江川卓投手の球速（2）

金田正一、米田哲也、尾崎行雄、森安敏明等のかっての快速球投手をリアルタイムで見ていた事のある人達は、年齢的には多分50歳台を越しているかと思います。この年代の人達は、現在と大きく異なり、不幸にも読売ジャイアンツ中心の野球中継を見る事を余儀なくされていたものでした。従って読売ジャイアンツ以外の選手、特にパリーグの選手を見る機会は非常に限られていたかと思います。又その背景のせいか、読売ジャイアンツ贔屓の論評ももの凄く多いものでした。決して球が速い投手とは到底思えない読売ジャイアンツ時代の福士敬章、新浦壽夫、山内新一等の投手でさえ、彼らの評価ではかなりの快速球投手となっていました。しかしそういう時代に夏の甲子園球場で見た江川卓投手の球の威力は、上記の投手とはやはりかなり違う本物と言う事を感じざるを得ないものでした。とは言え、前回も書きました様にもの凄い衝撃を覚えた程ではありませんでした。翌昭和49年に初めて見た鈴木孝政投手の切れ、伸びに異常に優れ、高目に浮き上がる快速球を見た時程の印象ではありませんでした。