じいの徒然日記

内野聖陽さんにfall in loveしたじいのおバカな毎日を綴った日記

内野さんメモ

9/24 読売新聞夕刊(東京本社版)インタビュー掲載
9/26 週刊文春CINEMA!2024秋号(文春ムック)
9/27 男の隠れ家11月号(三栄)
9/28 LDK11月号(晋遊舎)
9/30 13:05~ NHKラジオ第一「まんまる」出演
10/3 八犬伝ジャパンプレミア
   映画『八犬伝』オフィシャルBOOK(KADOKAWA)
10/7 週刊ポスト10/18・25号(小学館)
10/11 8:15~ NHK総合「あさイチ プレミアムトーク」出演
10/13 7:30~10:25 日本テレビ「シューイチ」出演

10/14~26 芭蕉通夜舟 東京公演
 ≪地方公演≫
  10/29 群馬 11/2 宮城 11/12 岩手 11/16 兵庫 11/17 丹波篠山 11/23~24 名古屋 11/30 大阪

10/16 モノマガジン11/2号(ワールド・フォト・プレス)
    DIME12月号(小学館)
10/19 Cut11月号(ロッキングオン)
10/21 FLIX12月号(ビジネス社)
10/24 STEPPIN' OUT! WINTER 2024(幻冬舎)
10/25  映画「八犬伝」公開
10/26 八犬伝 公開記念舞台挨拶(全国中継あり)
11/22 映画「アングリースクワッド」公開

山羊…それって…もしかして…シルビア?

2011-07-21 23:10:48 | 観劇記
7月18日マチネの観劇記です。

~あらすじ~

美しい妻と一人息子に恵まれた建築家マーティン・グレイは人生の最高の一週間を迎えた。50歳の誕生日、建築界の権威ある賞を受賞。巨額の資金を投じて建設される未来都市プロジェクトの設計者への選出。そんなマーティンのもとに旧友のTVジャーナリスト ロスがインタビューにやってくる。幼馴染みのロスに、マーティンは衝撃の告白をする。
――僕は彼女に恋してる。あぁ、神様!あぁ、シルビア!
――シルビアって誰?

人も羨む幸せな家庭に投げ入れられた「シルビア」という爆弾が、人の信じる「正しさ」を吹き飛ばす。

(文学座HPより)

開幕して間もないですが思いっきりネタバレしますので観劇予定の方はご注意を

コの字型に三方向から客席に囲まれている舞台。その舞台は20cmくらい の柵で囲われていて周りをぐるりといくつもの花瓶やお皿が置かれているという……まるでプロレスのリングみたい でも、この花瓶やお皿、実は劇中でマーティンの妻・スティービーがいくつも投げ飛ばして舞台上は散々な状態になるので(後片付けが大変そう~とか公演ごとに準備するのにいくつ必要なんだろうとか変な計算が働く自分って)ある意味この柵は安全上(笑)重要な役割を果たしているのかも BGMには埴生の宿♪アノ郷愁染みたメロディがいい味を出してましたね~~描かれる不条理劇を嘲り笑いつつも温かく包み込むような音楽。特にラスト、、、畳み込むように終わる音楽と共に幕切れ。好きだわ~~こういう終わり方 でも、妙にリアルに背筋が凍るような恐怖感を演出しているようにも感じました。例えば暗闇で歌われるわらべ歌って何げに怖いよね~みたいな感覚というか……しかもかな~り衝撃的な結末だったし。この件は後ほど

申し分のない充実した人生 を謳歌しているマーティン、その日はジャーナリストの友人ロスがインタビュー収録にやって来ることになっていて、自宅の居間では妻のスティービーが花瓶に花を生けるところから物語は始まる。そこに身支度で忙しいマーティンが入ってきて何気ない日常のアレコレ……息子のビリーのことや自分の老いの悩みやらいろいろ話し始めるのですが、冒頭からセリフの応酬……っていうか言葉の問題について議論を交わしつつ日常話が展開していくんですよね~~スティービーが生けた花の英語名(忘れちゃった~)の単数⇔複数が不規則変化することを取り上げて、「世間では複数形を~sと言うが本当は違う。でもその間違いが問題にされることなく通用している」みたいな感じ。他にも彼と彼女の違いやら代名詞の格やら、まぁ見方によったら揚げ足取りみたいな会話だし逐一つっかかって話が進まないこともあるのでイラつく……ことはなかったのよね~~不思議なことに。多分コレ、役者陣の力が大きいと思いました。前にも別の舞台で言葉じりをネタにセリフの応酬がある演目を観たことがあったのですがしつこい不快感が前面に出るだけでマジにイラついたことがあったんですよね~~でも、今回はさすがセリフの言葉一つ一つに魂をこめた発し方ができる出演者の皆様~~逆に惹きつけられてイイ意味で頭がシュワシュワしました 原書の戯曲で読んだら本来の面白さが味わえるだろうな~とは思ったけど、今回の翻訳舞台でも十分に作品に潜む“味わい”“雰囲気”は伝わってきて存分に楽しめました

