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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東響18日オペラシティ公演、26日川崎定期 ⇒ 延期、25日定期 ⇒ 中止 / 青山通著「ウルトラセブンが『音楽』を教えてくれた」を読む ~ シューマン「ピアノ協奏曲」への執念

2020年04月09日 07時20分04秒 | 日記

9日(木)。東京交響楽団のホームページによると、4月18日(土)のオペラシティシリーズ第114回公演は8月15日(土)に延期、同25日(土)の第679回定期演奏会は中止、同26日(日)の川崎定期演奏会は12月16日(水)19時開演に延期となりました これらの中止・延期の通知は5月初旬に封書で送付するとのことです なお、延期となった公演はプログラムや出演者の変更があるので、詳細はホームページをご覧ください 私の場合、今回の中止により合計48公演が中止(うち5公演が延期)となりました 3月22日からコンサートのない日が続いていますが、5月10日(日)のNHK交響楽団のA定期演奏会まで待たなければなりません これも予定通り開演するかどうか分かりません

昨日は近くのコンビニに買い物に出た以外は家で音楽を聴きながら本を読んで過ごしました 娘は勤務先の店がテナントとして入居する池袋のTデパートが1か月間の臨時休業に入ったことから、仕事もなくなり自宅待機となりました 毎晩のように、家に帰ってくるなり「忙しい。人が足りない。疲れた!」と嘆いていましたが、いきなり1か月の休暇ができて喜んでいました ただ、現実を見ると、正社員ではないので1か月間無給になります それを考えると複雑な心境のようです

ということで、わが家に来てから今日で2017日目を迎え、トランプ米大統領は7日、ホワイトハウスでの記者会見で、世界保健機構(WHO)の新型コロナウイルスへの対応について、「中国中心だ」と強く非難し、拠出金の停止を検討することを明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     確かにテドロス事務局長は中国寄りだが  WHOへの拠出金停止は やり過ぎじゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました 今回も鶏もも肉をニンニク、ショウガ、削り節、醤油からなる「うまみ醤油」に漬けてから揚げたので美味しく出来ました

 

     

 

 

         

 

青山通著「ウルトラセブンが『音楽』を教えてくれた」(新潮文庫)を読み終わりました 青山通氏は1960年東京都生まれ。1984年早稲田大学卒業。音楽之友社で「週刊FM」、書籍、ムック等の編集に携わり、その後数社を経てフリーに。本名の青野泰史名義で編集、マーケティング活動を、青山通名義で執筆活動を行っている

 

     

 

「ウルトラセブン」は、1967年10月1日から翌1968年9月8日まで放送されたテレビ番組です この時、青山少年は7歳、小学1年生から2年生になる頃でした。「ウルトラセブン」の最終回である第48話、第49話「史上最大の侵略 前編・後編」(1968年9月1日、8日)を観て、青山少年はある音楽と衝撃的な出逢いを果たします 番組のラスト8分、地球防衛隊のダンは同僚のアンヌに自分の正体を明かします。「僕は・・・僕はね、人間じゃないんだよ。M78星雲から来たウルトラセブンなんだ!」。そこで作曲家の冬木透氏のオリジナル曲が止み、突然ピアノとオーケストラによる音楽が鳴り響いたのです この曲は誰の何という曲か それ以来、青山少年はその音楽探しの旅に出ることになります ラジカセを購入しラジオやテレビの音楽番組を録音したり、再放送された「ウルトラセブン」を録音したりしました ある日、テレビから「あの音楽」が流れてきた 当時はN響アワーは始まっていなかったが、その類の番組だった。母親に「これ、なんて曲?」と訊くと「シューマンのピアノ協奏曲よ」と答えた。これでやっと曲名が分かった ローベルト・シューマン(1810-1856)が1841年に第1楽章を、1845年に第2、3楽章を作曲した「ピアノ協奏曲イ短調作品54」だった

しかし、誰が演奏しているのかが分からない 親に頼んでレコードを買ってもらった。喜び勇んでレコードをかけたが、それは「あの演奏」ではなかった 同じ楽章の同じ音楽を聴いているのに、まったく違う音楽に聴こえた それはアルトゥール・ルービンシュタインのピアノ、カルロ・マリア・ジュリー二指揮シカゴ交響楽団による演奏(1967年録音)だった せっかく買ってもらったレコードなのでしばらく聴くことにした しかし、何とも収まりがつかない。そこで2枚目のレコードを買うことにした。ヴィルヘルム・ケンプのピアノ、ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団による演奏(1973年録音)だった しかし、これも違う そうした中、青山少年はあることに気が付いた。「ウルトラセブン」最終回の放送は1968年だから、それより前に録音された演奏を探せばよいと そして3枚目のレコードを買う。ディヌ・リパッティのピアノ、エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団による演奏(1950年録音)だった レコードの帯に「死を予感したリパッティ、狂気迫る演奏」といった内容のキャッチがあった。これに違いないと、迷わず買った 聴いてみて、一瞬あの時の演奏と同じかと思ったが、近いけれど同一ではない、と思った そして中学3年生になった青山少年は同級生の兄がクラシック好きだということを知り、友人宅を訪れ彼に相談してみた。「シューマンのピアノ協奏曲といえばこれだよ」と言ってレコードをターンテーブルに載せて針を落とした。「これだ まさにこれだ」青山少年は「ウルトラセブン」の1968年の初回放送から7年にして、遂にその演奏に巡り合えたのだった ディヌ・リパッティのピアノ、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団による演奏(1948年録音)だった

 

     

     

 

