瓜に桃図小柄 古金工
瓜に桃図小柄 古金工
鉢に盛られたいくつかの果物。外に転げているのは瓜。枝のまま飾られているように見えるのは桃だろうか。この小柄は、糖質の多い果物を題材に採っているのだが、同時に鉢の存在が大きな意味を持っている。食べ物として鉢に盛られているのであろうか、あるいは、茶室の飾りとしてのものであろうか。いずれとも考えられる。室町時代には茶や花が文化として存在感を大きくしている。装剣金工としては、茶道具や束ねられた植物図などがあるのが良い例だ。こうしてみると時代の上がる金工には銘がないのが普通だが、金工は単に職人としてのみ生きていたのであろうか、不思議に感じる。今の時代、私たち工芸品を扱う者からは職人としての技術を高めてほしいと願っている一方で、職人側は芸術家としての意識を先に持ち始めてしまい、その小さな誤差が次第に大きくなってゆくように感じられる。
瓜に桃図小柄 古金工
鉢に盛られたいくつかの果物。外に転げているのは瓜。枝のまま飾られているように見えるのは桃だろうか。この小柄は、糖質の多い果物を題材に採っているのだが、同時に鉢の存在が大きな意味を持っている。食べ物として鉢に盛られているのであろうか、あるいは、茶室の飾りとしてのものであろうか。いずれとも考えられる。室町時代には茶や花が文化として存在感を大きくしている。装剣金工としては、茶道具や束ねられた植物図などがあるのが良い例だ。こうしてみると時代の上がる金工には銘がないのが普通だが、金工は単に職人としてのみ生きていたのであろうか、不思議に感じる。今の時代、私たち工芸品を扱う者からは職人としての技術を高めてほしいと願っている一方で、職人側は芸術家としての意識を先に持ち始めてしまい、その小さな誤差が次第に大きくなってゆくように感じられる。