とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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台湾新幹線の乗車体験記(11)

2007年02月07日 22時01分13秒 | 旅(海外・国内)

自分の座席を見つけて座ろうとしたら、A席とB席は空席だった。

「あとで乗客が乗ってくるのだろう。もうすこし跡で乗った方が良かったかな」

とC席の私は思ったのであったが、荷物も少ないし誰か来てもすぐに立つことが出来るので「まあいいや」とそのまま座っていることにしたのだった。

座席の座り心地も「のぞみ号」と同じだった。
どうやら座席は色だけが異なりあとは同じのようだ。
外国へ来て日本の新幹線の座席に腰を掛けるとなんとなく落ち着く。
ふっと、ため息をついて正面を見るとデッキと客席を隔てる扉の左右にある広告に目が止まった。
これも「のぞみ号」と同じ位置に広告が付いていたのであったが、その内容を見て驚いた。

右側の広告は「太田胃散」だった。
お馴染の白に青のストライプのパッケージに「太田胃散」の白抜き文字。
長島一茂も写っている。

で、左側の広告を見てもっと驚いてしまった。
その広告は左右対称のデザインで、右側は緑豊かな山あいの渓谷を望む露天風呂に浸かる男。
そして左側はビルディングの建ち並ぶ都会の街並みを臨む露天風呂に浸かる男。
風呂はどちらも檜造りの日本風。
その風呂に浸かる男の頭には濡れタオルが載せられていた。
「おお、JRの広告か?」
一瞬私は新幹線仲間のJRの広告が台湾新幹線を応援するため掲示されているのかと目を見張った。

台湾人が一番旅行をしたい外国というのが日本だそうだ。
その中でも冬の北海道や、温泉地などは大人気で、数年前、政府も台湾人の観光客を誘致するために台湾人の観光目的の入国についてはビザ免除を発表したのであった。

余談になるが、それにイチャモンを付けたのが中国で、
「我が国の1つの省である台湾の人民をビザ免除にするのであれば、本土人も免除すべきである。」
と強引に押し込んで、腰抜け日本政府からビザ免除をもぎ取ったのであった。
しかし、日本人にしてみれば台湾は元領土。
台湾人にしてみれば日本は元本国。
その台湾の人々がビザなしでやって来ても、さして抵抗感はなかったのだ。

でも中国人は違う。
中国は東アジアにおける脅威の塊であり、中国人のモラルや価値観は時として周辺諸国に紛争の種や犯罪率アップという弊害をもたらしてきた。
このどさくさに紛れた中国人のビザ免除により、日本国内の外国人犯罪率が急上昇したのは記憶に新しい。

閑話休題。

で、最初に見た太田胃散のポスターの影響もあり、日本の温泉をPRするJRグループの広告だと私は勘違いしたのだ。
よく見ると、そこには「台湾高鉄」の文字があり、新幹線の開通前と開通後の比較コマーシャルなのであった。
つまり、関西では有名な蓬莱の豚まんのコマーシャルで「豚まんのあるとき!」「豚まんのないとき!」と同じコンセプトの広告であったわけだ。
大阪にある蓬莱の社長は台湾出身ということを聞いたことがあるので、台湾では伝統的な広告手法なのかもわからない、などとは思わなかった。

いつまで経ってもA席とB席の乗客は現れない。
確か新幹線は満席じゃなかったのか。
きっとギリギリで乗り込んでくるのだろう。
などと思っているうちに、列車は静かに動きはじめたのであった。

つづく