鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

牟礼高松図小柄 後藤光理 Mitsumasa-Goto Kozuka

2011-04-08 | 小柄
牟礼高松図小柄 後藤光理


牟礼高松図小柄 無銘 後藤光理

 屋島を見下ろす牟礼高松に到着した義経は、村の各所に火を放ち、源氏の大軍勢が押し寄せたことを装った。このとき義経には五十ほどの手勢しかなかった。少数先鋭の軍団ではあるが、一たび手の内が露呈すると逆襲は必至で敗戦に繋がる。
 大軍襲来と判断した平家軍は、我先に軍舟に移って海上に逃れる。舟のない義経は景時の率いる軍舟の到来を待たねばならず、水際を挟んでの対峙は明らかに義経に不利な状況へと突き進む。
 このときもまた、鮮やかなまでに個性を光らせる武将がいたことを、『平家物語』は伝えている。
 写真の牟礼高松図小柄は無銘ながら後藤宗家十二代光理の作。赤銅魚子地高彫金銀色絵。