totoroの小道

「挑戦することで、きっといいことがある」  http://www.geocities.jp/totoroguide/ 

渡邊先生のノート

2008-04-25 06:14:51 | 研修

 本年度の異動で本校に赴任した渡邊先生、新採2校目の若い先生です。彼はとても熱心です。

 その渡邊先生が同じ学年として組んだのが、もっと熱心な平野先生です。この2人は、放課後もなかなか職員室に降りてきません。子ども達は、3時半には帰って行ったのに、4時になっても、5時になっても教室にいます。2人で授業について研究しているのです。

 5時半頃、二人は3階の教室から職員室に戻ってきます。

すると、渡邊先生はノートを開きます。今、平野先生と研究した内容を、忘れないようにメモしておくためです。

この日は、平野先生から、顔の絵をだれもがうまく描ける指導法について教えてもらいました。渡邊先生だって、絵の指導には自信があります。前任校で教えたAくんの絵は、今思い出してもなかなかの出来映えです。

しかし、平野先生が「おれ、今日、こんな絵を描かせたよ。」と、見せてくれた絵は衝撃的でした。小学生でこんなにリアルに描けるものだろうか?と疑問がわきました。それも、どの子もどの子も、個性的で、そっくりで訴えかけるような迫力があります。

平野先生は、どんな指導をしたのだろうと、知りたくてたまりません。そこで「どんな指導をしたら、こんないい絵になるのか教えてください。」と切り出します。

平野先生は「子供って、見ているようで対象をよく見ていないんだ。国語と同じで、まず細かく『切る』ことが大切なんだ。」「そのために、顔全体を見ないで、ここだけを見ようと部分に切ってあげるんだ。」「今回おれは、のどちんこから書き始めた.....。」

「なるほど、そう指導したらいいのか。」と思います。目から鱗です。

それを、忘れないようにノートにメモするのです。

次の図工、さっそく平野先生性から教えてもらった手順で、教えてもらったように指示して作品を描かせてみます。なるほど、どの作品も迫力があるし、よく似ています。だれもが、自分の出来映えに満足しています。

渡邊先生は、さらにそれぞれの絵の良さを、共有させたいと思います。何点か黒板に貼り、それぞれを褒めちぎります。その後「前に来て、それぞれの絵をもっとよく見てください。そして、一つ一つの絵の、どこがいいのか、どこが工夫してあるのか、どこがよく見ているのか、見つけなさい。」と指示します。

子ども達はうれしそうにすぐに出てきて、黒板に集まります。互いに指さしながら「この目って、本物みたいだね。」「うん、ここにしわがあるけど、よく見てるよね。本物みたいなカーブになってるね。」などと話しが弾みます。絵を描くだけなら家庭でもできます。こうした学び合いがあって初めて、学校で絵を描く良さが生まれます。

席に着いた子ども達は、「○○さんの絵の、口の周りにしわの線があります。この線の太さが、.....すごいと思います。」とそれぞれの絵の良さを紹介し始めます。先生が指さしながら全体に広め、さらに解説を加えていきます。

今度は、もっとうまく描きたいと思う子ども達、その友達の発言や、先生の解説を一頃とも聞き逃さないように、真剣な目で黒板の絵を見つめます。


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1 コメント

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ほんとですね。子どもは見ているようで見ていない。 (Mrヒデ)
2008-04-30 15:14:36
「子供って、見ているようで対象をよく見ていないんだ。国語と同じで、まず細かく『切る』ことが大切なんだ。」「そのために、顔全体を見ないで、ここだけを見ようと部分に切ってあげるんだ。」・・・・いいですね。そのとおりだと思います。教室での平野、渡辺先生の熱気が伝わってきます。
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