つながりあそび・うた研究所二本松はじめ

二本松はじめ(ピカリン)の活動予定や活動報告、日頃、考えていることなどを書きます。研究所のお知らせも掲載します。

抱っこ通信1110号 相手がいるから

2020年05月12日 | 抱っこ通信

 昨日は暑くて、今年初めてのTシャツ姿。3歳のUtaちゃん、じっーと私の方を見ていて一言。「おじちゃんのおなか大きい・・・」。
コロナンひまでひまんです。体を、頭を、心を動かしましょう。


 今号は、保育園で見つけたジャンケンの楽しさについて、私の見方を紹介しますね。これも、音楽センター出版の「二本松はじめつながりあそび・うたシリーズ あそべやあそべ みなあそべ』(2004年出版)テキストの中の『相手がいるから』(作詞・作曲 二本松はじめ)に簡単に書いてありますので紹介します。譜面は最後です。

相手がいるから
   作詞・作曲 二本松はじめ
ジャンケンジャンケン ジャンケンポン
相手がいるから ジャンケンポン!

(遊び方…くすぐりあそび編/乳児も・親子も)
1.ジャンケンの結果は関係ないです。真似っこあそびです。
2.♬ジャンケンジャンケン ジャンケンポン!♬…ジャンケンをする真似をします。
3.♬相手がいるから ジャンケンポン!♬…二人で両手合わせ4回とジャンケン。
4.ジャンケンの後、保育者は子どもをくすぐってやったり、ツンツンしたり、ギュッと抱っこしたりします。
5.歌のテンポやジャンケンのテンポはゆっくりです。子どもに合わせましょう。

(遊び方…ジャンケン勝負編)
1.二人組であそびます。
2.♬ジャンケンジャンケン ジャンケンポン!♬…拍手4回とジャンケン。この時のジャンケンは形だけです。
3.♬相手がいるから ジャンケンポン!♬…二人で両手合わせ4回とジャンケン。
4.2回目のジャンケンの後、負けた人は、勝った人のまわりをひとまわりする。
  あいこだったら、二人で右腕同士をかけて一回転する。

✉ピカリンメール✉
 またまたジャンケンの話です。質問ですよ。ジャンケンの楽しさってなんでしょう?もちろん人によってその楽しさは違っていいんですけどね。勝つことや勝負そのものが楽しいという人もいるでしょう。勝ったあとの権利を獲得できることが楽しい(ちょっと難しい言い方になってしまったけど、勝ったら相手から肩をたたいてもらえるとか、一番最初におもちゃで遊べるとか・・・)という人もいるでしょう。

 でも、これはジャンケンの勝ち負けが理解できる人ですよ。年長さんくらいでしょうか。でも、ジャンケンって2歳くらいから真似しませんか。どうもこの子達を見ているとジャンケンの勝ち負けを楽しんでいるとは思いませんよね。むろんお兄ちゃんにお姉ちゃんにあこがれて、そのつもりを楽しんでいるかも知れません。 

 どちらにしても大切なことはジャンケンをする相手がいることが楽しいことなんです。「ジャンケンポン」のジャンケンを合わそうとすることなど、この相手がいることが大事なんです。一人でジャンケン楽しいですか。


 つながりあそび・うた『相手がいるから』は今も現役?です。特に、親子遊びの時に多く楽しんでいます。最初は親子だけで遊びます。6~7回繰り返して親子楽しんだ後は、家族対抗(二組)で楽しみます。子どもは子ども同士、親は親同士で遊んだり、ジャンケンを親子で相談したりしながら楽しんでいます。同じ家族とは3回戦くらい遊んだら、相対する家族を替えます。子どもたちも楽しそうですが、親の方が倍以上楽しんでいます。日常的にジャンケンなんてしていませんからね。
 親子で遊べていない親子を見つけられます。ま、いろいろあります。
 家族対抗でもなかなか相対する家族を見つけられない親子もいます。いろいろあります。
 それでも、「家に帰ってから『相手がいるから』を親子や兄弟で楽しんでいるようです」なんていう先生からのメールが嬉しいです。


 全国のつながりあそびの仲間たちは、サマー・カレッジ(つながりあそび・うたの実技研修会)と、もう一つ、ウインター・カレッジという名前で実践交流会も開いていました。各地で実践交流会を、という方針?やら、会場等の都合もあり2012年でお休みしています。今年度はコロナウイルス感染拡大を避けるためにサマー・カレッジは中止しましたが、ウインター・カレッジは是非とも開催したいと私は思っています。

