とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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写真屋のエゴ

2004年11月14日 20時39分31秒 | エトセトラ
得意先を招待して福島県の一日観光を実施した。
出発前、事前に福島県の大阪事務所を訪れ「すいません。福島県で観光に適したところはありませんかね?」と職員に質問したところ、暫くの沈黙の後、「二本松で日本最大の菊人形展やってるんですけど。」と薦められた。
当日福島県で待ち受けていた私の会社の現地社員も二本松市の菊人形へお客様を招待しようとスケジュールを組んでいた。
「えーと、菊人形に行きますけど、いいですか?」
と出発前にお客さんに質問したところ、
「菊人形やったら、ひらパーでええわ。」
と一蹴されたので、磐梯山と会津若松を訪れることにした。
野口英世記念館を見学した後、磐梯山の五色沼へ行くことになった。
千円札効果で混雑する野口英世記念館から約三十分で五色沼へ到着。駐車場でバスを止め降りた。
「写真要りませんか。安くします。」
と当地の写真屋が寄ってきた。なんでも一枚千円にするという。
今さら観光地で写真屋の写真もないだろう。
カメラの普及していないミャンマーやインドならいざ知らず。ここは誰もがデジカメを持っている日本だ。
「要りません。」
と断り、意気揚々に売店を横切り、五色沼へ入ってビックリした。
「当地は私有地につき勝手に団体写真を写すことを禁じます。」という立て看板が設置されていたのだった。
確かにその場所は、団体の記念撮影に適した場所だった。
エメラルドグリーンに輝く美しい五色沼を象徴するような絵が撮れるポジションなのだ。
しかし、待てよ。
そこが私有地だからといって「写真を撮ったら金を取る」というのはいかがなものだろうか。私の感性からするとそれは「アホ」としか言いようのないものなのである。
例えばこの五色沼がセットなら仕方がない。金を払うのにも同意する。セットなら作ったものに権利があるからだ。
しかし五色沼は自然が創りだした奇跡の景観なのだ。その景観を写すポジションが「私有地」だから「撮るな」というのはいかがなものだろうか。
ちなみに東映太秦撮影所は、観光客がセット内でシャッターを切っても金は取らない。
思わず嫌がらせにそのポジションと五色沼の間の公有地に看板のような障害物を建ててやろうと思ってしまったのだった。

東北地方の晩秋は陽射しが柔らかで、ちょっと頼りなげ。
その優しい光が稲刈りの終った田園や猪苗代湖の湖面の反射してキラキラする様は思わず見とれてしまう美しさがあった。
頂上がちょっと雪化粧した磐梯山が雄大に聳えるこの地で、「写真撮るな」の写真屋の根性は、極めて不愉快なものなのであったのだ。
写真屋よ。
私は言いたい。
お前が作ったンか、五色沼。