ファシズム」、「共産主義」、「自由主義」を取り上げている。
 そして、「21世紀を生きるのための21の思考」の第1項「 幻滅」において、2016年のイギリスのEU離脱とアメリカのトランプ大統領選出によって、21世紀の初頭には3つの物語で唯一残された「自由主義」の物語さえ見失い、人間の文明が終焉を迎える予兆ではないかと多くの自由主義者は恐れているとしている。

 しかも、グローバル化とインターネットは各国間の溝を埋めるものの、階級間の亀裂を拡げ、情報テクノロジーとバイオテクノロジーの融合という科学技術の発展は、現代の価値観の核となる自由と平等さえも脅かしている。自然を守ることを忘れて、科学技術の発展に目を奪われていたら、人類は『ホモ・デウス』の神と家畜に分離する未来に繋がるかもしれない。『21 Lessons』は「21世紀を生きるのための21の思考」を具体的に明示したものである。

参考:    
ホモサピエンス全史』:人類の過去(「人類の台頭はいかにして起こったか?」
ホモ・デウス』,:人類の未来(人類が神と家畜に分断)
21 Lessons』:21世紀の人類(データが人類を支配)
農村JACK『21Lessonsを読み解く/ユヴァル・ノア・ハラリ』2019.11.30~2020.3.12
 #0 はじめに#1 幻滅#2 雇用#3 自由#4 平等#5 コミュニティ#6 文明
 #7 ナショナリズム#8 宗教#9 移民#10 テロ#11 戦争#12 謙虚さ#13 神
 #14 世俗主義#15 無知#16 正義#17 ポストトゥルース#18 SF#19 教育
 #20 意味#21 瞑想#22 まとめ
ユヴァル・ノア・ハラリが予見する「新型コロナウイルス後の世界」
パンデミック(ユヴァル・ノア・ハラリの見解) 動画


 20世紀は1938年の(ミュンヘン会談/ミュンヘン協定に象徴される)「ファシズム」,を含めて「共産主義」と「自由主義」の3つのグローバルな物語が世界を支配していた。これが1968年に世界で発生した68年闘争(反ファシズム・反核・反体制運動)により、人間が政治的に他者を差別する「ファシズム」が完全に否定され、残った「共産主義」も1991年のソ連崩壊に続いた1998年のロシアデフォルトにより影響力を失った。
 参考:ソビエト連邦とロシア連邦の違い

 人類は物語に従い生きてきたが、古代から現代も続いている物語に宗教がある。旧約聖書のコヘレトの言葉仏教の空に共通した『空の空、空の空、いっさいは空である』は、人間の知恵の空しさを示し、人間を特別な存在とはみなしていない。肉体も精神も実体はなく、すべては人が考えた「物語」に過ぎない。あらゆるものは関係の中で成り立つので、物質が存在するというよりも、関係が存在する。人間もまた動物であり、時が来れば死ぬ。そこには人間と動物の差異はない。神は天にあり、人は地にある。その人間の限界を知れと言うのが、キリスト教と仏教の原点にある。

 人間の存在意義は、競争により他者に勝ち、他者を支配することにはない。他者がいてこそ私がいる。他者も私も含めて人類を幸福にするには、「いかに生きるかを問い、努力すれば報われる」というこれまで当然としてきた利己的な個人の視点からの物語ではなく、「他者がいるから生きられる」という他者を含む利他的な物語が、これからは益々必要な時代となるのではなかろうか。

追記
 『ユヴァル・ノア・ハラリとの60分』が放送された。先日ETV特集で放送されたパンデミック(ユヴァル・ノア・ハラリからの警告)動画の反響に答え、1時間に及んだハラリ氏へのインタビューのほぼ全体が昨日(2020.4.25)放送された。


初稿 2020.4.25 更新 2020.5.7

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