スティービーとの会話が進むにつれてマーティンの浮気が発覚。彼女の名前はシルビア……しかも人間の女性ではなくヤギ 当然スティービーはからかっていると一蹴。その後インタ収録に来たロスにも同じことを告白するけど、ロスも最初は信じなかったのが徐々に信じるようになり、申し分ない今の家族との暮らしを大切にするように説き、後日マーティンの告白をスティービーに手紙で伝える。驚愕の事実を知ったスティービーはマーティンを問い詰め、夫婦で話し合うことになるのですが、、、最初のうちはスティービーは事態が飲み込めずにマーティンの返事を聞いては喚いたり物を投げたり家具をひっくり返したりだし、マーティンの方も妻と真剣に向き合っていなくて話をかみ合せていない上に時折逆上して理屈じみた主張を叫ぶわで、正直ここら辺の喚き合いは聞いててお腹いっぱいになるというか正直言って観てて煩わしいな~と感じる部分はなきにしもあらず。夫婦の話し合いや後に息子のビリーを交えての家族の話し合い等の他のシーンでは「そのタイミングで笑いの要素を入れますかー!」「日常の夫婦の会話みたく子供にはあっちにいって遊んでいなさいと言っといて話すような話題じゃないだろー!!」と突っ込みたくなるような面白い流れでクスクスッと笑えるやり取りからいきなり物語の核心を突くような普通の真面目な会話が坦々と繰り広げられていて、そのちぐはぐな違和感が逆に心地よくて絶妙に舞台に入り込めたのに。最初の方の喚き合いなやり取りはうるさいだけでちょいとウザく感じてしまったのは残念だったなぁ~

ヤギとの恋愛は嘘でも冗談でもなくてマジ話 今村俊一さん演じるマーティンがシルビアとの出会いと恋愛模様を語るシーン、照明と音楽がガラリと変わるところがこれまた良い雰囲気を醸し出してくれんだけど、語られる言葉の一つ一つに説得力があって、本当に目の前にヤギがいる感覚になってその場面にじい自身も入り込んでいるようでしたね~~素晴らしかったです スティービー@富沢阿古さんも女の強さと可愛さ、そして恐ろしさが見事に表現されていて……分かりやすい感情が目立って表に出る場面はないんですけどね~~っていうか未熟なヒヨコのじいには分からない女の情念みたいなもの でも分からないなりにそこはかとなく漂ってくる空気感というのかな~~常に目に見えないものがヒシヒシと伝わってくる感じでした。ヤギとの恋愛話が進んで、どうしてヤギと「やらなければ」ならなかったのか、「やれる」ものを持っている生物なら何でもいいのか、そこに恋愛感情はあるのか……そういう話になってきてマーティンは「シルビアを愛していてシルビアもまた自分を愛している」と言い、最後は、、、いや~~参りましたわ スティービーがシルビアを殺して、その死骸を引きずって血だらけになって家に戻ってくるという 動物との恋愛を理解できないと言いつつ実は嫉妬の対象としてシルビアを見ていたのかも?と思ったのですが、それ以上にじい自身が妙な凄惨さを感じたことに恐怖を覚えたんですよね~~目の前で血を流して死んでいるのは紛れもないヤギなんですよ、ヤギ!!でもマーティンが語ったシルビアの魅力や恋心が深く影響したんだと思うんですよね~~血を流して死んでいるヤギが純真な少女に見えて目を覆いたくなるような感情を抱いた自分に思わずゾゾゾッと 獣姦は理解不能なんですけどね~~このザラザラした恐怖感が不気味でした(恐)

この話の中でノーマルな存在なのがロスだと思うんですよね。ま、日本でいう道徳的とはちょっと感覚が違うというか、宗教的な道徳観が色濃く出ている意味のノーマルさなんですよね~~社会通念上とか慣習的にとか、どちらかというと曖昧な禁忌ではなくて、キリスト教の教えに基づいた禁忌の感覚という感じかな……創世記やレビ記に記されているように獣姦や同性愛、近親相姦(ビリーは同性愛者で、劇中では父親のマーティンにも恋愛感情を向けるシーンがある)は間違いであるとして“正しい道”に更正することを薦める……まぁ登場人物の中で一番まともな存在なのかもね~~と、こんな風に思うことこそが、間違っていても正しいこととされる不条理な社会に縛り付けられた考えなんだろうな~と自分で自分を笑ってみたりするのですが ただ、そういう枠組みを取っ払ったところで恋愛を考えてみると、意外に自分の感覚が信じられなくなったり、自分はそうしたくないし理解はできないけど利害を伴わない人たちのそういう行為に関してはありかも?と思ったり……そういう感覚はシルビアの死骸を見た時に抱いた感覚に繋がるものがあるのかもしれないけど……何とも言えない不思議な感覚を掘り起こされたようで、上手く作品の術中に嵌ったしまったような気がします それに、、、マーティンがなぜシルビアを愛するようになったのか、特定の色付けをしていないところが良かったと思います。その理由も背景も観る者の想像の域を出ることはない、だからこそ変に感情移入することなく感性を弄ぶように観劇できたので

じい'sメモ 実はちょっとBBが頭をかすめました。全然描いているものは違うんだけど、恋愛対象になりえないものを愛すること……BBの時は自分があまりに作品に入り込んでいたから全然別次元の感覚だったんだけど、今回は客観的にサラッと受け止めている部分があることに気づいて、こんな風に突き放して考える方が普通だったのかな~と思ったり……と言いつつその気は今も全くないんだけど(苦笑)
コメント
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