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ごんぎつね 中井先生のもとで教材解釈
一番の「変だ」が入っている文をさがしました。
今回は
ごんは、うなぎのつぐないに、まず一つ、いいことをしたと思いました。
という文に注目しました。
ここで、急に「つぐない」というキーワードが出てくるからです。
このごんぎつねのキーワードは「つぐない」だと思うからです。
それまでのいたずら放題のごんが、ここから変わり始めます。
ごんは、反省をしています。今までと全く違います。
物語は、中心人物の行動の変化を読み取っていく。
行動の変化が起こるのには、きっかけがある。
授業が上手くいかないのは、解釈の問題。
解釈が、細かい言葉まで見切ってあれば、かならず良い授業になる。
と、中井先生がおっしゃいました。
つぐないから、たくさんの問題ができそうです。
だれが
だれに
だれのつみ
ごんは、いつ、つぐないを決めたのか?
ごんは、どうして、つぐなうのか?
ごんの償いの気持ちがスタートしたのはどこか。
ごんはどんなふうにつぐなおうと思ったのか。
ごんは、どれぐらいつぐないの気持ちがあるのか。
ごんは、うなぎのつぐないに、まず一つ、いいことをしたと思いました。
この中の「まず一つ」は無くてもいいのに、なぜあるの?
これからも、つぐないをしていく気持ちがある。
つぐない=「弁償する」意の和語的表現。犯した罪の埋め合わせ。
弁償する=他人に与えた損害をつぐなうために金や物を出すこと。
ごんが犯した罪はどれだろう?
1 兵十をひとりぼっちにさせた
2 兵十のとった魚をにがした。
3 兵十がおっかあに、うなぎを食べさせられなかった。
4 おっかあが死んでしまった。
5 おっかあがウナギを食べられなかった。
この問題を解決するには
ごんは、だれに償ったのか?が分からないと解けない。
1 兵十
2 おっかあ
これを解くために、そもそもごんの罪は何なのだろう?
1 兵十のおっかあは、とこについていて、うなぎが食べたいと言ったにちがいない。
2 それで、兵十が、はりきりあみを持ち出したんだ。
3 ところが、わしがいたずらをして、うなぎを取ってきてしまった。
4 だから、兵十は、おっかあにうなぎを食べさせることができなかった。
5 そのまま、おっかあは、死んじゃったにちがいない。
6 ああ、うなぎが食べたい、うなぎが食べたいと思いながら死んだんだろう。
7 ちょっ、あんないたずらしなけりゃよかった。
1と2は違う。ごんの想像したこと。
ごんの犯した罪が、3か4だとすると、ごんの償いは兵十に対して行う。
ごんの犯した罪が、5か6だとすると、ごんの償いはおっかあに対して行う。
もし、ごんの償いが、おっかあに対してなら、ごんはお墓に行くはず。
兵十の家に栗や、松茸を持って行くのだから、
ごんは、兵十に対して罪の意識を持っている。
すると、ごんの罪は次のどちらかになる。
3 ところが、わしがいたずらをして、うなぎを取ってきてしまった。
4 だから、兵十は、おっかあにうなぎを食べさせることができなかった。
「だから」、とか「できなかった」「うなぎが食べたい、うなぎが食べたいと思いながら死んだ」などを根拠にすると、
ごんの罪は、4「兵十がおっかあにうなぎを食べさせられなかった。」になる。
しかし、どうしてごんは、兵十に対してそんなに悪いと思うのだろう?
今までさんざん、悪事をかさねてきているのに?
「おれと同じ、ひとりぼっち」
また、どうして、ごんは、
1 兵十のおっかあは、とこについていて、うなぎが食べたいと言ったにちがいない。
2 それで、兵十が、はりきりあみを持ち出したんだ。
といった、想像をするのだろうか?
ごんんが考えてみると、張り切り網を持ち出していた、兵十の異常な様子が目に浮かんだからだ。
ごんは、兵十の様子があまりに普通でなかったので、そのときのことを鮮明に覚えている。
だって、雨が何日も降り続いた川に、すぐに入って魚を捕る人はいない。
こんな日に水にはいるなんて、よほどのことがあったに違いない。
水が濁っていて魚はいないだろうし、網にゴミが一杯入るに決まっている。
それなのに、はりきり網を仕掛けなければならない理由があった。
と考えたのだ。
兵十の様子もおかしい。腰まで水につかり、顔に大きなほくろみたいに葉っぱがついても気にしないほど、集中して網を揺すぶっている。
あながち、ごんの想像が間違っている訳ではなさそうだ。
ごんは、兵十の気持ちが分かるのかも知れない。
なぜ?
「おれと同じ、ひとりぼっち」
ひとりぼっち同士の気持ちが分かるのかも知れない。
ということは、ごんが偶然、兵十の家の前に来たのではなく、何か気になっていたから来たのではないか。
弥助の家は通りかかるのだから、どこかに行く途中だと分かる。
こんなことを考えながらやって来る=兵十の家
来る= 何かが空間的・時間的に、自分の居る方へ向かって近づく(移動して、そこに現在見られる)。
だから、目的地は兵十の家だった。
気にしていなければ、それで終わりだけれど、お葬式の結末を確かめに行っている。
ごんの償いはどこで終わるのか。
償い終わるのは、図のように、開けてしまった穴を元通りにできたとき。
ごんは、
兵十と加介の後をついていく。
何の話を聞きたいのだろう?=だれが栗や松茸をもってきてくれたのか。
① 自分と分かってほしい。
② お礼(感謝)を言ってほしい?
(毎日神様にお礼をするといい)
(おれにはお礼を言わなくて)
引き合わない。=努力した結果が(金銭的に)報いられない。
ごんは怒っている。
怒っている・落胆しているのに、もう一度栗をもっていく。
その目的は何か?
ここで、償いの内容が変わる。
最初はただの償いだった。
それが、償いをするうちに、償いと違う気持ちが目覚め始めて、ときどきそれが顔をだしてくる。それはどんな気持ちか?
本当の「つぐない」に変わる?
この償い以外の気持ちは、どこから出てくるのか?
おれと同じ、ひとりぼっちの兵十
だから、こっそり中へ入る。
それまでは、家の中には入っていないのに。
兵十に見つかりたくないが、距離を縮めたい。
栗は固めて置く。
残念だけど、ここで時間切れになった。
たくさんの示唆をいただいたので、じっくり時間をとってもう一度読み直したい。
55回 |
9月12日 | 土 | 9:00 | 15:00 | 天竜壬生ホール | 第1会議室 |
56回 | 10月17日 | 土 | 9:00 | 12:00 | 天竜壬生ホール | 第1会議室 |
たくさん示唆をもらいました。暑かったですが行ってよかったです。
宮坂先生のいつもの元気さが、少し見られない部分があり、心配しました。