雪月花図鍔 壽矩
雪月花図鍔 壽矩(花押)
銀は古くから装飾素材として尊ばれてきた。金には及ばないものの比較的腐食に強いことと、磨けば強い光沢によって金のように明るく見える特徴がある。銅や他の金属との合金も色合いを多彩にするなどの点が好まれたのであろう。だが、空気中のイオウなどと容易に反応して独特の黒色味を呈する。装飾としてはマイナスの要因とも捉えられるが、むしろ渋いという点で魅力が引き出されたようだ。鐔の作者は、銀が時を経て黒くなるという効果を考慮して金工に活かしている。だから、銀の部分は黒くなっていても、決して地の色が出るほどに磨くものではない。
その銀が生み出す景色が面白いのだ。表面にグラデーションが付く程度が美しい。写真は先に紹介したことのある壽矩の鍔で、雲間に三日月の見え隠れする様子を心象表現している、雪月花の中の月だ。春の朧な月と捉えれば、銀を滲ませている理由は想像できよう。銀の布目象嵌が技法だが、その端部から銀が破墨のように広がっているのが判る。明瞭な三日月では面白味がないのだ。腐食による凹凸と同様、銀の滲み出しは意図的に為されたのである。
度々言い訳を繰り返しているが、今年に入って、日本刀のゲームが話題になっており、これに関連して日本刀の雑誌やムックなどが相次いで出版されている。数年前に出された『日本刀大全』から引用したような内容ばかりだが、日本刀に興味を持ち始めた人にとっては十分すぎるようで、かなり売れ行きが良いそうだ。それが故にさらに出版が続き、多くは日本刀の写真を貸してほしいとの相談。もちろん写真だけですむはずがなく、説明にまで及び、ブログの更新を怠るという結果になっている。言い訳だとおっしゃるかもしれませんが、もう少しで出版ブームは終わると思うので、飛び飛びの更新はもうすこし。因みに、今後の刀剣関連の本は、宝島社から『日本刀図鑑』が5月28日に、『TokyoWalker』では5月中頃に『刀を見に行こう』の記事が出て、似たような内容で『ぴあ』からも日本刀鑑賞のために博物館廻りのムックが出る予定。さらに『芸術新潮』でも日本刀と歴史人物と美術を関連させた内容を予定しているそうだ。一味違った内容では、学研からも、秋には日本刀の写真集が出る。
雪月花図鍔 壽矩(花押)
銀は古くから装飾素材として尊ばれてきた。金には及ばないものの比較的腐食に強いことと、磨けば強い光沢によって金のように明るく見える特徴がある。銅や他の金属との合金も色合いを多彩にするなどの点が好まれたのであろう。だが、空気中のイオウなどと容易に反応して独特の黒色味を呈する。装飾としてはマイナスの要因とも捉えられるが、むしろ渋いという点で魅力が引き出されたようだ。鐔の作者は、銀が時を経て黒くなるという効果を考慮して金工に活かしている。だから、銀の部分は黒くなっていても、決して地の色が出るほどに磨くものではない。
その銀が生み出す景色が面白いのだ。表面にグラデーションが付く程度が美しい。写真は先に紹介したことのある壽矩の鍔で、雲間に三日月の見え隠れする様子を心象表現している、雪月花の中の月だ。春の朧な月と捉えれば、銀を滲ませている理由は想像できよう。銀の布目象嵌が技法だが、その端部から銀が破墨のように広がっているのが判る。明瞭な三日月では面白味がないのだ。腐食による凹凸と同様、銀の滲み出しは意図的に為されたのである。
度々言い訳を繰り返しているが、今年に入って、日本刀のゲームが話題になっており、これに関連して日本刀の雑誌やムックなどが相次いで出版されている。数年前に出された『日本刀大全』から引用したような内容ばかりだが、日本刀に興味を持ち始めた人にとっては十分すぎるようで、かなり売れ行きが良いそうだ。それが故にさらに出版が続き、多くは日本刀の写真を貸してほしいとの相談。もちろん写真だけですむはずがなく、説明にまで及び、ブログの更新を怠るという結果になっている。言い訳だとおっしゃるかもしれませんが、もう少しで出版ブームは終わると思うので、飛び飛びの更新はもうすこし。因みに、今後の刀剣関連の本は、宝島社から『日本刀図鑑』が5月28日に、『TokyoWalker』では5月中頃に『刀を見に行こう』の記事が出て、似たような内容で『ぴあ』からも日本刀鑑賞のために博物館廻りのムックが出る予定。さらに『芸術新潮』でも日本刀と歴史人物と美術を関連させた内容を予定しているそうだ。一味違った内容では、学研からも、秋には日本刀の写真集が出る。