とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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広川太一郎のジーン・ワイルダー

2005年09月06日 20時09分35秒 | 音楽・演劇・演芸
先月、20年間使い続けてきたベータマックスのビデオデッキが故障した。
突然再生できなくなったのだ。
「あの~、ベータのビデオデッキってまだ修理できるんでしょうか?」
恐る恐るソニーのサービスセンターに電話した。
「型番は?.........ああ、まだ修理できると思います」
との嬉しい返答をもらった。
結局、約1万2000円の費用で修理することができたのだ。
内訳は小さな部品を2つ交換してヘッドを中心に各部の清掃。
新品には到らなかったが、現状で最高のコンディションになって戻ってきた。

この修理のおかげでhi-fi音声が途切れたり、画面のトラッキングがずれたりしてまともに再生できなくなっていたビデオテープが見られるようになった。
特に嬉しかったのは、ジーン・ワイルダー主演の映画を見られるようになったことだった。
「新・シャーロック・ホームズ おかしな弟の大冒険」と、
「ヤング・フランケンシュタイン」
の2本がそれだ。

「そんな映画、わざわざ昔の録画で見る必要ないじゃないの」
と言うなかれ。
実はこれが貴重な録画テープなのだ。

最近の市販DVDソフトは字幕版と一緒に日本語吹き替え版も収録されているのが一般的だが、ジーン・ワイルダーのような日本ではちょっとマイナーな喜劇俳優の映画は字幕スーパー版しか発売されていない。
昔も今もテレビの洋画劇場は日本語吹き替えで放送していたから、当時のビデオで見ると日本語で聞いて観賞できるというわけだ。
しかもこのジーン・ワイルダーの2つの作品は特別なのだ。
つまり、ジーン・ワイルダーの吹き替えを広川太一郎。
相棒のマーティ・フィルドマンの吹き替えを熊倉一雄。
個性的な喜劇女優のマディリン・カーンの吹き替えを天地総子が演じているのだ。
これは吹き替え映画でも超一級の出演者で、その出来栄えも超一級。
芸達者な吹き替え陣が吐くセリフは映画ファンにはたまらない。中でも広川太一郎お得意のアドリブは効果絶大。オリジナルの面白さを凌駕しているのだ。

インターネットで検索してみると、このメンバーの吹き替え版は伝説の域に達しているらしい。

製産が中止されて早5年のベータマックスのビデオデッキ。
多額の修理費をかけただけの価値があったようだ。

なお、「ヤング・フランケンシュタイン」は字幕スーパー版のDVDは発売中。「新・シャーロックホームズ」はDVD、VHSのテープ双方とも発売されていない。
私のコレクションの「新・シャーロック・ホームズ」は、永遠の映画おじさん淀川長治さんも吹き替えに参加している貴重品だ。
エッヘン!