 そのウインター・カレッジで、「『相手がいるから』から学び続けて」というレポートがありました。レジュメだけでは詳細は伝わらないかもしれませんが、参考になると思いますので紹介します。

 

『相手がいるから』から学び続けて
        親子共室ぬくぬくだっこらんど  頭金 多絵


1.この一言から・・・2歳児クラスのクラスだより
*じゃんけんのルールも理解していない1~2歳児がじゃんけん好き!?
  大きな子が楽しそうにじゃんけんあそびをしている姿へのあこがれ?
  「必ずこっちを見て相手をしてくれるからじゃないの~」(二本松)

* そうか、ダンスだけじゃなく、じゃんけんあそびだって「乳児向き・・・」という考え方にこだわらなくていいんだ。相手がいる心地良さが大切。

* 2歳児クラスだよりのタイトルを「ぐーちょきぱー」に!
 「『じゃんけんぽん』『あいこでしょ』『かった~』。グーが勝てるのはパーがいてくれるから・・・チョキ勝てるのはパーのおか げ・・・そしてグーがいるからこそパーが勝てる・・・。
 そんなふうにお互いを生かし合い、成長しあっていかれるようなクラスをつくりたいと担任3人で話し合いました。具体的に保育を進める担任同士の関係はもちろんですが、子どもと保護者と職員の三者も、お互いを認め合い、活かしあい成長し合っていかれる関係をつくれるように仲良くなりたいと思っています。
 その橋渡しとなるようなクラスだよりを発行していきたい言う思いを込めて『ぐーちょきぱー』と名前をつけまして。
さあ!家族のみなさん、子どもたちと私たちと一緒にぐーちょきぱーなクラスをつくりましょう――――!!」(「ぐーちょきぱー」第1号より)

* あえて、こう書いてスタートしたのは、ぐーちょきぱーな関係がまだまだできていなかったから。それでも「必ずこっち見て相手してくるから」を子どもにも大人にも当てはめていけば、きっと認め合って仲良くなれる!と思えたから。


* 「いらない人なんていない」と口ではたやすく言えたけど、つい悪口を言ったり、誰かのせいにしたり、責めたりしていた前年度の初めの頃は、けしてうまくはつながれていなかった。


* やっと認め合えて、受け入れ合えた時には少しずつ変わり始めた。


♬相手がいるから♬・・・だっこらんどで
「じゃんけん じゃんけん じゃんけんぽん あいてがいるからじゃんけんぽん」
* じゃんけんの一番の楽しさ。それは相手がいること(二本松)

* たった4小節のあそびうたと、たったひとことのコメントに、つながりあそびにかけるなんとも大きな夢が込められている。
* じゃんけん
勝ち、負け、だけど「あいこ」もある。
ぐーちょきぱーな関係と、そして「石」「ハサミ」「紙」のそれぞれの役割

* 〈相手がいるから♪~〉の歌詞の部分に子どもの名前を入れて遊んでいたら「〈なっちゃんもいるから〉ってやって!」寂しげに催促。でも安心感が持てるようになると「なっちゃんもいるよ!」と飛び込んできて大人も抱っこしてくれる。


* 心臓病で生後間もない時から手術を何度でも繰り返している子、重い病気にかかり、たった1歳で点滴をつけっぱなしで長期に入院した子、ひどいアレルギーで母子ともにストレスを持ちながらがんばっている親子、二人目を妊娠したら切迫早産でまだ2歳の長女をおいて長期入院になった母、リンパの病気をもって生まれ、産後すぐから検査を繰り返している子・・・たった20組くらいの「だっこらんど」には様々な困難を抱えている家族がいるけれど、互いを見つめ、認める努力をみんながしてくれるから「相手がいるから」を実感でき、苦しい時も泣きながらだけど頑張れる。


『相手がいる』ってどんなこと
 見ていてくれる人がいる・・・見守ってくれる人がいる・・・愛す人がいる・・・愛してくれる人がいる・・・かけがえのあなた・・・かけがえのないわたし・・・
あなたがいるから安心…抱っこし合える人がいる・・・etc・・・

* 相手がいる安心感、心地よさを一番教えてくれたのは「我が子」
  「目の中に入れても痛くないほど可愛い」と昔から表現されるほど、強いを言われている我が子に対する親の愛情。
 でも、親に対する幼い子どもたちの愛情より、大きな愛情はあるだろうか?
 虐待されても求めてくれる親への愛情、買収作戦にも揺るがない親への愛情
 子どもたちに生かされ愛され育てられ・・・なによりも幸せは笑顔であると教えられながら親になる。「ありがとう、子どもたち」 