この本は、一人の少年が「ウルトラセブン」の最終回で流れた音楽に衝撃を受け、誰の作品で誰が演奏したものかを探索し、ついには発見するに至るまでの執念の物語です しかし、彼の場合はそこに留まってはいませんでした。青山氏は「なぜ、シューマンのピアノ協奏曲なのか、なぜリパッティ✕カラヤンの演奏だったのか」がどうしても知りたくなり、ついに2012年に「ウルトラセブン」の音楽監督・冬木透氏の自宅を訪問しインタビューすることになります そして、満田監督が本当はグリーグの協奏曲を考えていたことを後から知ったこと、ラフマニノフの協奏曲を想定して書いて欲しいと言われたが、場面にそぐわないと思って、ラストのシーンに相応しい音楽としてシューマンの協奏曲に決めたことを聞き出します さらに、オッテルロー/ハスキル盤とカラヤン/リパッティ盤が愛聴盤だったが、ハスキルは非常に堂々としていて充実しているのに対し、リパッティは「切実感」とでも言うべきものがあったのでリパッティを選んだことを聞き出します これも執念です。普通の人はここまで執着しないでしょう 

青山氏がこの「探索の旅」で得たのは、「クラシック音楽は、同じ曲でも演奏によってまったく違う表情となる。そして、同じ演奏者でも同じ演奏は二度とない」という「クラシック音楽の本質」でした ここに「聴き比べの楽しさ」があります 青山氏は「シューマン『ピアノ協奏曲』第1楽章の演奏時間  速い順ランキング」を一覧表にして掲載していますが、聴き比べをしているのは何と28種類の演奏です ここにも青山氏のこの曲への執念(偏愛?)を感じます 私もシューマンのピアノ協奏曲は、リパッティ、アルゲリッチ、ポリーニ、ピリスなど何種類か持っていますが、このランキング・リストに含まれていない演奏のCDも何種類か持っています ただ、正直なところ、これこそベスト1という演奏がないのです

青山氏が認識した「クラシック音楽の本質」は自分の経験から良く分かります ある演奏を聴いてその曲が気に入ると、どうしても他の演奏はどういう解釈なのかが知りたくなるのです 居ても立ってもいられなくなってレコード店やCDショップに駆け込んだことは数知れません その結果が1500枚のLPレコードと4000枚のCDとなり”文化遺産”としてわが家の一角を占拠しているのです

この本は第2章「ウルトラセブン 音楽から見たオススメ作品」で、最終回以外で 内容的にも音楽的にも推薦したい回を紹介しています 青山氏はここでも「ウルトラセブン」に対するマニアックな知識を披歴していますが、私はその前の「ウルトラマン」世代で、「ウルトラセブン」はあまり観た記憶がありません したがって、ただただ、青山氏の「ウルトラセブン愛」に敬服するしかありませんでした

この本の最後の方に、「同じ曲を違う演奏で聴く楽しみ方」というページがあります その中で、青山氏は「相対」の軸を持つことの大切さを述べています。一種類の演奏だけを聴いているとそれが「絶対」となるのに対し、複数の盤を聴いてそこで感じる特徴を言葉にしてピックアップしていくと、それがいくつかの「相対軸」になってくる、と書いています 具体的には、

テンポが速い ✕ テンポが遅い

テンポが厳格 ✕ テンポが自在(テンポ・ルバート)

ダイナミックスが大きい ✕ 小さい

楽譜に忠実 ✕ 独自の世界

女性的(なめらか)✕ 男性的(がっしり、ゴツゴツ)

感情豊か ✕ ストイック

牽牛 ✕ リリカル

巨匠的 ✕ 若々しい

青山氏は、これらの相対軸の中では、シューマンのピアノ協奏曲の場合、「テンポが速い✕テンポが遅い」の軸では「テンポが速い」方が好きだし、「テンポが厳格✕テンポが自在(テンポ・ルバート)」の軸では「テンポが自在(テンポ・ルバート)」の方が好きだと書いています 私もこの曲に関しては青山氏と同じです。この好みは、青山氏も指摘しているように、クラシック音楽全般について共通するものですが、曲やジャンルによっては異なる可能性もあります 例えば、マーラーの交響曲第9番のアダージョはテンポが遅い方が好きだといった具合です

青山氏が指摘しているように、CD等である曲を聴く場合、一種類の演奏を聴くのではなく二種類以上の演奏を聴くのが良いと思います 実際にコンサートやCD等でクラシック音楽を聴く時には、この「相対軸」の考えは大いに参考になります

「ウルトラセブン」のファンはもちろんのこと、クラシック音楽ファンにこそ強くお薦めしたいと思います

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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残念ながら・・ (ままはは)
2020-04-09 09:26:08
N響よお前もか~!と言いたくなるのですが、5月の演奏会は全て中止だそうで、ホームページに載ってます。
私は3月21日(土)にマーラーの6番を聴いたのが最後です。私の苦手なマーラーですがアマチュアオケ実力No2の都民交響楽団がとてつもない名演奏をしてくれました。

嫌いなマスクですが、仕方なくつけてます。
池袋のお医者さんによると、
普通のマスクはほとんど効果がないが、イソジンを10~15倍に薄めたものをマスクに噴霧するとウイルスを殺す、とのことです。乾いたら効果がないので再度噴霧すればOK。
ヨーチンの色が薄くついて見た目は悪いのですが時間が経つと色は消えていきます。
また、今では透明なイソジンも売られているそうです。
返信する
N響中止、マスク (tora)
2020-04-09 12:35:34
ままははさん、コメントありがとうございました。
最後の望み、N響も中止ですか!またしても私の中止公演記録が更新されました。残念です。
マスク、2日前に初めて付けて外出しました。邪魔です。でも仕方ないですね。イソジン情報ありがとうございました。参考にさせていただきます
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