毎年、4月になると真新しいスーツを着た若者たちを見ます。緊張してか、胸を張って歩く姿に心が和みます。また、4月1日だけはスーツを着て出勤するという保育士さんもいました。みな、新年度は心新たに出発するのですね。
私は、スーツは着ないけど(体型変化で着られなくなっている)、年度初めに必ず目を通す文章があります。大した文章ではありませんが、自分自身が原点に戻るために読み込みます。
それは、自分が20年間の公務員生活を辞めて、つながりあそび・うた研究所をつくって、何をしたかったかということを描いた文章です。研究所生活2年目を終えようとした時期に書いた文章です。一緒に読んでみてください。何かを感じてください。
「1991年4月から『つながりあそび・うた研究所』を設立し、全国各地を研修会・コンサート等々でかけめぐっています。正直なところ研究所の中身については、これから創造していかなければならない部分の方が多いのですが、今までいろいろなとこで書いたり、話したり、遊んだりしている『つながりあそび・うたを通して、人間のつながりあいって楽しいよ!』ということを、研究したり、創造したり、広げていけるような事業(活動)をしたいと思っています。
残念ながら今日、『人間のつながりあい』がとても希薄になってきています。むしろつながりあしを分断しようとする力もあります。ですから、今日のような『人間のつながりあい』がなくなってしまった状況は、おそらく人類史上はじめてのことではないでしょうか。
『いのち』を真ん中に据えた時、核戦争による人類滅亡の危機や自然破壊による人類滅亡の危機と同じく、『人間のつながりあい』の喪失は、人類にとっての最大の危機ではないかと考えています。
ですから、より自由で人間らしく生きたいという人類の究極の願いから出発し、育まれてきた(つながり)あそび・うたを通して、この危機的状況をみつめなおしたり、変えていく力を育んだりすると同時に、つながりあそび・うたを楽しむことと広げる中で、私自身がより人間らしく生きていきたいと願っているのです。
『・・・いつ頃からでしょうか、子どもたちが、ヒトが水浴びやおひさまポカポカや頬をなでる風などが“気持いい”って感じはじめたのは? きっと長い人間の歴史の中で、“気持いい”って感じる力を育ててきたのでしょうね。それと同じように、人は人のつながりあいって楽しいものであり、大切なものとして育ててきました。そして、つながりあいを基礎にして、いのちを生み、育てて生活してきたのでしょう。今、からだと心に汗をいっぱいかいて、つながりあそび・うた通して“人間のつながりあいって楽しい”ということを広げたいと思います。特に、子どもたちにです。だって、“生きいるってひとりじゃない”ということを、そして、“とてもステキなことなんだよ”って伝えたいからです。』
引用が長くなりましたが、『ちいさいなかま』(編集・全国保育団体連絡会)に連載していた時にも書き、また、『つながりあそび・うた 手と手と手と』のビデオ・テキスト(音楽センター発行)にも書いてきたことです。新たな出発にあたり、改めて自分自身で確かめたい内容です。
考えること、思うこと、やろうとしていることは大きいことかもしれません。なんせ人類史的な課題に挑戦するのですからアハハハ…。しかし、なにせ私自身は見かけも力もとっても小さいわけですので、多くの仲間たちに助けられながら、支えられながら、いや、むしろ一緒につくりだしていけたらと思っています」
つながりあそび・うた研究所機関紙『手と手と手と』創刊号(1993年2月1日付)に掲載した文章です。その後、機関紙の中や、いろいろな学習会で何度でも出てくる文章です。
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