* 子どもの姿にもっと学びながら「相手がいるから」の思いをきちんと未来につないで生きるのが親の役割。


学生たちとあそぶ『相手がいるから』(S短大保育科での授業より)

【あそぶ前の「じゃんけん」に対する学生たちのイメージ】
* じゃんけんはある意味すごい。自分の運命を決めてしまうこともあるから。たとえばレポート発表者とか、順番とか、選択授業とかグループ分け・・・
* 特になにも考えずにじゃんけんをしてきた。
* 勝ち負けを決めるあそび。
* 勝ち負けだけのゲームであまり良い思い出はない。
* 自分が勝っても、負けた相手が悲しむから好きではない。
* 幼児の時は自分が負ける時があるから嫌いだった。今では発表者等、嫌な仕事を負けた人が担当するためのじゃんけんがあるから嫌い。
* 身近なあそび。
* 私たちの今使っているじゃんけんは、みんなが嫌がっていることを誰にするか決めるなどマイナス面が多いからあまりやりたくない。
* 負けるのが怖いというイメージ。
* 負けると叩かれたりつねられたり。

【あそんだ後の感想】
* 3種類しかないのにいろいろなあそび方で盛り上がれて楽しい。協力したり作戦を考えたりチームワークもつくれた。
* 実際に楽しく遊びながら「ぐー・ちょき・ぱー」の一つでも欠けたら成り立たないことが実感できた。いろんなところでジャンケンのような関係をつくっていきたい。
* じゃんけんについてもっと調べたくなった。そして一つ一つの大切さを具体的な形で見せてくれているように、遊びのいう視点だけでなく、社会の巾の道徳性のようなものから読み取ってみたい。
* 「ぐーちょきぱーな関係」「いらない人ななんていない」などということは今まで全く 結び付けずにじゃんけんをしてきた。考えてみるとなんて奥が深いのだろうと思った。相手がいる・・・ひとりひとりのこどもとむかいあうとはどんなことか、をこんごのあそびのなかなかもっとさぐってみたい。
* 勝ち負けだけにこだわることはないのだ!こんな楽しいのだ!とわかった。
* じゃんけんに対するマイナスのイメージが消えて、なんて奥が深く素晴らしいあそびだろうと感じた。
* 「相手がいるから」だけでこんなにバリエーション豊富に遊べることにおどろいた。
* じゃんけんについていろいろと再認識できた。嫌いだったが好きになり、早く子どもた
ちと一緒に楽しんでみたいと思った。その中で子どもたちと「ぐーちょきぱーな人間関係」をつくっていけるようになりたい。
* 全部初めて体験するあそび方だった。勝ち負けにこだわらず「負けたら嫌だな」などとは思わず最後まで楽しめた。あそびの中で子どもたちに何を伝えていくのか、遊びの質を考えていきたいと思えるキッカケになった。
* せっかく相手がいるからこそ成り立つあそびなんだから、嫌なもの決めるだけでに使うなんてもったいない。これからは大いに楽しんで人間関係を深めたい。
* 特に「相談じゃんけん」は個人戦と違って、ちからを合せて勝とうとしたり、とられた仲間を取り返そうとしたり・・・必死になる自分を感じることで「遊びの中で育つもの」が少し見えた気がした。
* じゃんけんが人間関係にも例えられて、奥が深いと感じた。そんな視点から様々なあそびを検証したいと思った。
* 「相手がいるから」という題名の通り、仲間がいて相談したり作戦を立てたり、笑い合いながら遊びながらどんどん楽しさが増した。
* 相談じゃんけんの中で、相手の意見を受け入れることや、また自分の意見を受け入れてもらうことを体験できることを実感した。そんなことをくり返し体験しながら遊ぶことで大切なものが育っていくのだろうと思った。
* 相手がいるから成り立つ人と人の関係がじゃんけんの中にしっかり入っているんだなあと感動した。
* 「相手がいるから」は初めてやったが、こんなじゃんけんは初めてだった。歌もシンプルで覚えやすく、それに大切なことがいっぱい含まれていてすごいと思った。
* 一人ではじゃんけんはできないし、サザエさんがいくらエンディングでじゃんけんをしてくれても、それは自分に対してしてくれているのではなく、1対1で気持ちが伝わりあっていないわけだから、やっぱり相手がいて顔を見合わせてのじゃんけんは良いなあ、と思った。そういうふうに遊びについて考えていくことが大切なのだということに気づけたことが嬉しい。


コメント
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