つながりあそび・うた研究所風の便り2023年6月号
「自分だけのもの」を見つけよう
先月、私の古くから仲間たち全レク一座のセカンドアルバム『大好きだよ』の発売記念コンサートが開かれ、多くの参加者の前で歌う彼らがとっても輝いていました。振り返ればコロナ禍でなかなか集まって活動ができない中、オリジナル曲の創作をしてみたらと言い続けていましたが、実際に創作に挑戦し始めたのが2021年の7月頃だったと思います。創作は初めて、その上、なにか楽器ができるわけでもない仲間もいましたが、今はスマホを片手に鼻歌を歌うように収録していけば、なんとか形が出来上がっていきました。録音した音は、音程が低くて、テンポもゆったりで、途中で転調?していくものがほとんどです。転調なんて、なかなか洒落ている?のではなく、私も経験があるのですが、大きな声で、自信を持って収録、歌っているわけではないので、そうなってしまうのです。それでも、その人しかできない思いがこもった歌詞とメロディーが奏でられていました。これが素敵なのです。
オリジナル曲が出揃い、2022年1月にコンサートを計画して練習にも力が入っていました。自分の歌、自分たちの歌を持つと元気が増してくるのですね。でも、コロナの終息が見えずコンサートは中止。一方、オリジナル曲のCD制作は、月に1曲というペースでのレコーディングを進めていました。発声を含め歌うということに関してはプロの歌手(大須賀ひできさん)に指導を受けつつ、伴奏陣もCDと同じアレンジでの演奏と張り切っていました。CD発売記念コンサートでは、それまでの全レク一座の演奏レベルとは大きくかけ離れていましたので、プロの音楽家(玉木孝治さん)から伴奏陣も指導やサポートを受けることになりました。最後の3か月間の毎日曜日はまる一日練習。いろいろあっただろう1年間半の練習、その成果は歌っている仲間たちの笑顔と伴奏陣のはっきりした音に見られました。長い、長い練習、厳しい仕事や暮らしの関係もあり、大変に苦しかった時もあっただろうし、あきらめてしまいたい時もあったかと思いますが、自分がつくりだした自分のものを仲間たちと表現できるという活動の楽しさが乗り越えてきたのだろうなと思います。本当に素敵でした、頑張りました。拍手、拍手、花丸です。
セカンドアルバム『大好きだよ』に収録されている1曲、1曲も、私としては、創作した一人一人のまるごとが見えていて、長いつながりあいのあたたかさ、確かさも感じられて、聞いていて自然にありがとうの言葉が浮かんでくるものでした。私としては珍しいのですが、車の運転中に何回も聞きましたよ。みなさんにもお勧めです。
全レク一座セカンドアルバム『大好きだよ』巻頭の文です。
「自分の吐露するって難しいし、恥ずかしいです。オリジナルをつくということはそういう一面もあります。このCDは、全レク一座の仲間たちが素っ裸になって『自分』を歌ってくれました。作詞、作曲、レコーディング初体験の中も含めて、精いっぱい、夢いっぱいの素敵なCDになりました。曲づくりからCD完成まで時間がだいぶ掛かりましたが、それだけ作品として進化してきたのということです。次のオリジナル曲、CDも楽しみです。」
オリジナル、だれでもが持っている「自分だけのもの」を見つけると嬉しいですね。それを見つけるためにもがいている子どもや仲間たち。本人が意識しているかどうかわかりませんが、もがいている姿が素敵です。可愛いです。気づかないのは自分だけ、だったり。
2023年サマー・カレッジ、始まるよ
さて、つながりあそび・うた研究所ホームページでもお知らせしているように、今月から2023年サマー・カレッジがスタートします。サマー・カレッジは1993年に保育・教育現場の仲間たちの要求から出発しています。それは子どもたちの「先生、今日も楽しいことやろう」という声だったと思います。当時のつながりあそび・うた研究所機関紙『手と手と手と』には「・・・他の講習会にはない、楽しく、しかも、役に立つ、それも、その場だけでなく、できれば根っこのところも伝えれば・・・」「・・・現場で活躍する仲間たちの実践から学んだものを、そして、これから一緒に考えていきたいものを・・・」「・・・あそびやうたの指導は、単なる技術の切り売りだけではなく、講師自身の持つ保育観や教育観、子ども観や発達観も問われ、その人の生き方や人間性までが問われます。そういう意味では、自分自身を鍛え、問い直す絶好のチャンスです・・・」と書いていました。最初から宣伝、組織、内容、教材作りなどすべてが手づくりでした。コロナ禍で残念ながら中止をしていましたが、昨年は3か所、今年は7か所が開催されます。再開は、ある面では最初に戻ったのですね。仲間たちの要求から出発するのです。この原点を忘れずにいたいですね。