鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

十二支図鐔 藻柄子宗典

2023-10-11 | 鍔の歴史

十二支図鐔 藻柄子宗典

 

赤銅魚子地高彫象嵌色絵といった工法は、宗典には珍しい。決して魚子地が上手というわけではないのだが、とても迫力がある。なにより、十二支を一つの絵画の中に収めているのが面白い。表には龍虎対峙の場面。

 

 

 


波龍図鐔 藻柄子宗典

2023-10-04 | 鍔の歴史

波龍図鐔 藻柄子宗典

 

高彫表現の鐔。人物が描かれていない。躍動的な高彫に金象嵌。動きがあるのは龍神だけでなく、激しく吹きつける風、打ち付ける波も鐔の中で暴れまわっている。かつて、初めて見たとき、宗典にこのような作品があることにとても驚いた記憶がある。

 

 


菊慈童図鐔 藻柄子宗典

2023-09-27 | 鍔の歴史

菊慈童図鐔 藻柄子宗典

 

名水「菊水」の語源ともなった、古代中国の菊慈童の伝承を描いた作。宗典には、このような透かしを施さずに濃密な高彫象嵌の技法を駆使した作もある。草木の表現は赤銅地の秋草と似て濃密な描写。背景の透かしがないため、人物には濃密な金象嵌を施して存在を際立たせている。

 

 


宇治川戦陣図鐔 藻柄子宗典

2023-09-19 | 鍔の歴史

宇治川戦陣図鐔 藻柄子宗典

 

宗典には美濃彫風の作と、このような群像を描いた作がある。

宇治川先陣は源平合戦の中でもあまりにも有名な場面。武士が備えていなければならない資質を鮮明にしている物語だ。昨年の『鎌倉の十三・・・』では義経がこの二人に先陣争いを演じさせ、その隙に軍勢を渡河させた、という演出をしたのだが、それに何か意味があったのだろうか。大体ふざけた内容を専らとする作家の作品だから、ドラマのいたるところに無益な演出が点在していたのは残念であった。

 

 


秋草図鐔 藻柄子宗典

2023-09-16 | 鍔の歴史

秋草図鐔 藻柄子宗典

 

菊花を主体とした秋草図鐔。素見すると美濃彫と間違える。宗典というと和漢の歴史人物や合戦図などを立体的構成出高彫肉に表現した躍動感のある作風で知られている。だが、このような美濃彫風の作品も遺しており、出身は、所謂美濃彫を遺した金工ではなかろうかとの見方もされている。赤銅地高彫金色絵。

 


菊花図鐔 赤坂忠時

2023-09-15 | 鍔の歴史

菊花図鐔 赤坂忠時

 

大輪の菊花。花弁が長くしかも優雅に曲線を描いている。菊の栽培が盛んであった江戸時代に生み出された種類であろうか、現代でも秋の風物として造り菊がいたるところで飾られている。曲線の美観に尽きる。