鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

菊図縁頭 秀興 Hideoki Fuchigashira

2016-01-14 | 鍔の歴史
菊図縁頭 秀興


菊図縁頭 秀興鐫

 江戸後期の京都に栄えた川原林秀興の、古作写し。古作写しとは言え、古美濃のような作風ではなく、赤銅魚子地一色のみからなる高彫手法で菊花を描いているという意味で古作を手本としたとみるのだが、明らかに他にはない個性を示している。菊は文様表現だが、枝振りや花に大小描き分けている部分があり、枝花の下に遠くに咲く菊を眺めている、といった風情だ。枝振りに量感があり動きが感じられ、活きいきとしている。もう文様とは言えない、写生になる菊花。菊は古金工の時代からここまで進化した。