鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

布袋和尚図小柄 後藤程乗

2019-12-02 | 鍔の歴史
布袋和尚図小柄 後藤程乗


布袋和尚図小柄 後藤程乗

 大きな袋を枕にして天を仰いでいる布袋。天上には月があるのだろう。時に月を指さしている図とされることもあり、拾得指月図と同じ意味で、禅画の好題とされている。布袋和尚は、今でいうと乞食坊主。大きな袋に生きるための物を入れて定まった家を持たず放浪していたようだ。何ものからも解き放たれた自由とは、そのような生き方なんだろう。憧れでもあるが、今の生活に慣れてしまった我々では苦しい。でも、布袋和尚図は好まれて殊の外多いのである。この小柄は、程乗の繊細な彫技が示された、後藤家らしい貫禄のある作であると同時に、裏板に金の削継などを施すなどして、加賀に仕えた金工らしい華やかさを求めた出来となっている。