鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

桜図鐔 正栄 Masataka Tsuba

2020-03-28 | 鍔の歴史
桜図鐔 正栄


桜図鐔 正栄

 正栄は近江の国友鉄砲鍛冶の流れで、鉄地に砂張象嵌を施して文様風の装飾を特徴とした間派の代表工。砂張とは鉛や錫などの合金で、渋く落ち着いた色合いを呈する金属である。桜であれば銀や金割の銀などを用いたほうが華やかで鮮やかで、見た目にも派手に映るのではないだろうかと思うのだが、この一派は、この渋い景色に特徴を見出し、ほとんどの鐔にこの砂張を用いている。数奇者もこれを好んでいるようだ。描法も平面的で、まさに文様表現。風景の文様化に他ならない。


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2 コメント

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Unknown (rurihari_menou)
2020-04-27 22:44:18
砂張象嵌とは最近の彫金技術ではあまり見られない手法で興味深いです。
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Unknown (ゼンザイ)
2020-05-11 09:16:47
色金なくとても渋い作です。平面的な文様表現ながら、溶けた金属が固化する際に生まれる小さな穴もまた面白い景色を生み出します。
この面白さは金属に鏨を打ち込んで表現するものとは異なります。いわゆる彫金とは異なるところの魅力ですよね。貴金属、という点からは遠いところの美観でるため、次第に限られた数奇者の愛玩物となっていったのでしょうか。
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