このInstitut社のV.d.T. アオスタ “オリオウス”(Aosta Orious)は以前に登場した“マヨレ”“コルナリン”と同じヴァッレ ダオスタ州の土着品種で、トッレッテ(Torrette)というワインの一部分を構成しているブドウ品種です。2008年よりヴァッレ ダオスタ“ヴュィレルマン”に呼称が変更されます。
リストの中のコメントは「ヴュィレルマン100%をステンレスタンクでアルコール発酵の後、フレンチオークのバリックで12ヶ月間とステンレスタンクで3ヶ月間の熟成をされます。マラスキーノチェリー、桑の実、ブラッドオレンジの豊かにふっくらした重厚な香り。しなやかに包まれる洗練された酸とタンニン、特徴的なふくらみのある果実味は心地よい苦みを残し、調和のよい穏やかな味わいに心地よいアフターテイストと余韻が続きます。」以上のようになっています。
香りは抜栓したてにドライクリーニングされた服のにおいがわずかにしますが。空気に触れ、すこし時間が過ぎるとクローブや黒コショウのニュアンスが感じられます。しかし、これが圧倒されるようなフルーティーな香りに掻き消され、霧消し、存在すら記憶から除かれるような勢いがあります。後味に残る印象的な苦みは、苦し紛れに浮かんだブラッドオレンジの香りから連想された柑橘系の苦みです。味わいはまとまりの悪い、だらりとした状態で甘さだけが強く感じられました。将来性はあると思います。強いだけのフルーティーな香りにシャープな輪郭が綺麗に描かれ、盛り上がった卵の白身と黄身のように重層な味わいに変化するのでは、と、期待して数年待つことにします。